王族との食事と王への告白
俺はコロシアムの最も高いところに連れていかれた。
確か、王様たちが座っていた場所。
「お父様!」
「おお、ルカ。どこに行って……そなたは?」
「は、はいっ。レン・リターナと申します。この度は王女様にお食事に誘われて参りました」
なんか敬語とかいろいろ間違ったような気がするが、気にする余裕がない。
「ほう、レン殿か。そなたの活躍は見ておったぞ」
「あ、ありがとうございます」
「よい、ともに食事をしようではないか」
「し、失礼します」
なぜか王女様のすぐ隣に案内された。
隣で王女様が少し赤くなっているように見える。
「………………(チラッ)」
そしてちょいちょいこっち見てくる。
緊張してすごい食事を出されているのに、まったく味がわからない。
……勇気を出して話してみるか。
「王様」
「ん、なんじゃ」
やべえ、超緊張する。
「俺と俺の連れはリスネ村から来ました」
「!」
王様の顔色が変わった。
「そうかノーム卿か。ヤツのことは聞き及んでいる。リスネ村に賊の大軍を差し向けたとな。他にも悪評は耳にしておる」
「リスネ村の件はやはりそうだったんですね」
「理由は知らなかったがの。そなたは知っておるか?」
「俺の連れはノーム卿との婚約を嫌がった女の子です。自分が彼女の恋人を演じて婚約を破棄しようとしたところ……」
「賊を差し向けられたと……」
「はい」
食事中にする話ではないと後悔したが、こんなチャンスは滅多に来ない。
話せるだけ話すことにした。
婚約はノーム卿が勝手に決めていたこと。賊の襲来前にノーム卿の部下がどこかに連絡をとっていたことなど。
「ふむ、今すぐ大会を中止し、ノーム卿を取り押さえてもよい。どうする?」
「それはやめてください。俺はノーム卿に呼ばれてきたとはいえ、借りは返したいので」
「ふむ、承知した。大会中はそなたに任せよう。この後クロウと話しておくがよい」
「はい…………ごちそうさまでした」
俺は席を立つ。
見ると王女様が寂しそうな顔をしていた。
「王女様、お誘いしていただいてありがとうございました。また今度」
「は、はい」
「では、王様、失礼します」
「うむ」
俺は控え室に向かい、クロウさんと食事中の話をした。
「お前、食事中に王相手にそんな話を……」
と、呆れていたが協力はしてくれるそうだ。
これで心おきなくやれる。
もうすぐ始まる決勝戦に俺は胸を高鳴らせていた。