拘束者

プロローグ

俺の朝はよじ登ることから始まる。

私の朝は音で始まる。

僕らの朝は体を温めることから始まる。

あたしの朝は点滴を換えることから始まる。

俺は死にたくない。

私は生かされている。

僕らは生きていたい。

あたしは死にそう。

俺は思う。他の奴はどうしよう。

私は考える。鍵はどこだ。僕らは気付く。出口はあそこだ。

あたしは願う。捨てられていませんように。

俺は乗る。

私は立つ。

僕らは手を掛ける。

あたしは持つ。

俺は、私は、僕らは、あたしは、今日…………ここを出る。