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この世界の救世主  作者: くろにゃん
難民救出作戦編
7/21

第5話:遭遇

街道を疾駆する第六戦車分隊。

「だいぶ走ったわね。今どのくらいかしら?」

「さあな。今どこかってのがあんましわからへんし」

「おい炎羅、地図くらいは覚えといてくれよ。あ、そこ左」

「ほい。いや~、覚えるのが一番苦手やからなぁ」

「おまえなぁ…」

そんな話で実戦という押しつぶされそうな雰囲気を少しでも紛らわせつつ進軍していた、矢先の出来事だった。

爆音とともにヘルキャットの車体脇に“何か”が落ちた。

「何だ!一体……」

大和は言葉が続かなかった。

彼に目線の先には、車体だけのM4シャーマンの姿。搭乗員が脱出した気配はなかった。

「大和、あれ…」

沙織がヘルキャットの脇にある“何か”を指差す。大和はこれを見て何が起こったかを理解し、指示を出した。

「撤退!一度引いて敵の攻撃圏内から脱出する!」

「で、でも!まだあの中に…!」

「引くのが先だ!死にたいのか!」

恵理が大和の指示を後続に伝え、後退を始める。

彼らが撤退している間、まるで待っているかのように敵の砲撃は一度たりともなかった。

しかし、大和には見えていた。建物に隠れた砲身の、冷やかな光が。


「待ち伏せ、か」

「そうとも限らないんじゃない?お兄ちゃん」

「いや、敵戦車の種類、台数はわからんが、少なくとも2台いた。それに俺が向こう側なら同じ場所で待ち伏せするしな」

市街地脇にある街道。撃つ側にとって敵は見やすく、撃たれる側にとって敵は市街地の中にいるので確認しずらい。待ち伏せにはもってこいの場所だ。

「じゃあ、あれ以上進むのは危険よね」

そういって、地図を広げる沙織。

「迂回ルートを探す必要はないぞ、沙織。それよりあの場所の詳細な地図を開いてくれ」

「え?」


市街地外周を疾駆するM24チャーフィー。突如、進行方向に土煙が上がる。

「Bー2からだ。T20、撃てるか?」

『敵視認。撃ちます!』

発砲音、遅れて爆発音が聞こえる。

『撃破確認しました!三号戦車撃破です!』

「よし。次に備えてくれ。」

『了解!』

市街地から少し離れた茂み。大和達M18ヘルキャットはそこにいた。砲身は市街地を睨み、敵を討たんと構えていた。

チャーフィーが市街地外周をジグザグに走行し続け、敵の誤射を誘う。大和以下他の搭乗員が砲撃元を観測し、射撃をする。

大和が立案したこの案は一言でいうと、無謀、というにふさわしいものであった。

が、この時の第六戦車分隊に、大和自身に、そう判断させる冷静さはもはやなかった。

再びチャーフィーの付近に土煙が上がる。

「あそこ、Dー6よ」

「沙織、やれるか?」

「もちろん」

そう言い終わるが早いか引き金を引く沙織。砲声と共に駐退機が下がり、初速毎秒792mの砲弾が一直線に敵へと向かい、的確にエンジンを穿つ。

そこにいた四号戦車D型はスクラップと化した。

「よし、ナイス沙織。これで合わせて5両か」

「ありがと、大和。これだけ倒したんだから、もう残ってないんじゃないかしら」

「市街地の広さも考えるとそうかもな。…恵理、チャーフィーがもう一周市街地を回った後、作戦開始場所に集合と伝えておいてくれ」

「ん、了解」

チャーフィーが市街地外周を回ったが、チャーフィーの周囲に土煙が上がることはなかった。


「…遅いな」

作戦を開始した地点にヘルキャット、M4A3E8シャーマン、T20の3両はすでに集合していた。しかし、チャーフィーだけがいまだに現れなかった。

「恵理、無線は?」

「だめ。さっきから繋がらないわ」

「これ以上遅くなるのはまずいな」

日はすでに傾き始めていた。

「…仕方ない。行くぞ」

「ちょっと何言ってるのよ大和!あなた味方を見捨てる気なの?」

戦車に戻ろうとする大和に迫る沙織。

「見捨てるつもりはない。…けど、今は作戦の遂行を優先しないと」

「でも!」

「でも、じゃない。向こうと通信がつながらん以上、この場所に何かしらの標でも置いといて先に行くしかないやろ。時間に余裕がないならな」

炎羅が諭すように沙織に言う。沙織は何か言いたげだったが、何も言い返さず、砲手席へ座った。


街道を走る戦車が3両。沈黙している車体だけのM4シャーマンを横目に先へと進む大和達。進んだ先、平坦な道が続くそこにはとある“モノ”が。

「あれは…」

沙織は言葉が続かなかった。

目線の先には煙を上げる戦車の姿。

「チャーフィーだ…」

炎羅が確認しようと車体を止める。それが幸運だった。

ヘルキャットの目と鼻の先を砲弾が横切る。

思わずオープントップの砲塔から、仲間の制止を振り切って顔を出した大和が発砲元の方を向く。

そこには第二次世界大戦時、ドイツ軍が開発・運用した代表格とも言える戦車がいた。

「ティーガー…」

学校に提出用の短編も無事書き終わって、やっとこっちも出せました。待たせてしまってすみません。


次回、激戦の予感です!

ただ、うまく書けるかどうか…。なんとか頑張ります!


最後に、このシリーズを通して言えることですが、戦車等兵器(WW2~2015年にかけてのもの)が登場します。が、こちらの世界の史実と違う点があるかもしれません。その場合は、この物語の世界はこういうことなんだと思ってください。お願いします!

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