装備変更とミーナ・ハルト
十分な休息の後、俺たちはギルド長から言われた通りミーナさんのところへ行った。
「ミーナさん、こんにちは」
「こんにちは。レンさんは十分に休めたようでなによりです。ランクの更新ですね?ギルド長から承っております」
「はい、お願いします」
「では少々お待ちくださいね。ランクの飛び級なんてそうそうないので少し時間がかかるかもしれませんけど……」
「俺は構いません。リイネスもいいよな?」
「ええ、問題ないわ」
「では少々お待ちください。あ、これ、依頼達成とイレギュラー解決の合計した報酬です。これでお買い物でも行ってきたらいかがですか?」
「じゃあ、そうしようかな。ミーナさん、あとはお願いします」
報酬を受け取ってギルドを出た。
そして、市街地に向かうことにした。
「さて、なにを買おうか」
「貴方ね……リスネ村に私が買った服置いてきたでしょ?新しく買ったら?」
「ああ、そういえば」
今回の件で着ていた服もボロボロになってしまったしいい機会か。
「悪いんだけど、またリイネスが選んでくれないかな?」
「え、えぇ?それでいいの?」
「俺が選ぶより良さそうだしな。前回選んでもらったのも良かったし」
「じゃ、じゃあ、選ばせてもらうわ……」
なぜか少し嬉しそうな顔をしているリイネス。
もしかしてきせかえ人形みたくされるんだろうか。
「それじゃ行くわよ!」
「お、おう……」
ということでまずは俺の服を買いに行くことに。
せっかくなら防具もと言うリイネスに防具より動きやすい服をと反論する俺。
「防具があればこの前みたいにはならないはずよ!」
「防具つけたら重くて回避できなくなるだろうが!」
頼んでおいてこれだけ文句をつける自分に呆れつつ意見は曲げない。
結局黒いロングコートと黒いレザーパンツ、防具としてコートに申し訳程度の小さな胸当てをつけて妥協することになった。
「つか、これ結構高いんじゃないか?いいモノばっかだし」
「ああ、大丈夫よ。これで報酬の3分の1だから」
イレギュラー討伐報酬すごすぎるだろ。
「じゃあ、次はリイネスの装備を買って、残りは残しておくか」
「え、いいの?たしかに軽金属装備と弓は欲しかったけど」
「報酬は俺たち2人のだからな。俺だけ買っても申し訳ないだけだ」
というわけでリイネスもライトアーマーと新しい弓を買うことに。
買い物を終えて、食事をしているところにミーナさんからの連絡が来て、ギルドへ向かった。
「お待たせしました。レンさん、リイネスさんをランクDとして更新しました。これからは王都の通行許可書の発行、そして移動手段として馬が支給されます。必要なときはお申し付けくださいね」
ギルド長から聞いてはいたけど…王都への通行許可書は必要だけど馬は必要ないな。歩かないと、この世界のことはわからない。
「王都への通行許可書だけお願いします。俺は馬は必要ないので」
「私も同じでお願いします」
「了解しました。すぐに発行しますね………………はい、発行完了しました。あ、そうだ。ギルド長からの連絡で私、ミーナ・ハルトがお2人の専属となりましたので、どうぞよろしくお願いしますね」
なんと。ギルド長ナイス。
てか、発行早すぎだろ。いいのかそんなんで。
「ミーナさんみたいな綺麗な方なら歓迎です。これからよろしくお願いします」
「あら、お上手なんですね、レンさん。リイネスさんもよろしくお願いしますね」
「ええ、よろしくお願いします。レンはあとでちょっと話があるわ」
あれ、なんだろう。嫌な予感。
「アハハ……頑張ってくださいね」
「ほら、行くわよ、レン!」
「ちょ、ちょっと待てって、リイネス!」
「ああ、レンさん」
引きずられそうになる俺を引き止めたのでリイネスを外で待たせて聞くことにした。
「どうかしました?」
すると顔を俺の耳に近づけて、
「個人的な話ですけど……無茶する姿かっこよかったですよ。今度お暇なときにでもデートしてくれたら嬉しいです♪」
「なっ!?」
顔が熱くなるのを感じて、後ずさるとミーナさんは少し頬を染めた満面の笑みだった。
「でも、無茶するときはその前に連絡くださいね?私は貴方とリイネスさんの専属オペレーターになったんですから」
そう言って笑顔のまま俺を送り出してくれた。