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休息とリイネスのヤキモチ

コルトに入ると商人のような人が多くいるというのが第一印象だった。


「ここは商人が中心の村のようね」

「あのね、リイネスさん。俺の心読むのそんなに簡単かな?」

「ええ、あなたの目を見ればだいたいね」


どんだけ物語ってんだよ俺の目は。

そんなことを考えていると、近くの商人のおじさんがこちらを見て驚いた顔をしていた。

いや、こちらというよりはリイネスを見ている気がする。


「…………リイネスちゃん?リイネスちゃんじゃないか」

「え?……あら?カリラおじさんじゃない」

「久しぶりだねえ、どうしてコルトに?」

「彼と旅をしてるのよ。そういえばカリラおじさんってコルト村に住んでるって言ってたわね」


リイネスの言葉で俺に視線を向けた。


「ほう、そうか。なら君がレン君か」

「な、なんで俺の名前を……」

「リイネスちゃんのお爺さんから聞いていてね。ここにはたぶん休息のために来たんだろう?」

「は、はあ、まあ……」

「なら、家に来てゆっくりしていくといいさ」


というわけでカリラさんの家で休ませてもらうことに。

夕方になるとカリラさんと同じくらいの年齢の女性が帰ってきた。


「あらあら、リイネスちゃんじゃない」

「アリアおばさん、こんばんは」


リイネスたちの談笑は間もなく始まった。

すると、俺に1件の通信が入った。


「すみません、失礼します」

「いえいえ、お気になさらずに」


俺は外に出て、通信を始めた。


「誰だ?」

『は、はいっ、伝言を伝えるためにご連絡しました』


ノーム卿のか。進展があったようだ。


「伝言を」

『はい、2週間後に王都でコロシアムがある、そこで決着をつけようではないか、だそうです』

「…………了解した、その旨を伝えてくれ」

『は、はい、失礼します』


通信は切れた。

リイネスには話さないほうがいいだろう。

俺は何事もなかったかのように家の中へ戻った。


「どうも、すみません」

「いえいえ」

「レン!今日おじさんたちの家に泊めてくれるそうよ!」

「えっ、いいんですか?」

「ええ、部屋は余ってるし、ゆっくり休んでいってくださいな」


そういうことなら俺としても都合が良い。

ノーム卿とのことをゆっくり考えておきたいし。


「ではお言葉に甘えて」


ということでお世話になることにした。

そうしてその日はすぐに眠りに落ちていった。


       ☆


翌朝。


「それじゃ、おじさん、おばさん、お元気で」

「リイネスちゃん、頑張ってな」

「お世話になりました」

「いえいえ、また来てくださいね」


別れを告げ、コルトを出る。


「まずはキルカだな」

「ええ、幸いここから近いみたいだし、今日中に着くと思うわ」

「なら、向こうに着いたらリイネスは宿探し頼むぞ」

「いいけど、レンは?」

「俺はギルド長に頼まれてたやつ貰ってくるよ」

「わかったわ」


着いてからの予定を話し合っていると通信が1件。


「はい、レンです」

『ああ、レンさん。ミーナです』

「あ、はい、どうかしましたか?」

『いえ、お帰りはいつになるかな、と思いまして。帰ってきたらデートしてほしいなと思いまして♪』


おお、それはすごい。

なにがすごいかと言うと……


「………………………レン」


通信を聞いたリイネスのお怒りの視線が。


「そ、その話は帰ったらしましょう!?ね!?」

『そうですね、ご帰還お待ちしていますよ♪』


なんとか通信は終わらせることができた。

あとは……


「…………レン」

「……………………………はい」


この後キルカに着くまでリイネスのお小言は続いた。

俺は結局、リイネスがなにに怒っているのかもわからずじまいだった。

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