表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

えぴそーど1

「おかえり、シューちゃん。学校どうだった?」

「んあ、なんか新しかった」

初日は特に珍しいことは無かった。入学式も、普通の高校と同じ。

「大体、黎高のことは、あのアホに聞けばわかるだろ」

もう高校生だぞ、ちゃん付けするなよ。いくら俺が新入生だとはいえ、俺に感想を求めなくてもいいだろ、母さん。そもそも母さんは、黎明高校に行ったことあるんだろ、あのアホと。

そうそう、いつもこんなふうにでっかい足音立てて、リビングのドアを盛大に開けて…。

「お母さん、お金ちょうだい。三千円」

「あら〜、レオちゃん。今月はもう二万も使ったじゃない」

二万とか、何に使ってんだよ、バカ姉貴。高校生が一ヶ月に使う金の量じゃないし。

「レオ姉、そろそろ母さんから金持ってくのやめろ。借金取り立ててるみたいで、アホにしか見えない」

「う、うるさいわねっ!あんたには関係ないでしょ!」

関係大アリだ。俺とレオ姉の学費、誰が払ってると思ってんだ。

説明が遅れたが、今、母さんから金を取り立てている女は、嘉川 麗音那。家では、レオとかレオ姉って呼ばれてる。黎明高校三年生で、女子バレー部のキャプテンだったりする。

「ああ、もういい。俺が三千円出すよ」

「でも、そうしたらシューちゃんのお金が…」

「気にすんなって。母さんには世話になってるから」

そう言って俺が千円紙幣を三枚取り出すと、レオ姉はそれを強引にブン取り、リビングを出ていこうとした。

「シューみたいな出来損ないのポンコツでも、なかなか気が利くものなのね」

去り際の言葉があまりにも不遜極まりなかったな。次に取り立てに来たら罵倒を浴びせたい。

明日は部活動見学があるな。吹奏楽部、見に行くか。

そういえば、ふと思い出した。今日の入学式は、ほかの高校とは少し違った。何が違うって、

「吹奏楽部、ヘタだったな…」

おっと、これは失礼な言葉がこぼれてしまった。

そう、黎明高校吹奏楽部は、正直、聴けたものじゃなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