帝国の闇⑦
「はあ!? 何それ!!」
無意味にキースが殺される事だってあり得ないと思ってるのに、その上リーフィが性奴隷?
絶対あり得ないんだけど!!
確かにリーフィはすっごく可愛いし、私もメイド服とか似合いそうだなとか思った事はあるけども!
「絶対許せない! リーフィを何だと思ってるの!」
「ああ、だからリーフィを連れて行ってほしい」
リーフィを連れて行くのは構わないんだけど、性奴隷になんて絶対にさせたくないし。
でも、やっぱりキースの事は何も言わないの?
キースも一緒に逃げるんじゃないの?
「……キース兄ちゃんは?」
私が考えてた事はアルフも考えていたのか、今まで黙っていたアルフは不安げな表情でキースを見上げる。
キースは一瞬目を閉じるがすぐににかっと笑った。
「俺はちょっとやる事があるから終わってから追いかけるさ」
「本当に?」
「ああ、もちろん」
……私にはキースが本当の事を言ってるのかはわからない。
だけど、リーフィを助けたい気持ちは本当だろうから私は助けてあげたい。
でも……キース自身はどうするんだろう?
自分は助からなくていい、何だかそんな感じがする。
「キース……」
「アヤミ、頼む」
私はキースも助けてあげたい。
でも、今はそれを言ってもキースは納得しないでしょうね……。
「わかった、でもリーフィを説得出来てからにしてよ? リーフィを無理矢理連れて行くなんて出来ないから」
「ああ、わかった」
キースは安心したような笑みを浮かべている、私が嘘をついた事がないから信用してくれてるんでしょう。
「じゃあ、俺はリーフィに伝えてくるわ」
笑顔を浮かべながらキースは部屋から出て行った。
すぐにリーフィに伝えて帝国から出て行って欲しいんでしょうけど……。
キースは間違いを二つ犯してる。
一つはリーフィを説得出来ると思っている事。
いくらキースがリーフィに逃げて欲しいと思っていても、キースが死ぬ覚悟をしているかもなんてリーフィにはすぐにわかるだろうし。
そんなキースを残してリーフィが逃げるわけない。
だから、しばらくはリーフィの説得に時間がかかるでしょう。
もう一つは私が大人しくキースの願いを聞くと思っている事。
私はわがままな人間だからね、死ぬかもしれない覚悟をしてるキースを置いて行くなんて私には出来ないしやりたくない。
キースを説得なんて絶対に無理だろう、キースには覚悟があったみたいだから。
キースとリーフィを助けたい、戦争にはしたくない、私も死にたくないし怪我したくない。
でも、私にも何か出来る事があるかもしれない。
だから、明日から私に出来る事を探そう。
二人を助けるんだ、たとえそれを望んでいなくても。




