表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/40

嘘と1人での出発と

リーシャと約束を交わした翌日の朝。

いつも通り、朝食をとる。

ただ、いつもと違うのは─────


「えへへ、お兄ちゃん、あーん」

「いや、いいから。自分で食うから」

「もう、お兄ちゃんったら照れちゃって!」

「いや、照れてないから」


隣に満面の笑みで「あーん」してくる妹が座っていること。

当然相手は妹なので断る。

そして、俺のもう片方の隣はフラン。

今日は普通にイスに座ってる。


「フラン、美味いか?」

「ん……おいしい……」

「だってよ、ミク」

「い、いやー、フランちゃんに言われるとどうしても照れるね」


兄妹揃ってフランの可愛さに完全にやられてしまった。


「「「むうー……」」」


そして俺たちと少し離れて座るリイネス、ルカ、リーシャ。

3人ともこの状況が気に入らないのか、頬がふくらんでる。

とても可愛い。


「いつも3人が俺の周りにいるけど、こうやって少し遠くから見ても3人は可愛いな」

「「「!!!」」」


笑顔でほめると、3人の顔が一気に赤くなる。

そしてもじもじしだした。


「……ずるいわ。不意打ちなんて……」

「レン様に可愛いって言ってもらえるとすごくドキドキします……」

「レンさんたら……もう……」


俺的にはこの瞬間が一番可愛く見える。

この3人全員が俺のなんてどんだけラッキーだよ。

そんなことを思っていると、


『おーい、誰かいないかー?』


という声が玄関から聞こえてきた。


「ん?誰だろ、お兄ちゃん、私が出ようか?」

「いや、俺が出るよ」

「わかったー、それじゃ任せるね」


ミクと話してから、玄関に向かう。

扉を開けると、そこには俺の1.5倍くらいの巨体。


「─────って、クロウさんじゃないですか」

「おお、レンか。久しぶりだな」

「どうしたんですか?」

「王からお前に緊急の依頼だ」


その言葉に俺は扉を閉めた。

ルカはもちろん、他のやつにも聞かせちゃいけない気がした。


「で、内容は?」

「うむ、最近国の西側で異変があったらしくてな。調査に向かってもらいたいのだそうだ」

「西側か……行ったことないな」

「向こうはほとんど魔物の巣窟と化している。俺たち防衛軍が境界の監視をしているが……」

「…………わかりました。今から王都に行きます。詳しくはそこで」

「すまないな」

「いえ……あいつらにあまり心配かけたくないので、もしなにか聞かれても適当に誤魔化してくださいよ?」

「任せておけ、俺はギルドで待ってるぞ」


クロウさんと別れ、家に入る。

入るとルカが玄関まで来ていた。


「今の、クロウですか?」

「ああ、手伝いをしてほしいんだってさ。俺はしばらく王都にいるから帰って来れなさそうだ。ミクに全部任せるから、困ったときはミクに言ってくれ。あとリイネスたちにもこのこと伝えてくれ」

「あの、それでしたら私たちも一緒に……」

「ダメだ」


西側は魔物の巣窟だとクロウさんは言った。

危険な場所には連れていけない。


「俺はミクにいろいろ頼まないといけないから、俺の部屋に呼んでくれ」

「は、はい」


ルカに任せ、俺は自分の部屋へ向かった。

八咫烏を装備して、アイテムと能力も確認する。

しばらくすると、ミクが俺の部屋に来た。


「どうしたの、お兄ちゃん!?まさか朝から私と───」


なんかよくわからんことを言っていたが、俺の姿を見て真面目な顔になった。


「どっか行くの?」

「ああ、俺は国の西側に行く。お前にはこの家のすべてを任せることになるから呼んだ」

「……しばらく帰ってこれないんだね。リイネスさんたちには?」

「王都に行くって言って出るけどホントのことは言わない。危険だからあいつらは置いていく。お前も黙っていてくれ」

「……わかった。気をつけてね」

「おう、あいつらのこと、頼んだぞ」


そう言って、ミクに小さな玉を4つ渡す。


「これは?」

「能力で作ったもの。俺が生きていれば青、死にかけなら赤だ。ミクに1つ、あとはリイネス、ルカ、リーシャに1つずつだ」

「わかった」

「そんじゃ、今度こそ行くわ」

「うん、お兄ちゃんが帰るまでは私に任せてね」


ミクと俺が玄関に戻ると、リイネスとルカとリーシャがいた。

ルカには説明したから、いいだろう。


「王都に行くんですってね」

「ああ、クロウさんの手伝いでな」

「レンさん、気をつけてくださいね」

「おう、お前らも体に気をつけろよ」


最後に3人とキスをして、玄関を出る。

そして、振り返らずにギルドへ向かった。


(すまんな、3人とも)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