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頭に隕石がぶつかったら、スペースオペラが始まった。  作者: 大間九郎
一章 頭に隕石当たる
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深見深の願いがかなう

仕事をしたくないでござる―

 国道十六号を横浜方面に歩く。真夜中の涼しい風は心地いし、嫌なことはとめどなくおこるし、人生はうつろぎやすいし、俺の心は萎みやすい。

 しかたがないことだ、人生は長い、だから今の気持ちがいつまでも続くはずはない。そう思えばこの俺を包む虚無感が、俺を包む脱力感が、少しで晴れるかもしれないと思ったがそんなことがあるはずもなく、ただただ、空っぽの俺の心がそこにあるだけなのである。

 理由はない。

 きっと俺が若いからなんだろうと思う。

 俺が若いから、俺がまだ十七だから、こんなに虚ろなんだと思う。

 やりたいことはなにもないけど、やりたくないことは山ほどある。

 まず学びたくない。机に向かいたくない、みんなと同じように生きたくない、ネクタイを結ぶ生活をしたくない、俺はオリジナルでありたい、俺は選ばれた人間でありたい、社会の一部ではなく、社会にすり寄るのではなく、世界が俺を求めてすり寄ってくるような

人間になりたい。

 何かを表現する人間になりたいのかもと思ったけど、俺は何か表現したいわけじゃない。俺は彼らのエキセントリックな生き方に憧れているだけで、何かを表現したいわけじゃない。

 歌いたいわけじゃないし、奏でたいわけじゃない。

 ただただ、この俺の中になる虚ろを満たしたい、ただそれだけなんだ。

 褒められたくてやってるわけじゃないなんて嘘だ。

 評価が欲しいわけじゃないなんて嘘だ。

 金じゃないなんて嘘だ。

 俺は誰かに評価されたいし、憧れられたいし、褒められたい。

 そうなればこの虚ろが埋まる気がする。

 そう考えるのは俺が若いからで、可能性を信じちゃってるからで、歳を取って諦めがつけばこの虚ろも、心の中にある虚ろも埋まっていくんじゃないかと思う。

 でも俺はまだ十七だから埋まらない。

 歳は時間と同じ分だけしかとらないから、俺は結構我慢しなきゃいけないってことになる。この虚ろと向き合って、俺は後どれくらいの時間を過ごさなけりゃいけないのだろう?

 俺は後どれくらい年を取ればこの虚ろから解放されて諦めがつくんだろう?

 その時がいつ来るんだろう?

 俺の虚ろを埋めるものはなんなんだろう?

 なんてことを考えながら俺は国道十六号を横浜方面に歩く。

 なんかおこんねーかなこの世が終わるくらいすげーことがよ!

 誰かにとじゃなくて、どっかでとかじゃなくて、俺にダイレクトでおこんねーかな!

 こんなつまんねーんじゃ死んでんのと同じじゃねーかよ! ならいっそ殺せよ! 

 ほら! 隕石とか俺に直撃させてグーグルランキングで『隕石 落下 高校生』で一位とらせてくれよ! それぐらいさせてくれよ! 華々しい最後を遂げさせてくれよ! たのむぜ! 

 唾を吐く、空を睨み付ける。

「なにもねーなら戦争くらいおこしてみろやベイベー! イジイジ空から見てねーで俺の脳天ぶち抜いてみろやベイベー!」

 俺は歩道に大の字になり自分のコメカミを右手にの人差し指で刺す。

「ほらここだクソが! ぶち抜いてみろクソが! ほら終わらせてみろクソが! できねーのかベイベー!」

 俺は力いっぱい叫んでコメカミを刺す。

「ほらやってみろベイベー!」

 シュゴー

 聞きなれない音がする。

 シュゴー

 空に真っ赤な点が見えて、それがどんどん大きくなってる気がする。

 ジジジジゴー

 ウワ音もどんどんデッカクなってきてる。

 グゴゴゴゴゴゴーーーーーー

 なになになになにマジで落ちてくんの!? 『隕石 落下 高校生』にマジでなんの!? いや確かにぶち抜いてみろって言ったけど! そりゃ言ったけど! マジでこんな感じで俺の人生終わんの!? 確かにスゲーけど! そりゃこんなん好みだけど! いきなりすぎね!? 心の準備とかさ! 辞世の句とかさ! そんな感じの用意が足りないんじゃね! ウヲーどんどん近づいてきてんですけど! 音とかマジF1みたく爆音なんですけど! 恐怖でだと思うけど体が全然動かないんですけど! これ死ぬな! こりゃ死ぬわ! はい死んだ! おれ死んだ! ちくしょー!死んでやろうじゃねーかベイベー! 俺の散り際見とけベイベー! ウワー近い近い近い近い! 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ! 死ぬーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


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