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ボス戦とギルド長

手元に双剣が出た瞬間、サーベルボアに側面から突っ込んだ。

周りにはホーンウルフがいるが、リイネスの的確な射撃により、すべて射抜かれている。


「シッ!」


双剣を前に突き出し突進。当たると同時に左右に切り払う。

切り払った後、一時離脱に飛び退いた。


「グァァァァァァァァア!!」

「なっ!?」


飛び退いた瞬間、サーベルボアは俺の方に頭を向け、角を振り回した。

とっさのことでガードもまともにできず、木を数本なぎ倒しながら吹き飛んだ。


『レン!?』

「かっ……はっ……」


まともに息ができない。

たった一撃で体中が猛烈に痛み、立ち上がることすらままならない。

当然サーベルボアが俺が立ち上がるのを待ってくれるわけがない。

体を俺に真っ直ぐに向けると、ものすごいスピードで突進してきていた。


『レン!早く逃げて!レン!』

「………………」


逃げなければ死ぬという状況で、俺はまだ考えたことを実行しようとしていた。

力を振り絞って立つと双剣を胸の前で交差させて、


「──────────」


自分でもわからない言葉を言って、双剣をサーベルボアに向かって投げる。

すぐに同じものを造る。

投げた双剣はサーベルボアの足に当たり、突進を止めさせた。

俺自身は飛び上がって、全力で双剣を振り下ろす。


「ハァァァァァァァァァ!」


振り下ろされた双剣はサーベルボアの胴体に大きなキズをつくった。


「ゴァァァァァ…………」


その一撃が致命傷となり、ゆっくりと倒れていく。

俺自身も着地と同時に膝をついてしまった。

そして、倒れた震動で勝利を確信した。


「……………………はぁ、はぁ……」


倒れたサーベルボアを確認すると体から力が抜けて、顔が地面に近づいていく。


「レン!」


リイネスが倒れる直前で抱きとめてくれた。


「レン!大丈夫!?しっかりして!」

「リイネス……」

「もう…………無茶しないで!」

「……アハハ、ゴメン……」

「……でもすごかった。よく頑張ったわ」


リイネスのその言葉で安心したのか、俺はそのまま意識を失った。


       ☆


「はい、お疲れ様でした。レンさん、リイネスさん、依頼達成です。イレギュラーがあって大変でしたね。ご苦労様です。後でサーベルボアを討伐した件でギルド長が来ますので、お話を聞いてくださいね。あとレンさんは今後無茶は控えるように」

「ありがとうございます、ミーナさん」

「ありがとうございます、すみません」


ここはギルドの病室。

俺は気を失った後、リイネスによってギルドまで運ばれてすぐにここで治療を受けたそうだ。


「それでは失礼しますね、レンさんは安静に。変なことはしないでくださいね」

「はい……って変なことってなんですか」


笑ってミーナさんは出ていった。


「はぁ……ミーナさんの言う通りよ。今後はあんな無茶しないでね?見てるこっちが辛いのよ」

「わかった。わかったから。怒りながら泣かないで」


泣いているリイネスの頭をなでたらやっと落ち着いてくれた。


「そういえば俺の治りがずいぶん早いけど、かなり優秀な医者に診てもらったのか?」

「……いいえ、ここに着いた時にはキズはほとんど塞がってたわ。ベッドを使わせてもらってるのは気を失っていたからよ」

「へぇ…………?」


聞いていて思ったが、きっとこれもチート能力だろう。

「超回復」ってところだろうか。

考えているとドアがノックされた。


「どうぞー」

「おう、失礼するぜ」


入ってきたのは見た目30代前半の装飾の施された藍色のコートを着た男性。


「えっと……?」

「2人で話してる途中だったか。こりゃすまないな」

「いえ、お気になさらずに。どちらさまですか?」

「あぁ、俺はユーリ・マークフェルト。ギルドの長を務めてる。ミーナから聞いてないか?」


この人がギルド長か。

ということはコートの装飾はギルド長の証だろう。


「あぁ、さっき聞きました。俺は……」

「レン・リターナ。そっちの嬢ちゃんはリイネス・クレシュだろ?当然把握してるぜ」

「ギルド長さん、私たちにお話とは?」

「ん?ああ、お前らが倒したサーベルボアについてだ。ギルドに入った冒険者にはランクがあるんだが、サーベルボアはD級の魔物でな。お前らのような冒険者になりたて……ランクFには到底及ばないヤツなんだな」


ランクか……確かにFの状態でDの敵に挑むのは無謀この上ないな。


「それでだ、お前ら2人をギルド長権限でランクDまで上げたいと思うんだがな、どうかな?」


つまりは飛び級みたいなものか。

能力主義だとこういうことはわりと起こるのか。


「あの、ギルド長さん」

「ん?なんだい、リイネスの嬢ちゃん」

「ランクD……つまりランクが上がるとメリットがあるんですよね?」


俺もそこは聞いておきたい。

なにか重要なことがあるなら聞いておかないと。


「ふむ……うちはランクE+以上には王都の通行許可書の発行、ランクD以上には交通手段として馬を与えている。現状そんなところだ」

「ありがとうございます。私はランクDでも構いません」

「俺も構いません」

「そうかい、なら十分に休んだらミーナのところでランク更新をしてくれ。話はしておく。そんじゃあな」


そう言ってコートを翻して帰っていった。


「いきなりランクDなんてね……これもレンの頑張りのおかげね」

「ありがとう、とりあえず今はゆっくり休むことにするよ」

「ええ、おやすみなさい」


リイネスとの会話を終えて、眠りに落ちていった。

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