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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編結集

メイクパパろりーた

作者: miЯai

他よりかなりギャグ色強めです。

どうぞごゆっくり。

「パパはな、ロリコンなんだ」

 そんな衝撃の発言を受けてから、早十年。私は灰色の人生を送ってきた。

 私はパパが大好きで、いつもパパにべったりだった。パパは頭が良くて、いつも私に難しい話を聞かせてくれた。

 パパは、尊敬出来る人物だったのだ。その発言を聞くまでは。

 最初は聞き間違いかと思った。だけど、パパは諭すように言うのだ。

「パパはロリコンだから、愛菜が好きなんだよ。ずっと小さいままでいてね。ははははは――」

 もちろん無理です。私は大人になりました。そして、いつの日かパパにべったりしなくなった。いや、パパがべったりしなくなったのだ。

 今でもパパは好きなのに。

 パパが私から離れた理由はわかってる。私が大人になったからだ。いや、大人になったとしても幼児体型であったならば、まだ気を引き止めていたかもしれない。

 つまり、皮肉なことに女性らしい体型になったのだ。胸はある程度大きくなり、括れも出来た。身長もそこそこある。

 パパのストライクゾーンからはほど遠くなったわけだ。

 だから、私は、もう一度パパに愛されたくて――。

「ついに完成した、《メイクろりーた10》」

 身体を幼児化する薬を作ってしまった。もはや、私の人生をこれに注ぎ込んだと言っても過言ではない。といってもまだ20代前半なのだが。

 とりあえず、これを飲めば身体はたちまち十歳の女の子に逆戻り。晴れてパパとラブラブになるわけだ。

 しかし、いきなり幼女姿で現われても私と信じてくれるかは怪しい。本人の前で薬を飲むことにしよう。

 ラボ(自室)から出てリビングに降りると運のいいことに、父がソファに座ってテレビを見ていた。

 チャンスだ。

「パパ」

「ん? 愛菜、また部屋に籠もってたのか? いくら休日だからと言ってもいい加減仕事を見つけてだなぁ……」

 やれやれ、いつからこんな口うるさくなったのだろうか。最近のパパはことあることに職につけだ。

 こんなに冷たくなったのは、私が歳をとったからに決まってる。今すぐ若返ってパパにもう一度……。

「パパ、見ててっ――うおっ」

 薬の瓶を開け、まさに変化をするところを見て貰おうと一歩踏み出すと、カーペットにつまづいてしまった。

 瓶は手から離れ中を舞う。そのまま父の口に中に綺麗に収まった。

 苦しそうな顔をしながら、父は思わずその液体を飲み干した。

「ぶぇっ、まず、なんだこれは!」

「あぁ、せっかくの薬が」

「なにが薬だ、バカモノ! 第一私に言うことがあるだろうが。生憎窒息しそうに――うっ」

 説教が始まると思いきや、父は苦しそうに身体を抱き蹲った。

「あ、やばいかも。パパ大丈夫?」

 パパは尋常無い汗を掻いており、こちらの言葉は耳に入らないようだ。

 息が荒くなり本当にヤバい感じがぷんぷん漂う。

 ただ、ちょっと飲まなくてよかったと思ってしまった。人体実験なんてしてなかったからなぁ。

 いやいや! よくねえよ!

「パパ、ねえ、大丈夫? 返事して!」

 側に駆けつけ背中を擦る。気が付くと、パパの身体はみるみるうちに小さくなっていった。

 ひょっとして、成功?

 しばらくして変化は落ち着いた。なぜか、髪がえらく長くなっていた。副作用かな?

「パパ!」

「うぅ……」

 意識を取り戻したパパはうめき声をあげながらもこちらに振り向いた。

 顔が違う。完全に子供のつるつる肌に変わっていた。

 ショタパパの完成である。

「うおっ! なんだこりゃ!」

 子供みたいに高い声を上げるパパ。長く伸びた髪に驚いたようだ。

 パパは私の首元に掴みかかって言った。

「愛菜! お前はこの私に何を飲ませたんだ!」

「若返りの薬でふぅ。ほ、ほら、小さくなったでしょ?」

「何が若返りだ、このバカモノ! 早く元に戻せ!」

「いいじゃん。最近腰が痛むって言ってたし、ちょうどいいんじゃない?」

「ふざけるな! こんな姿じゃ会社にも行けない! まったくなんてことを!」

 パパはおかんむりだった。でも、子供に怒られてもまったく怖くなかった。

「もう、そんな堅いこと言わないでよ。本当は私が飲む予定だったんだからぁ」

 とりあえず引き剥がそうと、パパの身体を押した。

 むにっ。

「あぅっ!」

 柔らかい感触とともに、甘い声が漏れた。

 柔らかい感触?

 私は確かめるように、もう一度触った。

 むにっ。むにっ。むににっ。

「うわ、ちょっ、やめっ」

 そのたびにパパからは甘い吐息が漏れる。なにこれ?

