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この世界の救世主  作者: くろにゃん
難民救出作戦編
3/21

第1話:出会い

シベリアにて突如正体不明の戦車集団が出現。第二次世界大戦前後の戦車の姿をしたその集団は、人類を圧倒。人類は島国を除くアジア、ヨーロッパ、アフリカを失った。

人類連合軍は、ノルマンディー戦での大敗を受け各国に戦車兵育成を指示。日本も例外ではなく中学又は高校卒業後、戦車兵育成のための軍事学校入学を義務化し、本校、ミハエル学院を設立。

また、在学中の生徒は有事の際、原則戦闘に参加するものとし、第二次世界大戦前後の戦車を使用するものとする。

「すでに知っているものもいるとは思うが、諸君らがこの学校に入学した理由だ」

白チョークで黒板に書き、生徒に向き直った女性は続ける。

「そして私が教官の竹口真理亜だ。よろしく」

黒髪の色白女性。どこか冷たい印象を与えるその声は鋭い目つきと相まって、教官と呼ぶにふさわしいのかもしれない。

「…さて、では…」

「教官」

真理亜の言葉を遮るように呼んだ少年。

「…なんだ」

真理亜は明らかに不機嫌そうだ。

「俺たちが敵と同じ年代の戦車で戦う理由が知りたい」

「そうか…。とりあえず、理由は二つある。一つは国の予算の関係。もう一つは敵と同じ戦車に乗ることで敵の弱点の位置を知ることができるから、だ。座学で暗記するよりも早くな。」

実に淡々と答えた。

「…なるほど。勉強になりました」

「よほど早く戦場に行きたいようだな。名前は?」

「柳田大和」

その名前に真理亜は驚く。

「柳田⁉…あの女と同じ道を辿るために来たのか?」

「違う。あいつを殺すために来た」

「……そうか。別に殺すのを目標にするのは構わん。…本当に人類の裏切者を殺せるのならな」

大和は何も返さなかった。

「では、話を戻すか。では、今から所属する分隊と役割を発表する前に、戦車兵の種類を簡単に説明する。まず車長。周辺の監視と車両の指揮を担当する。次に砲手。砲の照準と砲撃を担当。三つ目に操縦手。車両の操縦を担当。四つ目は無線手。味方との連絡や無線の操作を担当。最後に装填手。砲弾の装填を担当。…ざっとこんなものだな」

真理亜が生徒たちの様子を確認したところで続けた。

「それでは所属分隊を発表する。第1戦車分隊、分隊長車―――」


続々と分隊が発表されていく中、ついに大和所属の分隊の番となった。

「―――以上。次、第6戦車分隊、分隊長車M18ヘルキャット。他、M4A3E8シャーマン、M4シャーマン、M24チャーフィー、T20。ヘルキャット車長、柳田大和。砲手、吉川沙織。操縦手、秋宮炎羅。無線手、八重山恵理。装填手、柳田実。M4A3E8シャーマン車長―――」

「実⁉」

名前を聞いて、大和は思わず声を出してしまった。

「お兄ちゃんと一緒が良かったから、高校に入らずに来ちゃった」

すぐ後ろの席から微笑む少女。大和の妹、実だ。

「おまえ、高校に行けってあれほど言っただろ!頭いいんだから。おまえは戦場に来るべきじゃない」

「頭良い悪いじゃないの!安全な場所で心配して待ってるより、隣で一緒に戦っていたほうが、ずっと安心だもの。それにお兄ちゃんが車長なら信頼できるしね」

「実ちゃんがそうなったら言うこと聞かないし、それにもう入学しちゃったんだから、仕方ないんじゃない?」

不意に横から割って入る声。

「沙織か。…まあ、確かにそうだな」

先ほどから真理亜が大和たちを睨み続けているのでここで話を切り上げる。…が、納得はしていない大和だった。


「―――以上。これで所属分隊の発表を終了する。解散」

急に騒々しくなる教室。それぞれ同じ部隊に配属されたものどうしで集まっていた。

「よろしくな。大和車長」

ふと声をかけられる大和。振り返るとそこには炎のような赤髪の一人の男子生徒が立っていた。

「え~っと、俺はあんたを知らないんだが…」

「まあ、そうやろな。あんたが車長のヘルキャット操縦手、秋宮炎羅や」

「そうだったのか。よろしく、炎羅」

「こっちこそ、よろしくな、大和車長」

「大和でいいよ。同級生だろ」

「そうか。んじゃ、よろしくな、大和」

「おう」

「あ、そういや一つ聞きたいんやけど、いいか?」

「ん、なんだ?」

「ヘルキャットって『地獄猫』って意味だよな?」

「いいえ、違うわ。ヘルキャットは英語でHellCatって書いて、『性悪女』意味なのよ」

「あんまりいい意味じゃないのね」

横から入ってくる沙織。そしてそれに返す実。

「だけど、そんな意味だからCat、つまり『猫』って愛称をつける人もいるみたいね」

「わざわざ答えてくれてありがたいんやけど、あんたらは誰なんや?」

「こっちの茶色いショートヘアーが妹の実で、こっちの金髪のロングが幼馴染の沙織だ」

「てことは、ヘルキャットのメンバーか。よろしくな」

「こちらこそ、よろしくお願いしますっ」

「よろしくねっ」

「…あ、あのっ」

「あら、恵理じゃないの」

「あ~よかった~。沙織だぁ~」

恵理と呼ばれた少女は沙織に抱き付いた。…思いっきり。

「痛い痛い痛い!頼むからそんなに強く抱き付かないで!」

「あ、ごめん」

「なんか…すごい(?)子やな」

「いや、恵理はちょっと人見知りでな。親友の沙織がいて安心したんだろ。」

「ん?ちょっと待てよ?…もしかして大和は恵理を知っとるんか?」

「ああ、そうだけど…それがどうかしたのか?」

「…てことはこの中で初対面なのワシだけやないかぁぁぁぁ!」

「はははっ。確かにそうだな」

「「「あはははっ」」」

お待たせしました。第1話です。

0話を見てくださった方は、待たせてしまい申し訳ないです。


日常(?)的な感じのスタートです。

作中のノルマンディー戦というのは、WW2のノルマンディー上陸作戦とは異なるのでご注意ください。


最後に、このシリーズを通して言えることですが、戦車等兵器(WW2~2015年にかけてのもの)が登場します。が、こちらの世界の史実と違う点があるかもしれません。その場合は、この物語の世界はこういうことなんだと思ってください。お願いします!

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