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この世界で生きる為に⑥





「差し支えがなければ理由を聞いてもいいか?」



やっぱりギルドの信用問題に関わるからだろうか?

受付さんも言ってたし……。


どうしようとしばらく黙って居れば肩に冷たい手が触れた。




「ゼイルに言えないのならば私が聞きましょうか?」



ウィルさんになら何でも話します。

美しい人は神だ。




「……この国のお姫様と少し揉めてしまいまして」



「姫? 何番目のだ?」



何番目?

えっ、お姫様って何人も居るの?




「この国は一夫多妻制で王様には4人の妻が居るんです。 確か第一王妃に王子が1人と王女が2人、第二王妃に王子が3人、第三王妃は子供が居なく、第四王妃に王子が2人と王女が1人居ます」



王様はハッスルしたんですね、わかります。

……頑張りすぎだとは思うけど。




「名前は連れの男の人がルナって呼んでました」



「ならば第四王妃の王女か。 何があったか話しみろ」




商業ギルドのマスターなら信用出来るかもしれない。

まだ少ししか話してないけど信用出来る気がした。


だから、私はさっきあった事を話す。


レストランでの列の事、アルフに水をかけた事、イラッとしてお姫様の肩を押した事、主人公が怒った事、庇ってくれた街の人の事、2人を放置してここに来た事、全てを。





「アヤミは悪くないですよ」



何時の間にかウィルさんが隣に座って膝にアルフを乗せていた。

アルフが喜んでるから問題なし。



 


「……その王女は性格に問題ありだな」



難しい顔をしながらギルドマスターが呟く。

手を出したのは悪いかもしれないけど、アルフに水を掛けられたら仕方ない。




「アルフ君、紅茶飲む?」



「うんっ、飲みたい!」




にこにこと笑いながら紅茶を飲むアルフ。

ウィルさんはアルフを膝に乗せたままどうやって紅茶を入れたのだろう?




「王女の件はこちらで何とかしよう」



考えがまとまったのかギルドマスターがこちらを見ながら告げる。

大丈夫なの?




「でも、迷惑ですから……」



ギルドマスターがどれぐらい偉いかわからないけどお姫様に刃向かったらいけないんじゃない?

私の心配をよそにギルドマスターは口元に小さな笑みを浮かべている。

……何だか格好いい。





「心配はいらない」



「そうそう、ゼイルは馬車馬のように働かせていいんですよ」




紅茶を飲みながらのんびりとアルフの頭を撫でているウィルさん。

美しいウィルさんと可愛いアルフだと絵になるな。




「商業ギルドに登録したからには非がなければ俺が守る」



ウィルさんの台詞をスルーしながらも真剣なギルドマスター。

ギルドマスターってギルドの人を全員大事にしてるんだな……。


やっぱりギルドマスターなら信用出来る。




「ありがとうございます」



「因みに何の店をやるんだ?」



「食堂です。 甘い物と飲み物を中心に少しだけ軽食もありって感じの」



「何っ!?」



うわっ…!

ビックリした……喫茶店は駄目なの?




「何か問題あったでしょうか?」




問い掛けてもギルドマスターは罰が悪そうに黙ったまま視線をそらしている。

喫茶店が駄目なわけじゃないみたい。




「お店自体に問題はないですよ。 ただゼイルは……」



「言わなくていい」



不機嫌そうにしているギルドマスター。

言われたくない事でもあるのかな?


不機嫌そうなギルドマスターとは違ってウィルさんはクスクスと笑っている。




「わかりました」



何だかよくわからないけどいいか。

あっ、そろそろ帰ってメニュー作りとか色々しなきゃ。





「すみません、そろそろ帰らなくてはいけないので…」



「そうか……ウィル、物騒だから送って行ってやれ」



「わざわざいいですよっ」




それじゃ、ウィルさんに迷惑かけちゃう。




「私は気にしなくていいですよ。 最近色々と物騒な事がありますから、か弱い女の子と子供では人攫いにあってしまってはいけませんので」



どこをどう見てもか弱い女の子には見えないと思います。

危ないのはウィルさんも同じだし……。




「ウィルは見た目は女だが、一応水の精霊王であるからな」



あっ、そう言えばそうだった。

ウィルさんを攫おうとしたら返り討ちに合いそう。




「じゃあ、行きましょう」



「はい、ありがとうございました」



ギルドマスターは優しかったし、これから頑張りますかっ。


でも、ギルドマスターの秘密って何なんだろ?



 

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