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頭に隕石がぶつかったら、スペースオペラが始まった。  作者: 大間九郎
二章 さあ、お約束のハーレム展開だ
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深見深、オマージュは著作権に引っかからないと信じている

まだ地球でござる―


 俺と『ジャルパカ』は厚木駅からすぐのショッピングモールにある立体駐車場にいる。

 俺は黒の全身タイツ的な戦闘服を着せられ、そのうえから白に茶色の淵どりがされた外骨格的なものを上半身に着せられた。


 なんだこりゃ? サイヤ人か?


「僕がデザインした戦闘服はどう~? いいでしょ~サイヤ人みたいでしょ~」


 やっぱりサイヤ人か。


 『ジャルパカ』の外骨格はタイツが半袖短パンになっていて、肩当がついている。


「僕のは『クリリン』モデルで、シン君のは『ベジータ』モデル~よくにあってるよ~」


 やっぱりベジータか。


 俺たちは止めてある車の陰に隠れ立体駐車場一階にある『立ち入り禁止』とデカデカ書いてある扉に様子をうかがっている。


「お前本当にここなの?」

「そうだよ~」

「なんでショッピングモールで立駐なの?」

「目立たないうえに、人の出入りが激しくてちょうどいいんだよ~」

「本当に中にお姉と珠代がいるんだろうな?」

「いるいる~確実にここだし、二人は無事だよ~」

「なんでそんなことが分かんだよ?」

「二人に発信器とバイタルチェッカーつけといたから~」

「あ、そう」

「それよりさっきの話なんだよ~」

「さっきの話?」

「そうさっきの話~お姉さまと珠代ちゃんとシン君が血がつながってないって話~」

「あーその話はいいわ」

「え~なんで~?」


「いや今まで血がつながってるって思ってたもんがつながってなかった、確かにショッキング、でもそれだけの話じゃん? マー理由はいろいろあるでしょ社会は厳しいし、世の中は不条理だから。でもそれは俺とお姉と珠代には関係ない話だから、関係なさ過ぎてどうでもいい話だから、だから聞きたくないし知りたくなわけ、だからお前も話さなくていいわけ、てか話すな、話すとお前ぶっ殺すぞ」


「う~でも大切なことだよ~これから先も~この瞬間も~」

「大切なのは二人を助けること、それだけ」

「う~本当に話しちゃダメ~?」

「首捻じ切っぞ」

「う~本当にシン君は僕に容赦がないな~。ま~い~か責任は自分で取ってよね~」

「責任?あーいーわ俺が責任とってお前の首ねじり切ってやるわ」

「それはいいよ! ねじらないでよ! 本当にシン君僕のこと嫌いだね~」

「頭吹き飛ばされてっしね」

「う~ごめんね~」

「ごめんで済んだら警察いらんわ! それより償いは仕事で返せ、今から俺のために忠実に働けよキモエイリアン」

「本当に容赦ないね~」


 『ジャルパカ』は口の中に手を突っ込み、見たこともないオモチャみたいに電飾バリバリのハンドガンを出す。


「それじゃいこうか~」

「ちょっと待て『ジャルパカ』俺手ぶら」

「うん、手ぶら」

「うんじゃないわボケ! 俺にも飛び道具をよこせ!」

「え~シン君、銃とか撃ったことないでしょ~?」

「あるかボケ!」

「そんな人に銃は渡せないよ~モラル疑われちゃうよ~良いじゃんシン君ゲンコツでシン君のゲンコツなかなかのもんだよ~」

「ゲンコツで戦えるかボケ! 相手はアンドロイドだぞ!」

「シン君だって銀河系最強じゃ~ん」

「最強じゃないわボケ! 自慢じゃないが喧嘩モロ弱だわボケ! モロ弱上等だわボケ! いいから飛び道具をよこせ! 不安で足の震えが止まらないわボケ!」

「う~んしょうがないな~それじゃシン君、自分の左手首をつかんで~」

「こう?」

「そう、そのままそれを外側にひねって~」

「こう?」

「もっともっと! もっとひねって~!」

「これ以上ひねれるかボケ!」


「ひねれるよ~えい!」


 グリ


「痛ででででで!!!!!手首骨折してる! 完全に外側向いてる! 痛い! 痛い! 痛い! って全然痛くない!?」


「とりゃ!」


「おいおいおいおい!!!手首取れてる! 完全に手首から先取れてる! 痛い! 痛い! 痛い! って全然痛くない!?」


 『ジャルパカ』にひねられ、引っ張られてポロリと取れた手首から先を見ると、十五センチぐらいの銀色の筒のようなものが生えていた。


「なにこれ?」

「サイコガンだよ~かっこいいでしょ~!」

「いや違うだろ、これただの筒だし、手首から先だけだし」

「そこのところは大目に見てよ~時間の関係上致し方なかったんだよ~」

「俺の左腕どうなってんの!?」

「ふ、ふ、ふ、シン君頭吹き飛んだ時、頭だけじゃなくて体もだいぶ損傷してたんだよ~だから繋ぎ止められるところは元あった細胞で繋ぎ止めたんだけど、どうしても無理なところは、改造してみました~かっこいいでしょ~サイコガンだよ~スペ~スでオペラでコブラだよ~それでもってほれ」

