五 次の日の夕方な話 その四
放課後。
いままでずっと寝てた馬鹿は、ホームルームでその他雑用に決まったことを知らず、親身になって教えてやり、さっそく雑用を押し付けてみた
「……消えて?」
あぁ、うっとうしい小バエはとっとと退治するに限るね。
「ひどい〜、……! 分かった! それってツンデレってやつだぁ!」
ふ〜む……そうなのか? 分からないことは否定しておこう。馬鹿のいうことだしね。
「それは違うんじゃないかなぁ? 君が言う事だよ? あってる訳が無い」
「ぎゃっ、超非道! 冷血漢! 冷酷ぅ〜!」
はっはっは、その辺は当たってるんじゃないかなぁ? どうでもいいことだけど。
ふと、上級生っぽい女の人が近づいてきた、書類と共に。
「はいは〜い、映観研究部の勧誘ですよ〜?」
「えいかん〜? なにそれ?」
同感だね、なんだそれ? 映研なら分かるけど。
「仮入部でもしませんかぁ〜?毎日、映画見放題ですよ〜?」
芸術には興味がない……というか、何も感じないから見る意味がないのだけど、
「見放題! バイキング! お得! 来なさい、いっちー」
不可思議な思考回路が働いたため、映観に入ることになった。
仮入部だけどね。
それにしてもいつの間に「いっちー」なるあだ名を?
「――疲れたよパトラッショ……」
これで人間は感動するんですね、とりあえず涙を流しておきましょう。
「うわーん、うわーん」
しかし、一番安直で簡単な涙声と、実際の涙との相乗効果で本当にごまかせるのだろうか?
……勿論この馬鹿はごまかさなくても気付くはずなく、
「ぶゎぁあーーーん!、びよぇーーーん!」
などと不思議な音を出していた。……もしかして、これが普通の泣き方なのかな?
などと世迷言を言ったのは、さっきの勧誘員も同じ音を出していたからだ。
ここは映観研部室、さっきの勧誘員は実は部長で、残りの部員は去年卒業して、たった一人残ったらしい。
月島 奈夜、ナヨナヨしてるしピッタリの名前だ、そう清菜が言ってた。
しかし、仮にも勧誘や雑務を一人でこなしていたんだ、少なくとも馬鹿よりは優秀だ、きっとね。
「おぉー泣かないで、主はきっと貴女を見守っています! お茶をどうぞ、きゃっ!」
「ぎゃー! 熱湯が降ってきたー、熱い〜〜〜!」
……本当にそうなのかな?
でも、いいところを見つけたな。ここでなら暇を潰せそうだ……。
『自由に動いて自分の存在価値を見つけろ、自分のすることを見つけろ、やりたい事を見つけろ。人間として動いてみせろ。それが命令だ』
……無駄だと思うけどね、こんなもの。
命令だしね、仕方ないか……。
イベント豊富な長い一日が終わった……、あとは帰って寝るだけだ、あぁベッドが恋しいよね。
これから少し展開する予定