 パパの顔を見てみると、紅潮していた。怒っていたから? いやいやいやいや、違いますよね。

 というか、よく見れば若いというか、可愛い顔をしてるような。そう、女の子のような。

 まさかと思い、パパの股ぐらをまさぐる。

「ひゃうっ!!」

「な、ない……」

 なんてことだ……私が作ったのは若返りの薬なんかではなかった。これは……。

「幼女になる薬だったのか!」

 私自身を若返らす薬のつもりで作ったから、ネーミングにろりーた、なんて付けていたが……いやはや、効果がそのままになっているとは。

「ははは、こりゃ傑作だ」

「な、なにが傑作だ!」

 パパからこつんと拳を浴びせられた。あまり痛くはない。

 よくよく聞くと声も男児にしては高いか。

「お、女の子になんて……なぜこうなった!」

「私がロリになりたかったからです」

「はぁ?」

「パパが最近冷たいから……パパはロリコンなんでしょ? 昔言ってたよね。だから、また小さい女の子になれば愛してくれると思って……」

「お前は……」

 本当の気持ちをぶつけた。わかって貰えなくてもいい。でも知ってて欲しかった。ずっと好きだって言うこと。

 パパはの頭に私にそっと手のひらをおく。

 そのままナデナデ……するかと思いきやニードロップを浴びせてきた!

 私の横顔に直撃する。とりあえず痛い!

「な、なんで!」

「なんでもクソもあるか! 私がお前に冷たいのは……お前がニートだからだ!」

「えっ?」

 ニート? 聞き慣れないことばにはてなを浮かべる他なかった。

「お前は、甘やかしていたばかりの所為か、高校を卒業したとたん、部屋に籠もりぱなして、仕事、バイトもせず何やらよくわかないことをしてると思ったら、こんなしようもないことを……」

「えっ? いや、でもこれはパパのために……」

「なにがパパのためだ!」

「だってパパはロリコンなんでしょ!」

「本人をロリータにしてどうする! それにロリコンは言葉の綾だ」

「えっ」

 パパは、私に座れと言い。話をはじめる。

「確かに私はロリコンだ。しかし、それはいい言葉がわからなかったからだ」

「いい言葉?」

「時分の花と言うやつだ。若さはそれだけで美しい。しかし、なんというか……愛菜にそれを伝えるにはどうすればいいかわからなかったんだ」

「でも、ずっと小さいままでいてねって……」

「そりゃ、冗談に決まってるだろう。確かに私は年下好みだが。あれは子供をからかう大人の常套句だ。普通なら大人になると躍起になるのが子供だろう。しかし、そうか……あのときからやたら、真剣な表情をするようになったと思ったら本当に子供になる研究をしてたとは」

 半ば引くような目線で私を見る。子供からこういう目線で見られるとこうもぐさりと突き刺さるのか。

「わ、私はあのときからずっと研究したよ。学校の授業なんかそっちのけで本を読んだし、薬品の調合だってした。でも、自分としても本当に作れるなんて思ってなかったから……いや、そりゃ完成させる気は満々だったけど」

「もういい。とにかく元に戻してくれ」

「えっ?」

「ん?」

「いや、その……元に戻る気はなかったから」

「まさか――」

「そんな薬はないです」

 私がいい終えるのと、鳩尾への正拳突きが決まるのはほぼ同時だった。

「ぐふっ」

「お前なぁ……困るのはお前なんだぞ! これじゃ生活費を稼ぐことすらままならなくなる」

「わ、私が働きます」

「今までニートだったお前に二人分の食費を養える甲斐性があるのか」

「……」

 痛い。心が。もちろん腹部も。後先何も考えないで、こんな薬を作ったから……。こんなに困るなんて思ってなかった。

「うっ、ううっ……」

「お、おい、泣くことはないだろ。私だって辛いんだから……」

「だって、私、パパに迷惑かけて……仕事だって、きっと探せないし。このままじゃ死んじゃう……」

「いや、貯金はまだあるから……」

「でも、私が働かないと、パパ働けないから。でも、私才能ないから……不器用だから」

「不器用て……こんな薬を作っておいて今さら――!!」

 パパの口が止まる。なにかを思いついたように目をかっと見開き、口をぽかんと開けて。

「お前……これで稼げ」

 パパは飲み干したフラスコを私に見せ付けてきた。

「変態の発想だが、発明は発明だ。これなら儲かるだろう」

「パパ……天才! さすがパパ!」

 いつのまにか私の涙はからっと枯れていた。むしろ今は暖かい日差しを感じるくらいに清々しい気持ちだ。

 パパのためになれる。それが一番のしあわせ――。

「パパ、私、この薬を全国の変態さんに高値で売買するよ!」




END

読んでくださりありがとうございました。



この小説、内容が中途半端に終わっていますよね。実はもともと連載でやろうとしていたやつだからなんです。


娘の開発した奇妙な薬によって起こる様々な問題を章別にわけて短編集にしようと思っていました。しかし、今の自分では追い付かなくなってしまったので導入部分であるこの話だけでも投稿しておこうと思った次第です。



おまけとして、他に考えていたアイデアをいくつかあげておきます。


・薬の噂を嗅ぎつけた一人の少年が女の子になりたいという願いを叶える話――一番スタンダードな内容、ひねりは無し、理由に一工夫入れる


・女の子が飲めばロリになれる。本来の使い方をしたパターンの話――TS的うまみがない。


・ついに薬は国家を動かす。少子化対策のため、モテナイ男子は女の子にしちゃえ計画――男たちに群がられる、女の子にされた男子たちの不幸な物語


・複数回服用することで、不老であることができると発覚。自然の摂理をも凌駕するこの力は危険であることに気が付いた娘は――ラストに持ってくるつもりだったエピソード。ただのコメディでは終わらせない。少々ブラックなオチ。



といった感じです。また機会があれば書くかもしれません(ネタバレしてますが)


それではさようなら。

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