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第三皇子⑦

 


「アヤミ……」



……そのうっとりしたような乙女顔は止めてほしい。

似合ってないとか気持ち悪いとかじゃなくて似合いすぎてて無理だから。


イケメンの恍惚顔とか眩しすぎ。



その時、クロスが急に表情が硬くなったと思えばノックの音が聞こえた。




「誰だ……」




先ほどのトラブルもあったかクロスが警戒してるみたい。

敵地で敵国の王族とやり合ったのなら兵士が来てもおかしくはないしね、その時はすぐにここから逃げる予定ではあるけど。




「……失礼します」




ドアが開いて入ってきたのはさっき会った帝国の第三皇子だった。

え? 兵士が来るかもとは思っていたけど皇子が来るとか予想外なんだけど。


……けど、さっきと何か様子が違うくない?

さっきまでは凄い偉そうで馬鹿皇子って感じだったのに今は何だか大人しいってか……丁寧な感じ?




「皇子がわざわざ来るとは何のようだ?」



「あの……そっちの女性に話があって……」




しどろもどろな様子に二重人格なんじゃないかって疑ってしまいそうになるけど、今はとりあえず話を聞くしかない。

さっきと本当に違い過ぎてびっくりするよ。




「とりあえず座って下さい」




馬鹿皇子だからって人が立ったままで会話するつもりはないし、ソファーに座ってもらう。

皇子は大人しくソファーに座るとちらちらと私を見ている。


アルフは私を守るように座っているし、クロスは皇子を睨んでいる。

皇子は覚悟を決めたように顔を上げて私を見た。




「あのっ、これって俺の夢じゃないんですか?」



「……はい?」




いきなり何言ってんのこの皇子は……?




「だって、おかしいじゃないですかっ。 起きたら俺は皇子になってて好き勝手出来たからこれは俺の夢だって思ってたのに……」



「……まさか、夢だって思ってたからあんなことしたんですか?」



「だって、あり得ないでしょ? いきなり知らないとこに居たら夢だって思っても仕方ないじゃないか!」




敬語で丁寧に話していたかと思えば混乱してるのか段々口調が素になってきてる皇子。

いや、……この皇子は転生ってか憑依って感じだったわけ?

夢だって思っていたとしてもやってることは最低だったけど。




「私は西園寺彩美です。 貴方は?」



「……佐藤…… 浩也(ひろや)です」




私はわざと前の名前を告げる。

まだ彼は混乱して夢か現実かわかって居ないみたいだし、夢だと思ってる世界に自分以外の”日本人”が居たらちょっとは現実だって理解するでしょ。


クロスもアルフも理解してくれてるのか黙っていてくれてるみたいだし。




「何歳ですか?」



「18です……。 そろそろ大学入学するはずでした」



「私は高卒ですね、専門学校も悩んだんですけど家にお金の余裕なかったんで諦めました」



 

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