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頭に隕石がぶつかったら、スペースオペラが始まった。  作者: 大間九郎
二章 さあ、お約束のハーレム展開だ
9/14

深見深、ヒロインを差し出す

へろへろでござるー


 みんなうるさく喋り捲っていたので今回は気がつかなかった。

 

 結構時間が立つまで気がつかなかった。

 

 さっき外で起きたのと同じ現象、俺は罵り合う三人の声を頭の中でシャットアウトし、耳を澄ます。


 やっぱり蝉の声が聞こえない。静寂、姦しい三人の声以外はまったくの静寂。そして感じる誰かの視線。


「深君、話を聞いてるの?」

「お姉は少し黙ってて」


 俺は手のひらをお姉の前に出し、辺りをうかがう。窓の外か? いや、もっと近いか?


「もう家の中に入ってるみたいだね~」


 『ジャルパカ』お茶をすする。


「『ジャルパカ』ありゃなんだ?」

「さっきも説明したけどあれはアンドロイドだよ~」

「お前の仲間か?」

「仲間? おかしいなことを言うねシン君は~、僕だって襲われてるんだよ~、あれは僕にとって敵だと思うよ~」

「あー言い方がいけなかった。あれはお前と同じ宇宙人か?」

「だからシン君~アンドロイドは人造人間、宇宙人ではないよ~」

「あー聞き方がいけなかった。悪い、あれはお前と同じ宇宙的な何かか?」

「いやちがうでしょ」

「ちがうの?」

「ちがうよ~だってあれ、」

「だって何?」

「だってあれ地球製だもの~」

「???」


 俺が『ジャルパカ』を見ると、『ジャルパカ』はにかーって笑った。


「メイド・イン・地球だよ~」


「いや地球の科学でアンドロイドって」

「シン君~地球の科学も捨てたもんじゃないってことだよ~」

「いやいやいや百歩譲って地球製でも、なんで俺のこと監視したり、お前のこと襲ったりしてんの?」

「そりゃ、シン君の頭部は恒星破壊装置が融合してるんだよ~すごい科学力なんだよ~欲しくないはずがないんだよ~」

「お前は? なんで襲われてんの?」


 『ジャイパカ』が気まずそうに顔を逸らす。


「お前なんかしたべ?」

「いや~なんにもしてないよ~」

「ウソこくなや、手足切断してアイツらに引き渡すぞ」

「シン君!? ハードプレイが行き過ぎてるよ!?」

「いいから話せや! このキモうんこ八目ウナギが!」

「シン君!? もう言葉攻めじゃなくてただの罵倒だよ!?」


 俺は『ジャイパカ』の首根っこを掴み立ち上がる。リビングから廊下に出る。


「すいませーん! この寄生虫引き渡すんでー! 今日のところはお引き取りくださーい!」

「シン君!?」


 うだうだ暴れる『ジャルパカ』の頭をポカリと殴り、ズリズリ引きずる。


「すいませーん! 出てきてくださーい! そして出て行ってくださーい!」


 ギギギギギ、絶対油切れみたいな駆動音と共にさっき見たロボゴリラがお姉と珠代の部屋からドアを開けて現れる。


 いや、不法侵入の上に女の子二人部屋から登場とかってかなり引くんですけど。


「すいませんコイツあげるんで出てってもらえますか?」

「シン君!?」


 またうだうだ暴れ出した『ジャルパカ』の頭をポカリと殴り、静かにさせ、ぐいっとロボゴリラにさし出す。


 ロボゴリラが右手を俺にさし出す。


 うん交渉成立かって思ったんだが何か違う。

 ロボゴリラのさし出した右手の先端、なぜか五本ある指の人差し指だけが伸びていてほかの指は握られている。

 なんじゃこりゃ? ETか? 

 俺の知らない異文化シェイクハンドの方法か?って思って俺も『ジャルパカ』掴んでないほうの左手の人差し指を伸ばしロボゴリラの人差し指に近づけていくときゅウィーンて音が響きだし、ロボゴリラの人差し指から青いレーザー光線が発射され俺の左肩を貫く。


 ぶっ飛ぶ俺。

 一緒にぶっ飛ぶ『ジャルパカ』。



「あれなんでー!?」「だから君のこと狙ってるんだよ~」「肩スゲー痛てー!!」「そりゃーレーザーが貫通してるからね~」なんて会話を空中でしながら廊下の端に二人そろって激突する。



