アルドラ③
案内されて席に座れば夕食時だけどあまり人は居ないみたい、あまり人が居てもトラブルになりそうただから人が居ない方がいいけどね。
普通の旅なら荷物を先に部屋に置いてきた方がいいんだろうけど、ほとんど私の鞄だけだから部屋を見るのは後でいいや。
「クロスはこの宿来たことないの?」
「ああ、俺はギルドに近い宿を使うからな」
まあ、クロスなら安い宿に泊まったとしても泥棒なんて返り討ちに出来るだろうからね。
むしろ、部屋にすら入らせないようにすることが出来るかも。
「お待たせしました~!」
先ほどの猫耳の子とは違う猫耳の子、先ほどの子は茶色だったけど今度の子ほ灰色の猫耳だ。
持ってきてくれたご飯を見ればアルフは美味しそうだと笑顔でクロスは少し首を傾げてる。
だって、洋風の宿だけどザッ・和食って感じだもん、トレーの上にはご飯とお味噌汁、魚の塩焼きに漬け物。
後、お茶は温かいの出してるみたい。
アルフは良く家で和食にしたりしてるから何の問題もなしに食べてるけど、お米は見るけど和食!って感じのご飯はあまり見ないかも。
「いただきます」
いつも通り手を合わせてから食べ始める。
クロスもアルフも初めて私がした時は不思議そうにしてたけど今は一緒にやるようになったなー。
ここら辺は海がないから魚なんて滅多に食べれないからね。
私は神様に頼んで買えるようにはしてもらってるけど店では仕入れ先が言えないから出すつもりはない。
ちょっと見た目が怖い魚だけど味はサバみたいな感じだね。
うん、漬け物も良い感じだし当たりの宿じゃないかな。
「あ、あの~」
黙々とご飯を食べていたが先ほどの茶色の猫耳の子が恐る恐る話し掛けてきた。
特に何もしてないと思うけど何かあったのかな?
「何でしょうか?」
「もしかして、日本って名前のとこご出身ですか?」
え? でも、この子は多分違うよね?
日本って名前って言ってるし……もしかして、ここの料理作ってる人が転生者か転移者なのかも。
「はい、そうですよ」
王都では酷かったからね、あまり大きく公表したりとかはしないけど、まともそうな人なら言ってもいいかもしれない。
……まあ、ここの人がまともかどうかは会ってみないとわからないけど。
「よかった! 少々お待ち下さい!!」
私の返答にぱぁっと表情を明るくした茶色の子はパタパタと走って厨房らしき方に入って行く。
遠くの方では灰色の子が茶色の子に注意してたけど聞いてたかな?
「アヤミ?」
「ああ、ごめんね。 もしかしたら私と同郷の人が居るかもしれなくて」
ここの料理は美味しいからまともな人であってくれたらいいんだけど。




