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頭に隕石がぶつかったら、スペースオペラが始まった。  作者: 大間九郎
一章 頭に隕石当たる
4/14

深見深、家に帰る

働かずに原稿料だけほしいでござるー


 キモエイリアンの背中グチャミソにしたらすっきりしたので、この凶器を『ジャルパカ』のズタズタの背中に押し付け、

「ええんか~これ以上裂けると、一生消えない傷が残るで~」

 と、脅しながら灰皿型のフライングソーサーで家まで送ってもらった。「本当に手伝ってくれないかな?」て最後まで『ジャルパカ』は俺に頼み込んできたけど無視した。これ以上は関わり合いになりたくないし、俺の心の虚ろはこんなことじゃ埋まらない気がしたからだ。

「おい『ジャルパカ』、お前今いくつ?」

「ん? 歳?」

「そう、歳」

「君の世界の勘定のしかたなら十八歳かな? そんぐらいだと思うよ」

「俺と大して変わらんくらいか?」

「うん、そんくらい。でも生きてる年数は僕のほうが全然長いけど。歳の数え方が違うんだよ。僕は成人する一歩手前ぐらいの歳だから、シン君と同じぐらいってことでいいと思うんだよね」

「それなら聞きたいことがあるんだ」

「ん? なになに? 答えられることなら答えるよ?」

「俺とは姿形も、生まれた星も、風習も、習慣も、体を包む技術力も全く違うお前に聞くのが一番参考になりそうな質問なんだ」

「青春ポイね~いいよ~僕に答えられることなら、喜んで答えるよ~」

「おまえさ、」

「なになに?」

「心に虚ろってある?」

「なに? 虚ろ?」

「そう虚ろ」

「まってその言葉がなかなか理解できないから今翻訳ソフトバージョンアップさせて対応するから」

 『ジャルパカ』は自分の口の中に手を入れ、グリグリ何かをこねくり回している。

「あー分かった『虚ろ』。虚脱した状態。空の状態。何もない状態。意味としてはそんなところだよね。でも質問の意味が分からないな? 虚ろがあるって質問は少しおかしな質問じゃないかな? ないがある?って聞かれても、ないものはないし、あったらそれはないじゃなくなっちゃうんじゃないかな? メモリーの空き容量がある?って感じにこの質問は捕えていいのかな? それならばまだ僕の脳内には無限にメモリーの空き容量はあるし、あるって答えればいいのかな?」

「いや、心の虚ろさ、心の中に虚ろはあるかいベイベー」

「だから心はOSみたいなものでしょ? 記録媒体が脳みそ、だから心には虚ろはないよ、それじゃ欠陥OSみたいに動けなくなっちゃうってことだと思うし、僕は今正常に動いてるからきっと『虚ろ』は心にはないよ」

「オウケイベイベーセンキューベイベーおやすみなさいベイベー」

「おやすみなさいシン君」

 俺はフライングソーサーをおりて自分の家に向かう。団地、県営の団地の三階が俺の家で、お袋さんと、親父さんと、妹と、姉貴と暮らしている。

 俺は歩きながら軽く手を振る。

 眩い光が暗い夜空に吸い込まれていくのが、見なくても、振り向かなくても、なんとなくわかる。

 俺は腰にぶら下げてる鍵の束から家の鍵を選び出し、カギ穴に差し込む。

 宇宙人には虚ろはなかった。思春期の宇宙人には虚ろはなかった。

 虚ろがないのは羨ましいなって思う、団地の階段から見える夜空を見上げる。宇宙には虚ろはないのかな? ならあいつに付き合って宇宙ん出でるのも悪くないかなった少し思うがそんな考えはすぐに消去する。逃げるだけじゃ虚ろは埋まらない気がするから、宇宙に行くことは逃げることのような気がするから。

 

 逃げたっていいんだけど。逃げなくたっていいわけだし。

 あのエイリアンキモいし。

 そんなことを考えながら鍵を回してドアのロックを外す。


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