二人を探して
お風呂入った後は疲れていたせいもあったせいかすぐにぐっすり眠りについた。
相田さん自慢のお風呂だけあって凄かったわ。
朝ご飯はトーストにスクランブル、野菜のスープとサラダ。
それもめちゃくちゃ美味しかった、宿代は少し高かったけど全然問題ないくらい。
毎朝早くに起きてパンを作ってるらしいけど、私には無理かもしれないね。
「それじゃあ、帝国にある俺の家に飛びますよ。 帝国の首都アルフェイリドって街の近くの山にあるから人には見られないと思います」
朝ご飯を食べ終わり荷物を持てば宿ではなく相田さんの自宅の方に入る。
いつも転移を使うときは自宅の中に入ってから転移するらしい、人前でなんて使えないからそりゃそうだね。
首都の近くなら情報も仕入れやすいから早くに探せるかもしれない。
「わざわざありがとうございます」
「いえ、帝国で色々問題が起こってるらしいので気を付けて下さいね」
「はい」
相田さんも色々情報を知ってるのか少し心配そうにしているが私も探知能力を使ってでも気を付ける。
死にたくなんてないし、怪我もしたくにいからね。
「いきます。 近くの人と手を繋いで下さい」
相田さんはアルフの手を握れば私もアルフと手を繋ぐ、繋がっていないと一緒に転移することは出来ないらしい。
クロスも私の手を握った、……転移の為なのはわかるんだけどちょっと恥ずかしいな。
私とクロスが手を繋いだのを見れば相田さんは合図を入れる、その瞬間視界がブレるような感じがした。
「はい、到着しました」
確かに先ほどの部屋とは何か違う部屋に居るみたい、ちょっとブレたような感じがしたけど転移ってあんな感じなんだね。
先ほどの部屋は白を基調した綺麗な部屋だったけど、ここは山小屋って感じ。
「凄いですね」
「これしか能力ないですからね。 東の方に下って行けばアルフェイリドに着きます」
「……もしかして、カンドラヤ山か」
「あー、そんな感じの名前だったような気がしますね。 あんまり詳しくないですけど」
カンドラヤ山?まあ、王都から全く出なかった私が知るよしもないか。
クロスはわかってるみたいだからやっぱり着いてきて貰ってよかったかも。
私とアルフだけだったら迷ってたかもしれないからね。
「位置は分かった」
「それはよかったです。 じゃあ、俺は店がありますのでここで失礼しますね」
相田さんは店を奥さんのアンナさんに任せて送って貰ったからね、帰りは絶対に宿に寄ってお礼をしてから帰らないと。
「ありがとうございました」
「いえ、気を付けて下さい」
ぺこりと頭を下げると相田さんは笑顔のまま一瞬で消えていった。
どんな原理かもわからないけど転移って便利ね、街から出ない私には意味ないかもしれないけど。




