32
あれから王太子殿下はマックス殿下が持って来たリズベット王女の絵を見てはボーッとしている。その反応の意味が分からなくて、リリベルは何て声を掛けたらいいのか分からない。
「しばらく放っておいてあげて」と王妃様は仰る。
でも王女殿下はマイペースで横から絵姿を覗き見ては「キレイ!めっちゃキレイ」と言っている。
「おぉ本当にすごい美人さんだな。11歳なのか?将来、有望だな?」
いつの間にか司書の伯父も来ていて、王女殿下の反対側から絵姿を眺めている。
「あ、伯父様、こんにちは冬ぶりですね」
「やあ結婚おめでとう。引き出物もありがとう。妻がアップルワインケーキを気に入って、また欲しいと言っていたよ。あと君達の絵姿、今、うちの居間に飾ってるよ」
何で、どちら様も主要な場所に私達の絵を飾っているの?
全く意味が分からん…。
「なぜ私達の絵を?」
ザック殿下もやっぱりそう思うよね?
「ん〜居間が華やかになるって妻は言ってたよ。確かに居間に行くと、まず最初に目が行くよ」
それが私達ってどうなの?
「司書様のとこの絵はどんな絵なの?」
王女殿下が興味深々にお尋ねになる。
「うちの絵はリリベル妃を殿下が後ろから抱き締めている絵だったな」
一体、どれだけバージョンがあるの?
そんなに被写体になった記憶無いのに?!
「おめ達、恥ずかしぇな?」
うるせー!マックス殿下にまで言われた…。
「マックス殿下はこの後、どうされる予定なのですか?」
「おいはジャングル見て帰りてな」
「ジャングル!?」
「だったら、ここから南下して南との国境まで行かないとだな。普通の馬なら10日近くかかるよ?初めましてだ。北の国の王子殿下かい?私は東の神の司書でリリベル妃の伯父にあたる」
「初めまして。マキシマム…マキシミ?マキシ…マックスだがや」
「…恐らくマキシミリオン殿下でらっしゃいます」
「そうか。マックス殿下は北の国王陛下の何番目の王子にあたるのかな?」
「‥‥‥」
マックス殿下、一生懸命、王子の数を数えてる?!
「伯父様、北の国王陛下にはお妃様が3人いらしてお子さんも多いから、あまり何番目とか気にしないみたいなの」
「そうなのか。お妃様達は皆、仲がいいのかい?兄弟達も?」
「おい達は王妃様3人とも母っちゃだ。わには兄も姉も沢山だが弟一人と妹一人いるじゃ」
「なるほど。皆、仲が良いんだね。で、あの絵姿の美人さんが妹王女殿下なんだね」
良かった。伯父は、ちゃんと汲み取ってくれる人で。
「ところで君達、まだ神様にお会いになってないだろ?挨拶に行くかい?」
「今、伺っても大丈夫でしょうか?」
「ああ会いに行ってみようか」
私達3人と伯父で王家の書庫に向かう。
「伯父様、国の北にある王家の別荘で一度、神様にお会いしたの。サオリ達、スネイプニルと話をしたかったみたい」
「ほう、そうかい。何か仰っていたかい?」
「うん。子爵領の野生馬は、やはりペガサスの子孫だったって。サオリが教えてくれたんだって」
「それは良かったなぁ。神様も分かって安心されただろう」
「西の馬さスネイプニルとペガサスのハーフであったのが?!」
マックス殿下が驚いている。
「うん。ずっとそうかもしれないって言っていたのだけど、サオリが確認したみたい」
「調教してみでゃ!」
「えっ!それはどうかな〜。うちの馬達はもうすっかり野生馬になってしまってると思うけど」
「意思疎通はできるが?」
「できるけど…もしマックス殿下が彼らに調教目的で近付くなら、逆に攻撃される恐れがあるかも。あいつら人の思惑に聡いしチームでの攻撃力が凄いの。相手が戦う意志を損失するまで、とことん襲ってくるし」
「それはスネイプニルと似てるようで違うだ。それに馬同士が協力するが?」
「そう複数で連携して次々に攻撃してくるの。地形を利用した攻撃も上手い」
「それはかなりスネイプニルと違うな」
「スネイプニル達は連携して戦わないのか?」
「騎士と一緒に戦うことが多いが、ほとんど個人攻撃だぎゃ。それに毎回、場所も変わるはんで地形さあまり関係ねぇ」
「連携とかコミュニケーションは取らないんだ!」
「個々の力さ強いはんで。すったばスネイプニルさ団体で来だら確かに恐ろしぇ」
やっぱり、北のスネイプニルとも少し違うんだなと思ったところで書庫に到着した。
「神様、西の第三王子殿下とリリベル妃、北の王子殿下がいらっしゃいましたよ。ご挨拶に入ってもよろしいですか?」
我々には返事は聞こえないが、伯父には聞こえるのか「さあ、どうぞ〜」と扉を開ける。
書庫に入るとまず目に飛び込む絵…ザック殿下に横抱きにされたウエディングドレス姿のリリベルだった。
「こりゃぁヤベェな…」
マックス殿下、身も蓋もないことを言わないで下さい…。




