朝の騒動と昇格通知
翌日、俺の朝は騒がしかった。
「ん……朝か……」
「お兄ちゃんおはよー!私と熱いおはようのチューをきゃぁぁぁ!?」
部屋のドアを開けて入って来たミクが悲鳴をあげる。うるさい。
あと妹とはおはようのキスとかしません。
「ミク、うるさい」
「ルカさんは知ってるけど、どうしてリイネスさんとリーシャさんがいるの!?なんでお兄ちゃん以外裸なの!?昨日の夜なにがあったの!?わからないから私とチューして!」
朝から妹がうるさすぎる件。
だから妹とはおはようのキスとかしません。
「んん……」
そんなことをしているとリーシャが起きた。
「おはよう、リーシャ」
「……おはようございます、レンさん……ちゅっ」
「っ!?」
「な、ななななな……………なにやってんですかぁー!」
リーシャにいきなりキスされた。
ミクが騒いでいるが、ほとんど耳に入ってこない。
「えへへ、おはようのキスです♪」
「お、お前な……」
「もう、うるさいわね……朝からなによ……」
騒いでいると今度はリイネスが起きた。
「リイネス、おは……んん!?」
「んっ……ちゅっ」
「リイネスさんまでぇぇぇぇぇえ!?」
リイネスにもキスされた。
ミクはさらに騒ぐ。
そして、「二度あることは三度ある」。
「んん、朝から騒がしいですね……あ、レン様」
「あ、ああ、おはよう、ルカ」
「おはようございます……ちゅう」
「うわぁぁぁぁぁぁぁん!」
ルカにもキスされた。
ミクは耐え切れず泣きながら走り去っていった。
「少し意地悪だったかしらね」
「いい薬になったでしょう。それよりも……」
「今はレンさん、ですね♪」
「アハハ……」
3人のおかげで俺は完全に戦闘態勢だった。
そしてもちろん俺たちは昨晩のように交わりあった。
☆
「はぁ…はぁ…昨日もしたのに……」
「レン様にはやはりハーレムは必要ですね……」
「私たちだけじゃもちません……」
昨日のも合わせてそれぞれ4回。
まだ収まらないけど、そのうちなんとかなるだろ。
服を整えて、4人でリビングに向かう。
リビングにはむくれたミクとフランがいた。
「おにいさん…おねえちゃん…おはよう…」
「おはよう、フラン」
「うん、おはようフラン」
「ごはん…みくがつくったよ…?」
「…………ぶー」
「…………………はあ」
むくれたミクをどうにかするか。
3人にも「行ってあげて」と目で促された。
あいつは事情きちんと説明しないとダメだからなー。
「おい、ミク」
「なによ、お兄ちゃん。私は今怒ってるんだよ?」
「あー、すまん。昨日いろいろあってな。ハーレムを作ることになったんだ」
「ハーレム!?お兄ちゃんが!?」
「まあな」
「じゃあ、私も入れてよ!それなら合法的にお兄ちゃんと……」
「妹相手の時点で違法なんだけどな」
このあとミクはやたらと騒いだが、俺がなだめると少しずつだが落ち着いて、ハーレムに納得はしてくれた。
「入れろ」コールは止まないが。
「まぁ、いいや。とりあえずごはんにしようよ、お兄ちゃん」
「そうだな」
「お兄ちゃんはテーブルに運んで」
「了解」
全員分の食事をテーブルに運び席につく。
自然と俺の傍にリイネスとルカとリーシャが座る。
そして俺の膝の上にフラン。
ミクはわなわなと震えていた。
「………………お兄ちゃん」
「なに?」
「私だけ仲間はずれみたいなんだけど!」
まぁ、言うとは思った。
なんとかご機嫌取りをするか。
「フラン、ちょっと降りて」
「ん……」
フランに降りてもらい、ミクの傍に行く。
「な、なによ……」
「ありがとう、ミク」
ミクの頭を優しく撫でる。
リイネスたちの「あっ」という声が聞こえたが聞こえなかったことにした。
「わ、私がこんなことで…………えへへぇ……」
ミクはしばらく撫でてやると頬を緩ませた。
我が妹ながらチョロい。
その後席に戻り、食事をとった。
3人から「あーん」とかなかったのがちょっと寂しかった。
食事後、ゆっくりしていると玄関からノックの音。
出てみるとギルド長だった。
「どうしたんですか?」
「いやあ、すまんすまん、昨日言うの忘れてたもんでな。みんな連れてきてくれねえか?」
ギルド長に言われた通り全員を玄関に連れてきた。
「で、どうしたんですか?」
「おう、昨日緊急でお前らが倒したのは竜種だったらしいな」
「ああ、そういえばそうでしたね」
「竜種を倒すってのはAランク相当でな。あとはわかるだろ?」
「……つまり、飛び級でAランクにしてくれると」
「そういうことだ。それに話を聞いたら王女様とそこの白髪美人もその戦闘に参加してたらしいじゃねえか。希望なら特例として2人もAランクとして登録するがどうだ?」
俺とリイネスをAランクに上げるだけじゃなく、ルカとリーシャもAランクとしてギルドに登録してくれるという。
Aランクは移動手段に自分で捕縛した亜竜種を使えるようだ。捕縛用の道具をくれるらしい。
ちなみに亜竜種はBランク相当だそうだ。
「どうだい?王女様とそこの白髪美人さん?」
「「お願いします!」」
ということでルカとリーシャもAランクとしてギルドに登録することになった。
「細かいことはミーナに任せとくから、あとでギルドに行ってくれ」
「わかりました、わざわざありがとうございます」
「いいってことよ、そんじゃーな」
そう言ってギルド長は帰っていった。
しかし、飛び級に飛び級を重ねてAランクか。
きっとだいぶ早いんだろうな。
そんなことを思いながら家の中に戻った。