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この世界の救世主  作者: くろにゃん
難民救出作戦編
5/21

第3話:艦内にて

「潜水艦…⁉」

思わず炎羅が口に出す。

「いいや、こいつは潜水強襲揚陸艦『奏龍』。名前の通り、強襲揚陸艦だ」

真理亜はそう言った後、時計を見た。

「今は一刻を争う。全生徒は急ぎこの奏龍に乗り込め!」


「あんなきつい言葉でよかったのかい?」

港で奏龍が潜航していった後の海を見ている真理亜に、一人の軍服を着た男が声をかける。

「!…登明、お前か」

「いちようあんたより階級は上なんだよ、真理亜大尉」

「元同級生に敬語は使えん」

「まあ、だろうね。んで、よかったの?仮にも教官なんでしょ?」

「どれだけ遠回しな言い方で戦争を美化してところで、現実は変わりはしない」

「んーまあそうなんだけど、さ」

「それに今回出撃すればいやでも思い知らされるだろう」

「『死』について、かい?」

「ああ、その恐怖を乗り越えない限り、次は無いからな」

「…帰ってくるのは何人だろうね」

「さあな。…ただ、私の予想を裏切ってくれることを祈ろう」

そういって真理亜は歩き出す。その先には強襲揚陸艦の姿が。

「出撃かい?」

「ああ、彼らが敵に穿った傷口を広げる仕事だ。…お前は出撃しないのか?」

「ああ。僕の仕事は監視だからね」

「監視?」

「そう。上の、ね」


奏龍の内部、格納庫。

「なあ」

「ん。何だ?」

炎羅が大和に尋ねる。

「こいつって一体何なん?」

「こいつって、この奏龍のことか?」

「そ。いきなり乗り込めって言われて乗り込んだはいいんやけど、まさか中がこんなに広いとは思わんかったし」

格納庫内部には10両ほどの戦車が搭載されているが、人がくつろぐ程度の広さはある。

「…お前、授業を受けてなかったのか?」

「受けてたけど記憶にないな」

「奏龍型潜水強襲揚陸艦のネームシップ。艦前部が機関部、後部が搭載部になっており取り外し可能。それを利用して後部のみを揚陸させて機関部を繰り返し利用できる。奴らによって通常の上陸が困難になったため開発された初期艦」

「ちなみに戦車の最大搭載数は、載せるものにもよるけど大体8~11くらい。これにはないけど本格的な修理や整備ができる工作型もあるみたいね」

横から付け足す沙織。

「…よく覚えてるもんやな」

「これくらいは授業でやったわよ…」

「いやぁ、そんなことを言われてもなぁ…」

「……呆れた。あなたいつも欠伸して暇そうにしてたからそんなこと知ってるのかと思ってたわ」

「いやいや、ないない」

「炎羅はつまんない授業は全部そうだもんね~」

「実~、その言葉はいいただけないなぁ」

「いやいや、事実なんでしょ~?」

「そんなことはないな~。ただ受ける必要がないと判断しただけや~」

「だから毎回教官にチョークくらうんだろ。いい加減やめとけよ」

大和が呆れて言う。

「あははは」

炎羅が苦笑いで返した。


〝間もなく揚陸を開始します。各員は揚陸に備えてください。繰り返します。間もなく―――〟

「ついに来たか」

「……」

浮かない顔をする沙織。

「どうかしたんか?」

「あ、ううん。何でもない。ちょっと、ね」

「何でもなくないだろ。言ってみろ」

「えっと…あのさ、どれだけ炎羅が上手く運転して、どれだけいいタイミングで大和が合図を出しても、結局私が引き金を引くんだよね…。なんか、ためらっちゃいそうで…」

「そんなんで砲手が務まると思っているのか?」

声のした方を一斉に振り向く5人。視線の先には一人の女性。

「あー、私そんな堅物じゃないから楽にしていいよ」

「…あなたは?」

「あぁ、私のことなんかどーでもいいよ。ただの砲手さ」

そう言って沙織へ近付く。

「それよりあんた、そんな生半可な覚悟じゃ仲間が死ぬよ。演習とはわけが違う。一瞬の迷い、ためらいが同じ隊の戦車兵や搭乗員を殺すのさ。」

話を聞き、固まっている沙織を見て明るい口調で女性は話しを続けた。

「ま、出撃前にこんな重たい話をしちゃって悪かったけど、砲手はそれなりの覚悟と責任がいるからね。でも、自分が放った弾が仲間を助ける時もあるから、仲間を守るっていうことが一番実感できるんじゃないかな。…っとそろそろ時間がやばいから、じゃあねー!」

駆け足で自分の乗り込む戦車へと行く女性。

「……」

「大丈夫か?」

いまだ固まっている沙織に声をかける大和。

「あ、うん。大丈夫。……私、仲間を助ける砲手になる。自分のためじゃなくて、みんなを守るために戦う」

「…わかった。砲手は任せだぞ、沙織」

「うん」

「早く乗らないと作戦に影響が出る」

「っとそうだな恵理。じゃあ、行くか」

香港揚陸まであと10分。


何とか5月中に投稿できました!

一時は間に合わないんじゃね?とか思ってましたが、意外と余裕(?)でした


さて、一時撤退した人類は再度上陸を試みて先遣隊を潜水強襲揚陸艦、本隊を通常の強襲揚陸艦で台湾から送り出します。今後どうなるかは…現在書いてますのでお楽しみに~

あと、新しい登場人物が出てきましたね。彼は当初名無しさんだったのですが、重要な立ち回りをしてもらうことになったので急きょ名前を付けましたw

名前の読み方はまた登場人物の読み方をまとめて出しますね。ちなみに登明のりあきさんです。


最後に、このシリーズを通して言えることですが、戦車等兵器(WW2~2015年にかけてのもの)が登場します。が、こちらの世界の史実と違う点があるかもしれません。その場合は、この物語の世界はこういうことなんだと思ってください。お願いします!

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