「あっ! 今まで黒かった全身タイツが赤くなってる!」

「ふ、ふ、ふ、サイコガン出したときはそのスーツは赤くなるのでした! どう~本格的にコブラみたいでしょ~!」


「遊びがすぎるわボケ!」


 ポカリ


「いた~い! でもこれは趣味の世界だからゆずれないんだよ~」


 『ジャルパカ』は葉巻を出し俺にくわえさせて、うっとり俺の顔を撫でまわす。


 こいつ完全にマニアだな。


 うすうす思ってはいたんだけどコイツ宇宙人のSFマニアだ、マジたちわりーなおい。


「なにこれどうやって撃つの?」

「そこは分かんないよ~僕サイコガンつけたことないし~頭の中で発射~って思えば出るんじゃない~ほらあの敵のアジトのドア吹き飛ばしてみなよ~」


「そいじゃお言葉に甘えて」


「ひゅ~シン君初発射~ひゅ~」

「やめろよ、照れるじゃんかよー」

「よいじゃんよいじゃんど~んとドア吹き飛ばしちゃってよひゅ~」

「そいじゃあイッチャウヨー!」

「いっちゃって~」


 俺は車のあいだからゆっくりと歩み出て左手を真っ直ぐドアに向ける。

 右手で左上腕をがっちりホールド。

 葉巻をくわえたほうの口の端をクイッと吊り上げる。


「きゃ~! シン君かっくい~! 眼福~! 眼福~!」


 俺は精神を左手首があったところに集中させ、かっ!と目を見開く。


「ファイヤー!」「掛け声ダサ~い!」なんて掛け合いのさなか俺の左手首から直径十メートルを超える極太レーザーが発射される。


「おい『ジャイパカ』! なんじゃこりゃー!」


「シン君! 止めて! 止めて! ドアどころか建物吹っ飛んじゃう!」


 レーザー放射が止まると目の前にあったのは吹き飛んだ立駐と、その先にあった吹き飛んだショッピングモールとの残骸、いやー目の前残骸しかなくて星がきれいねー。


「ておい! 今おれスゲー殺しちゃったんじゃね! 関係ない人スゲー巻き込んじゃったんじゃね!」

「大丈夫だと思うよ~もうショッピングモール閉店の時間だし~」

「いやいやいや! 従業員さんとか警備員さんとかそれなりに誰かいたでしょ!」

「それは大丈夫だと思うよ~来る途中感じたんだけどここ閉鎖空間になってるから~」

「閉鎖空間?」

「そう閉鎖空間、次元を操作して空間を隔離しちゃうの~、シン君には分かりにくいかもだからしっかりは説明しないけど~ここの中の物はいくら壊しても大丈夫だし、ここの中にいる人は全員敵だと思って間違いないからバシバシ殺しちゃってかまわないよ~」

「かまうわ! それよりアジトぶっ飛ばしちゃったけどお姉と珠代もぶっ飛ばしちゃったのかな俺?」

「あ~大丈夫大丈夫、ここは入り口で、ほとんどの施設が地下にあるみたいだから~そいじゃいこうか~」


 俺と『ジャルパカ』は瓦礫の中から地下に降りるエレベーターだったらしき穴を見つけロープをつたいゆっくりと降りていく。







「この辺かね~」


 先に降りている『ジャルパカ』がエレベーターだったらしき穴の側面を指さす。もう結構降りてきてる。上を向くと最初見えていた夜空がもうほとんど見えない。


 ロープにぶら下がったまま、電飾バリバリのハンドガンを構えた『ジャルパカ』。


「横穴開けて突入するからシン君僕から離れないでね~」

「おう」

「それじゃ、いくよ~」


 ハンドガンから細いレーザーが発射され、『ジャルパカ』の操作で壁に赤い円が描かれていく。


「できあがり~」


 ゴトリと壁が中側に倒れる。その先には真っ暗な空間が広がっていた。空間に飛び移る。


「シン君は視覚に頼った生き物だから僕の肩をはなさいでね~」

「分かった」

「それから戦闘になっても絶対援護射撃とかしないでね~背後からあの極太レーザー喰らったら僕チリひとつ残らず消滅しちゃうから~」

「分かった、戦闘になったら援護射撃は任せろ」

「シン君!?」


 俺は『ジャルパカ』の肩につかまり暗闇の中を歩く。


「敵さん出てこないね~」

「出てこんでいいわ、それより二人の居場所分かって歩いてるんだろうな」

「大丈夫だよ~発信器ついてるから~」

「近いか?」

「そこそこ」

「あのな、」

「うん? なにかな~」

「あのな『ジャルパカ』ありがとな」

「ん? いいんだよ~シン君、僕は好きでやってるんだから、気にしないでよ~」

「お前顔のわりに良いヤツな」

「顔のわりにって!」

「お前顔グログロだけど良いヤツな」

「いや今顔スゴイ君好みに作り替えられてるはずなんだけど~」

「お前殺したいくらいグロイけど良いヤツだけど殺したくなるのな」

「シン君!?」


 『ジャルパカ』が足を止める。


「ここに扉があって中に二人がいるよ~」

「よし行こうか」

「その前にシン君言っておきたいことがあるんだ」

「ンだよ?」


「僕のことを信じて」


「あぁ?」

「それだけ、じゃ~いくよ~」


 ガチャリ、


 『ジャルパカ』ドアを開く音が聞こえて、俺は光に包まれる。




              ☆☆☆☆


「ねぇサイコガンて著作権大丈夫なの?」

「なに著作権て? 僕宇宙人だからそんなことワカラナイヨ~」

「いや、分からないで済むことではないんだけど……」



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