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王命で無人になった街道のお陰で、我々は全速力を出すことができ日の出と共に王都に到着した。
王都の入口にも東の騎士団が待機してくれていて、王都の道も北の国の時のように規制をがされていた。だがやはり沿道には早朝にもかかわらず東の国の人々が物珍しさで大勢見物に来ていた。
サオリが王都に入ってスピードを落としたので、2頭も直ぐに追い付いてきて3頭で王城まで走る。
東の国は金髪がほとんどいないと言っていた。恐らく赤い髪も。だから馬だけじゃなく乗っている私達も珍しかったのかもしれない。
見に来ている人達は驚きの眼差しで私達を見ている気がした。
その日の新聞は午前の遅い時間に発行されたそうだが、見出しが『天界から神の知人が訪れた!』だった。
王城に到着した後、昨晩、出発前に王太子殿下に出した伝令鳥の「東の王族に宜しく伝えてくれ」という返事を受け取り、仮眠をとった。
それから起きて直ぐに見せられたのは、国王陛下の愉快そうな笑顔とあの見出しの新聞だった。
私達3人はまだ寝ぼけているのかと、何度も新聞を見返してしまった。
「陛下、そもそも何て言って王都の道を規制していたんですか?」
「え?神の馬が現れる?」
「間違ってはないが…」
「でもフォーカスされているのが馬ではなく人になってませんか?」
「でも神様にも会いに来ただろ?君達」
「え?だったら神の知人で合ってるって事?」
「天界が間違ってら。おいだち北がら来だ」
「似たようなもんじゃないか?」
「違うし!天国から来てない」
「天国?生き返った人みたいだな」
「おお!スゲェ」
どんどん話が変わってきている…。
「さあさあ皆様、コントはその辺で。お二人とも結婚おめでとう。北の王子殿下もお迎えできて嬉しいわ」
王妃様…コント違う。でも止めてくれてありがとね。
我々は夕飯に招待していただき晩餐室に案内された。
「引き出物もありがとう。二人の式の時の絵姿も頂戴したのだけど、神様と取り合いになっちゃってね。また前侯爵に頼んで送ってもらったわ」
引き出物の中に私達の結婚式の時の絵姿があるのだとは聞いていた。でも…
「私達が来るから、わざわざ晩餐室に飾ってくださったのですか?」
ザック殿下が少し感動気味に尋ねる。
「いいえ。この部屋に丁度いいかなと思って」
我々の結婚式の絵姿がですか?!
「私は赤い王子様がリリベル妃を抱っこしてるのがいいって言ったのにぃ」
「王女、それは神様に取られちゃったわ」
「でも…この手を取り合って見つめ合っている絵姿は…兄上のお心が…」
もうどこから突っ込めばいのか分からないが、まずは王太子となられた第一王子殿下のお心を守る事が大事だろう!
「マックス殿下!例の物をっ」リリベルはソッと告げる。
「そっそうだった。色々ど衝撃的で一番大事な事、忘れるどごろだったわ」
さっきから一人、無口で死んだ目をしている王太子殿下にマックス殿下が1冊の冊子を渡す。
リズベット王女の絵姿は油絵が間に合わず、今回は彼女の絵姿のデッサンと数枚の水彩画を冊子にしたのだ。
リリベルも見せてもらったが、それでも十分、彼女の可愛さと魅力が溢れている作品だった。
「わの11歳の妹だ。今回、姿絵が乾いでなぐで間に合わながっだが、追って送られでくる予定だ」
王太子殿下は冊子をめっくって固まっている。
「まあまあ、もしかして王太子殿下に縁談を?」
「わあ凄い!天使様だ」
王女殿下が冊子を横から見て仰る。
「何?王女、本当か?」
「ねえ北の王子様、王子様は奥さんいるの?私には?私に王子様は?」
王女殿下がマックス殿下に食い気味に尋ねる。
「わは奥さんがいる!わのせがれもまだ2歳だ!」
ちょっと待って!マックス殿下はお子さんまでいたの?!
「マックス殿下はいくつで結婚されたんだ?」
ザック殿下も驚いている。
「わは…結婚したのは昨年だ。子供が産まれた後したはんで」
「デキ婚?!」
「でっ?!いっいや間違いない。YES、NO枕がYESだったはんで…「いや!そこまで聞いてないからっ!」
「いいじゃないか、ぜひ聞こう」
「陛下!」
「まあまあ陛下ったら、まだ前菜なのに、もうお酒が回ったのかしら?それでYES、NO枕とは?」
いやいやいやっ王妃様も聞く気満々じゃん。
王太子殿下は冊子を握って固まったままだし、王女殿下はむくれている。マックス殿下は顔色が青くなったり赤くなったり忙しい。
また大混乱の予感しかしない。




