表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/40

決着と王女の答え

『さぁ、盛り上がってまいりました!開始直後からノーム卿の怒涛の攻め!レン選手の攻撃も見事躱し、逆に深手を負わせた!レン選手ピンチです!』


アナウンスの声がやたら遠くに聞こえる。

出血量はまだ大丈夫だろう。

さて、どうする……。


考える暇もなくノーム卿は打撃を繰り出してきた。


「はぁぁぁ!」

「ぐあっ!」


衝撃に堪えきれず俺は吹き飛んだ。


「はぁ……はぁ……」

「フハハハハ、これで……終わりだ!」


ノーム卿は一気に間合いを詰めてくる。

終わった。そう思った。

そのとき、


「レン!立ちなさい!貴方はそんなもんじゃないでしょ!いいから立ちなさい!」


リイネスの声が頭に響く。


「………………っ!」


終われない。カレルさんとの約束を思い出せ。

リイネスを護るんだ。そのためには……


「負けられないんだ!」

「ぐうっ!?」


突っ込んでくるノーム卿の側頭部に蹴りをお見舞いする。

よろめいたところにボディブロー。

腕は痛むが関係ない。

さらに後ろ回し蹴りでノーム卿を吹き飛ばす。


「うおおおおおおお!!」


両手に再度双剣を投影する。


「これで終わりだ!」

「馬鹿な……この私が、こんな下民ごときに…貴様ごときにぃぃぃぃ!」

「喰らえぇぇぇぇぇ!」


双剣でノーム卿をなぎ払って場外に落とす。

この瞬間俺の勝利が決まった。

痛みに耐えながら高らかに拳を突き上げる。


間もなく大会中最大の歓声があがる。


『試合終了!優勝は……レン・リターナ!』


アナウンスによる勝利宣言によってさらに大きくなる歓声。

俺は……


「はぁ…………………」


出血が酷くなって意識を失い、リングに倒れていった。


       ☆


「…………………っ!」


私はレン様の勝利に涙を流して喜んでいた。

あれだけ大きな傷を負っても逆転した彼の勝利に。

だから、彼が倒れて運ばれたとき、お父様の静止も聞かずに、医務室へ駆けていった。


「レン様は!?」


医務室に入るとエルフの女性が1人。

彼女の近くのベッドにレン様は横たわっている。


「大丈夫、傷はそこそこ深かったけどなんともないそうよ。ところであなたは?」

「は、はい、ルカ・アルカディアと申します」

「王女様!?まったくレンってば……」


呆れたような顔で彼を見ている女性。

その顔に胸を打たれるような衝撃が走った。


そして今ので理解した。

彼を想うと胸が苦しい。

彼をよく知るこの女性が羨ましい。

私は……彼が好きなのだ。

彼の試合を見て気になったのは一目惚れだったからかもしれない。


「あ、あの……えっと」

「リイネスです、王女様」

「り、リイネス様、私、戻りますね。彼のことよろしくお願いします」

「ええ、言われなくても」


そう笑顔で返してくる彼女には勝てないかもしれない。

それでも、私は彼の傍にいたい。

自分の持つ王位継承権を捨ててでも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