「なんとかしろ『ジャイパカ』!」

「なんとかって~?」

「とりあえずやっつけろ!」

「いや~さっきシン君僕のこと敵に売ろうとしてたよね~」

「お前があのロボゴリラやっつけないんなら俺がお前の首捻じ切るぞ!」

「本当にシン君は僕に容赦ないね~」


 ま、しかたないかって言いながら『ジャイパカ』は体を蛇のようにくねらせ超高速でロボゴリラの体に巻きつき、締め上げる。


 はっきり言って人間の動きじゃないし、体中の関節が外れたってあんな蛇みたいに敵に巻きつけない。

 キモい、見た目が人間なだけより一層グロい。


 『ジャルパカ』は人間の限界をはるかに超えた大口を開けロボゴリラの首筋に齧り付く。

 

 グシャ! バリバリ! じゅじゅじゅ……スゴいグロい音がしてロボゴリラの頭部が体から切断されていく。



 ゴト



 開始から十秒ほどで頭部がゆっくり廊下に落ちて、青い液体が首から噴射されて廊下中を真っ青に染め、返り血?で真っ青に染まった『ジャルパカ』がロボゴリラの体からゆっくり優雅に廊下に着地する。


「ごちそうさまでした」


「キモ!」


「ほら~命令どおりに敵を駆逐したんだからごほうび~」

 

 体をくねらせながら近づいてくる『ジャルパカ』はなぜか唇をとがらせて俺の顔にその真っ青な顔を近づけてくる。

 

 肘鉄一閃。

「ひぎゃ!」

 鼻をお押さえながら吹き飛ぶ『ジャイパカ』。


「シン君~僕はごほうびに肘鉄を求めるほどハードなMじゃないんだよ~」


 俺は『ジャルパカ』を無視し切断されたロボゴリラの頭部を持ち上げ観察する。

 外装は真っ黒で何やら金属らしい何かでできてる。

 切断面を覗き込むと金属ぽい何かと肉々しいなにかがびっちり詰まっていてグログロしい。


「これお姉と珠代に見せればお前が宇宙人だって信じてくれっかな?」

「それはどうかな~? 宇宙人の存在は信じてくれるかもだけど、僕を宇宙人だとは認めてくれるかな~それ僕の首じゃないし~」

「まーでも第一ステップってことで」


 俺はキモゴリラの頭部をもってリビングに入る。


「お姉、珠代、これ見てみー。宇宙人、宇宙人はこの世に存在しますよー」


 キモゴリラの頭部を持ち上げて部屋の中を見るとそこにはキモゴリラが二体こっちを見ていた。


 お姉と珠代をそれぞれ肩に抱えて。


「助けて深兄!」


 叫ぶ珠代、お姉は眠らされているのかぐったりしている。俺が助けるため駆け寄ろうとするとキモゴリラ二体は人差し指から青いレーザーを乱射して俺の体中が貫かれる。


 キッチンまで吹き飛ぶ俺。


「深兄!」

 泣き叫ぶ珠代とぐったりするお姉を連れキモゴリラたちは窓から飛び出す。


「珠代! お姉!」

 俺は立ち上がり追いかけようとすると、後ろから『ジャイパカ』が抱き着き、体をガンジガラメに拘束する。


「離せ! お姉と珠代がさらわれる!」

「今動くとシン君死んじゃうよ~」

「俺はいいから! 死んでもいいから! 離せ!」

「いや~二人助け出す前に死んじゃうよ~それじゃ~犬死でしょ~」

「いいから離せ!」


「大丈夫、あいつらの拠点は調べてあるよ~今は傷を治してシン君、大丈夫、必ず助けだせるから」

 『ジャルパカ』は俺の体を大蛇みたいに締めあげ首に齧り付く。


「痛でー! てめえ弱ってる俺を食い殺す気だなー!」


「しょぶばぼぼしゅにいば~いばばじゃしゅうぃんくんぼしぇいみゅめぇびべべぶにゅいこじゅつとぼーぶじゅじゅららじゅうぃっちょしゅぺぺぺ~」(そんなことしないよ~今からシン君の生命エネルギーコントロールするからじっとしててね~)


「なに言ってるのか分かんねーけど悪意だけはしこたま感じんぞ!」


「あしゅびじゃばびぼ~」

(悪意じゃないよ~)


「あー殺されるー!」


「むびゅ・びょぶじゅぶばしゅてるべどべ~」

(でも、欲情はしてるけどね~)」


「たーすーけーてー!!」


「だ~じゅ~べ~じゅ~」

(た~す~け~る~)


「たーべーらーれーるー!!」


「だ~ぶぇ~じぇ~ぶぅ~じょ~」

(ルビ・た~べ~ちゃ~う~ぞ~)


 そんな感じで俺は三十分以上『ジャルパカ』に首をちゅうちゅうされ、完全に誘拐犯を取り逃がした。


               ☆☆☆☆


「気持ちよかったでしょ~?」

「気もち良いかボケが! 恐怖で失禁寸前だったわ!」

「ビンビンだったくせに~」

「いや、それは、その、」


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