緊急討伐と再会
俺は朝からリイネスとルカに絞られてヘトヘトだった。
「おにいさん……だいじょうぶ?」
「ああ、大丈夫だよ…ありがとうフラン」
「えへへ……」
フランの笑顔で疲れが吹き飛ぶようだ。
俺も単純だな……。
そんなことを考えていると突然大きな地震に襲われた。
すぐに収まったが揺れはかなり大きかった。
「みんな無事か?」
「はい、私は平気です」
「大きかったですね……今の地震……」
リーシャとルカは無事そうだ。
リイネスは……
「………………………」
「リイネス?」
「ええ、私も無事。でもさっきの揺れ……覚えがあるような……」
なにか心当たりがあるようだ。
リイネスが思い出すのを待ちながら先に進もうとすると、ギルドから緊急の通信が入った。
「はい、こちらレンです」
『ミーナです!レンさんたち今どこに?』
「もう3時間もすればクードに着きますけど」
『レンさんたちの近くの森に魔物が大量発生しているようです!すみませんが、速やかに討伐をお願いします!』
通信を聞いて辺りを見回すと、少し遠いが煙のあがっている森があった。多分あそこだろう。
「了解です、今から現場に向かいます。行くぞ、リイネス」
「ええ」
俺とリイネスが森へ向かおうとすると、ルカとリーシャもついてこようとしていた。
「ルカ、リーシャ。お前らは待ってろ」
「いえ、私は行きます!魔法だって使えるんですから!」
「私も行きます、私もフランも短剣の扱いくらいはできます!」
これはてこでも動かなそうだ。
「じゃあ、全員で行く。俺が前衛、リイネスとリーシャはサポート、ルカはフランと後衛だ」
「OKよ」
「了解しました!」
「レンさん、私頑張りますね!」
全員で煙のあがる森へ向かって駆けていった。
☆
「ん、んぅ……あれ、ここは……?」
私、成田未来は今よくわからない状況の中にいます。
私はお兄ちゃんの部屋でメールを見ていたはず。
なのになぜ屋外にいるんでしょう?
そんなことを思っていた私の後ろに大きな影。
振り返ると……
「う…………そ…………」
自分より何倍も大きいイノシシ。
牙は剣のように鋭い。
恐怖のあまり、私は叫んでしまいました。
「き…きゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
☆
今悲鳴が聞こえた!
「急ぐぞ!」
「あっ、思い出した!」
リイネスがなにかを思い出したようだ。なんでこのタイミング。
「なにを!?」
「さっきの地震よ。あれと同じものがあなたを見つけたときにもあったのよ」
「なんだって!?」
ということは転移者がいるかもしれないのか!?
ますますまずい!
「俺は先に行くぞ!」
「あっ、レン!」
リイネスたちを置いて一気にスピードをあげる。
悲鳴が聞こえた場所まではすぐに着くことができた。
女の子と……サーベルボア!
俺は八咫烏を抜いて、一気に駆ける。
「いくぞ、八咫烏!」
勢いのまま、サーベルボアを一太刀に切り伏せる。
なんとか間に合ったか。
「………え……嘘……」
息をのむ雰囲気が伝わる。
サーベルボアに視線を向けたまま、話しかける。
「おい、あんた無事か?」
「…………嘘、ホントに……?ううん……そんなのありえない……でも……」
なにを疑っているんだ?
俺は不思議がって声の主に視線を向けた。
その人物はこの場に絶対にいないはずの人間だった。
「お前…………もしかして未来か……?」
「嘘……ホントにお兄ちゃんなの……?」
俺たちはしばらくお互いを見つめて固まっていた。