竜種との戦闘と魔法
俺が未来と固まっているとき、通信が入った。
俺は我に返り、通信に出る。
「こちらレン」
『レン!あなたどこにいるのよ!』
『レン様!すみませんがお戻りください!』
リイネスとルカの切羽詰まった声が聞こえた。
「どうした?」
『ミーナさんから連絡があって、近くに大型の反応があるらしいのよ!サーベルボアなんて比較にならないほどの!しかも、ホーンウルフの大群に囲まれてる!』
『私たちだけでは限界があります!』
「わかった、こっちは一般人を保護した。すぐに向かう」
そう言って通信を切った。
俺を驚いた顔で見つめる未来に視線を送る。
「お兄ちゃん……」
「未来、お前は逃げろ。あっちに行けば町があるから」
「お、お兄ちゃんはどうするの!?」
「今の通信の相手を助けに行く。俺の友人だからな」
「………………っ」
未来はより驚いた顔をしている。
まぁ、『向こう』にいたときなら想像つかないだろうな。
「終わったら向こうの話聞かせてくれよ。じゃあ、行け」
「……私も行く」
「は?」
「私も行くの!お兄ちゃんと一緒にいる!」
こうなった未来は絶対に考えを曲げない。
………………仕方ないか。
「………………危ないから俺から離れるなよ?」
「うん!」
「じゃあ、急ぐから担ぐぞ」
「え?きゃあ!」
未来をお暇様抱っこの容量で抱き上げる。
未来の顔が赤くなったが気にしている暇はない。
「行くぞ」
「う、うん」
俺は未来を抱えて来た道を戻る。
すぐに戦闘音とホーンウルフが複数見つかる。
「みんな!」
「レン!やっと戻っ……た……」
「とりあえず離脱しよう!リーシャ後ろ頼む!」
「はい!」
リーシャを殿として森を離れる。
ホーンウルフはやはり森からは出られないようだ。
「よし、なんとか出たか」
「まぁ、そうね。それよりも……」
「ん?どうした?」
俺は不思議そうな顔をしてみんなを見る。
「「「その子誰なのよ!(なんですか!)」」」
「おにいさん……わたしもやって……?」
リイネス、ルカ、リーシャまでもが声を大きくして言った。
フランは相変わらず可愛かった。
ま、参ったな……リイネスはともかくルカやリーシャには転移のことは話してない。
「く、クードに着いたら、ギルド長が住居用意してくれてるらしいから、そこで話すよ」
ここは逃げの一択!
「ということはその子その家まで連れていく気!?」
「誘拐ですか!?」
「誘拐!?いや、レンさんはそんなこと……でも……」
ルカはなんて失礼なことを言うんだ。
リーシャも疑わないで、お願いします。
「ちゃんと話す!話すから!とりあえず大型っていうのは?」
「そう、それよ!もうすぐここに来るらしいけど……」
リイネスと話していると、大きな地響き。
すると目の前の地面にヒビがはいる。
「下がって!」
リイネスの声に全員後退する。
まもなく俺たちがいた場所から竜のような魔物が出てきた。
「デカイなあ……つかドラゴンいたんだ……」
「レン!ぼーっとしないで!竜種なのよ!」
「あれはなんです?」
「確か……アースドラゴンだったはずです!炎系が苦手のはずです!」
なるほどアースドラゴン。
地面から出るってことは飛ばないのか。つまらん。
「じゃあ、俺とリーシャで斬りこむから、リイネスとルカで炎系の攻撃頼む」
「了解、無茶はしないでね」
「任せてください!」
「私の力をお見せする時。ルカ・アルカディア、頑張ります!」
「あまり気負うなよ」
未来を降ろし、黒刀を構える。
俺の隣にリーシャ。
「無理はするなよ、リーシャ」
「わかってます」
「お前がいなくなったら困るからな」
「……………はい!」
すごく嬉しそうな顔をするリーシャ。
誰だろうと知り合いが怪我をするのとかツライ。
「未来は離れてろ!」
「………………っ」
未来にも注意をしてアースドラゴンに視線を向ける。
「行くぞリーシャ!」
「はい!」
俺とリーシャが一気にドラゴンに肉薄。
腕を駆け上がり、ドラゴンの首を斬りつける。が、
「鱗硬いな!?」
「刃が通りません!」
俺のほうは多少入っている分マシなのか。
ただの斬撃じゃどうしようもない!
「リイネス、ルカ!」
「わかってる!『我が矢は炎を纏い、我が敵を貫く』……ファイアアロー!」
「『我が手に宿るは原初の炎、無数の槍となり敵を灼き尽くす』……フレイムスピア!」
リイネスの炎を纏う矢と、ルカの無数の炎の槍がドラゴンを直撃する。
ドラゴンの咆哮が響く。
「おお、今度は効いたな!」
「れ、レンさん!服!服燃えてます!」
「うわっ!?」
服の火を消して再度構える。
俺も炎の魔法ほしいな。
えーとルカのは確か……
「『我が手に宿るは原初の炎、無数の槍となり敵を灼き尽くす』!」
詠唱の真似事をするとルカの槍の数10倍の大きさの槍が1本。
「なんだ、1本かよ……」
「な、なんですか、その大きさ……」
なぜかルカが驚いていた。
「無数って言ってるのに1本しかでないし、失敗だろ?」
「い、いえ、ただ私のは収束してないだけで……してもそれほと大きくなりませんけど……」
「よくわからんけど……まあいいや!せーの、食らえ!」
その槍をドラゴンに向けて撃ち出す。
当たると同時に大爆発が起きた。
その光に俺たちは巻き込まれた。