リイネスとのデート?
貴族様に生意気な口を聞いた翌日…………
俺はリイネスと買い物に出ていた。
『いつまでもそんな服だけじゃカッコつかないでしょ?』
リイネスのありがたい申し出に乗っかった俺はリイネスに服を選んで貰っていた。
「ねえ!こんなの似合うんじゃないかしら?」
「ん、あ、ああ。そうだな」
「あっ、こっちもいいわね!」
これは俗に言う『デート』なのではないだろうか。
モテたこともない俺にはわからないけど。
「…………ン!レンってば!」
「はっ…………」
「なにボーッとしてるのよ。これ似合うだろうから着てきなさいな」
「お、おう…………」
俺が渡されたのは藍色のシャツと黒いズボン。
確かに好きな色だが、今までとなにが違うのか。
そんなこんなでその服と燕尾服みたいなのを買ってくれた。
店を離れ、昼食をとることになった。
「そういえば、レン」
「ん?どうした?」
「あなた、ずいぶん冷静にこの世界のこと受け止めてたけど動揺とかないの?」
「あー……うん。動揺してもしょうがないしな」
「…………貴方って強いのね」
「んなことねーよ」
自分でもここまで冷静に受け止められるなんて思ってなかったしな。
食事を済ませ、また買い物を再開。
女の買い物は長いことをこの身で感じた。
まあ、買うものはほとんど俺のだったけど。
帰宅は夜になった。
「今日は付き合ってくれてありがとう、レン」
「いや、こちらこそいろいろ買ってもらって悪いな」
「今日は楽しかったわ、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
今日俺はグリッドワールドに来て初めて幸せな気分で眠ることができた。
しかし、翌日に起きる大きな問題の原因になるものを俺はすっかり忘れていた。