二人を探して②
「クロスはこの場所わかるの?」
家の外に出れば山の上の方にあったのか結構綺麗な眺めだった。
東の方に向かって下って行ったら首都があるって言ってたけど……実は結構迷子になりやすいんだよね、私。
「ああ、来たことはある」
「なら、安心だね」
あまり王国の人は帝国に逝かないみたいだけどギルドの依頼で行ったことあるのかな。
地図とかがあったら便利だけど日本みたいに詳細な地図はないしね。
「こっちの方だな」
クロスが迷い無く歩き出したので私とアルフのクロスの後について行く。
静かな山の中だけど魔物とかは居るのかなー。
何となくの気持ちで探知能力を使ってみるが、細々と反応があるだけで思ったより少なかった。
こんな大きな山なのに全然魔物が居ないんだね。
「この山って全然魔物居ないんだね」
「いや、そんな事はないが……?」
私の言葉を不思議そうに否定するクロス。
でも、私の探知能力では全然反応ないし……居なくなったのかな。
「ほとんど反応ないけど」
「前にも言ったが山や森の魔物は基本自分の縄張りがある魔物が多い、特に帝国のカンドラヤ山は入るったらすぐにでも魔物に出会うことが多いからな。 ……やはり何かあるのかもしれない」
もしかしたら、混魔石もここで使われたとか?
いや、使われたってか混魔石の実験をカンドラヤ山でやってた可能性のがあるかな。
え? だって、ここで実験なんかしてたら首都が危なくない?
すぐ近くに首都があるわけでしょ?
全部私の想像だからただの思い込みかもしれないけど。
「少し山を歩いていいか?」
「うん、もちろん」
何かあるかもしれない時に下調べもしないで行くのは危険でしょ。
クロスが一緒だったら迷子になる心配もないし魔物もほとんど居ないから危険は少ないからね、クロスもアルフも居るし。
「異変がある山の頂上にあった家が無事だったのも不思議だがな」
あー、まあそれはね。
クロスが何も言ってなかったし、特に魔法とかかかってる感じじゃなかったみたいだしね。
山の中を歩いているとたまに木が折れて倒れていたり、よく分からない粗大ゴミが落ちていたりしている。
粗大ゴミは私にはわからないけどクロスはわかってるのか少し眉をひそめてた。
しばらく歩き続けてるとクロスがぴたっと止まった。
「どうしたの?」
「ここ……」
クロスが触っているのは何の変哲もない普通の岩の壁。
私も触ってみるけどひんやりしてるだけのただの岩のように思えるけど。
あ、でも、おかしい。
初めての山だから探知能力使いながらだったけど岩の中に何か反応がある。
「岩の中に人が居るの?」
「隠し扉があるんだろう」
ああ、なるほど。
山の中に隠れ家的なのがあるとかちょっとロマンを感じる気もするけど。
わくわくする気持ちもあるけどこんな所にある隠れ家なんて嫌な予感しかしない。




