ルーヘン村の攻防④
作った卵粥はお母さんに食べてもらえた。
こんな知らない相手の作ったご飯も食べてくれるなんてありがたい。
お母さんが食べてくれたのが嬉しいのかルルーゼちゃんもにこにこしてる、最近あまり食べれてなかったみたいで心配してたみたい。
作った団子はラップをかけて私の鞄にしまった。
この鞄の中なら時間経過しないから戻ってくるのご遅くなっても美味しいままだしね。
「お兄ちゃん……」
クロスとアルベルト君が山に向かってから結構時間が経ってる。
問題なければよかったんだけどまだ帰ってきてないのを見ればやはり何かあったみたいね。
料理したり勉強したり遊んだり色々してみたけど時間が経つにつれルルーゼちゃんはアルベルト君の心配をしてる。
「大変だー!!」
どうしようか考えているとまた村の中が騒がしくなってきた。
「アルフ、ルルーゼちゃんと待っててね」
「アヤ姉、気をつけてね」
何が起こったのかわからないけど、アルフがルルーゼちゃんと一緒に居てくれたら安心出来る。
戦えない女三人が一緒に居ても危ないだけだし、アルフはまだ十歳なのに申し訳ないけどね。
何があっても良いように銃だけは手に持って騒がしい方へと向かう。
近付いて行くとまた獣らしき唸り声が聞こえてくるのでつい体は強ばってしまう。
「女子供は家の中に入れ!」
「チッ、今日はどうなってんだよ!」
また農具や剣を持ってる男の人達と今度はグランドウルフではなく気持ち悪い緑色の小人みたいな何かだった。
……初めて見るけどあれがゴブリンってやつかな?
「昼はグランドウルフに今はゴブリンだと!」
やっぱアレがゴブリンみたい。
クロスからゴブリンには気をつけろって言われてたっけ。
女の人を浚っては無理矢理犯してゴブリンの子供を産ませるって、中には頭の良い個体もいるみたいで寝床に罠とか仕込んで冒険者が襲われる場合もあるとか……。
話には聞いていたけど、初めて見る。
「ゴブリンなんかに好き勝手させるんじゃねぇ!」
……本当は怖いし、戦いたくない。
けど、やるしかない。
「援護します!」
接近戦なんてやったことないから無理!
銃の扱いも全然だし、狙いも定められるかわからないからまだ撃てる様になった魔法を使うしかない。
風を身に纏い浮けば誰かの家の屋根に降りる。
ずっと空を飛ぶことは夢にみてた。
魔法の適性がそんなにないみたいだから長時間空を飛ぶことは出来ないけどね!
大して役に立たない私の魔法だけどゴブリンの気を少しでもそらせたら村の人もまだ戦いやすいよね。
作ったバスケットボールくらいの水球を近くに居たゴブリンに撃つ。
ゴブリンは油断してたのか水球が当たると目を閉じ腕をクロスして前に出してる。
その隙を狙い、剣を持っていた先ほどの門番の人がゴブリンを切った。