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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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 翌朝、起きて支度をしていると伝令鳥が「ふざけるな!と思ったが…もうそういうものだと思う事にした」と返ってきた。


 こっちとしても毎回、怒られるのも本意ではないので有難い。

 朝食をいただいた後サオリ達の健康状態を確認し、出発する前に検問所の所長と隊長にご挨拶に伺うと、二人が申し訳なさそうにリリちゃん人形を出して来た。


「…うなじですか?腕ですか?それとも足?おでこ?」

 人形にサインを終えてザック殿下の元に向かうと「ここにも人形あるんだな」って仰った。

 そしてマックス殿下が「これ君にって」またバナナ!

 情報回るの早くない?ちょっと怖いんだけど。


 気を取り直して東の検問所に向かう。

 東の検問所では北側から先に連絡を入れておいてくれたお陰でスムーズに通してもらうことができた。

 ここからは、とうとう東の国だ。


 この先はサオリも道を知らないはずだ。

「サオリ、ここからは東の国なの。東の王都に向けて進むのよ。道はこれよ」

 リリベルが地図を広げて説明するとサオリは首を傾げて地図を見ていたが、不意に顔を上げて違う方向を見ている。


「何が気になるんだろ?」

 ザック殿下もサオリが見ている方を見るが、分からないようだ。

「あ〜向ごうはブドウ畑だ。東の国の有名なワイナリーがいくつかあるんだよ。そいだばねが?」

 まさか?!そうなの?


「サオリは君の事、よく分かってんな」

「ザック殿下だって行きたいと思っているクセに」

「わも行ぎでな」

 結局、サオリの見ている方に行ってみる事になった。


 東の検問所から駆け抜けわずか15分、一面にブドウ畑が広がる場所に出た。更にしばらく進むと古城のような建物が見えてくる。

 建物に近付いてみるとワインの販売所にレストランが併設されている建物だった。


「まだ昼前だ!ランチにも早い」

「ワインなら…試飲3杯までだ!」

 確かにワインはウォッカより強い酒ではない。3杯くらいなら少し休憩するくらいで午後も旅を続けられるだろう。

 だけど我々には前科がある…しかもこのチームは止める人がいないという致命的なメンバーだ。


 リリベルが真剣な面持ちで考えていると「結局、素通りするという選択肢は無いんだろう?」

 とザック殿下がセノビックから降りて販売所の方に入って行く。

「わも行っでくる」

とマックス殿下も入っていったのでリリベルは一人、馬達と待っているとザック殿下がお店の店員と出て来た。


「まさかうちのワイナリーにお立ち寄り下さるとは!」

 と少し年配の男性が仰って、建物の裏の厩舎に案内して下さった。しかも、まだ昼前で来客がないのでと広い馬場のある厩舎を3頭の貸切にして下さった。

 

 店に入ると、このワイナリーのオーナーだと言う年配の女性が「まあ!うちのワイナリーにお二人がお越しになるなんて!ここは王都に向かう道とは外れておりますので、お立ち寄りにはならないと思っておりました」と仰った。


「?」「一体どういう事?」

 ザック殿下と二人で首を傾げていると、オーナーが「西の第三王子殿下ご夫妻が新婚旅行で諸外国を周遊されていると噂になっておりまして、北から東に向かわれる際にこの辺りも通られるのではないかと皆で言っていたのです」


「そんな噂が?!」

 我々は二人だけの旅だったので、一応、安全の為、情報は秘匿され隠密で旅に出たはずだったのだが…。

「おめ達、北で目立ぢ過ぎだんだべ」

 とマックス殿下が仰るが、一体、誰のせいで目立ったと?


「そもそも一番目立つ原因の一つはリリちゃん人形では?」

 と言うと、マックス殿下は「そいだげでね。赤ぇ王子もだ。そもそも普通、赤ぇ髪は白馬さ乗れね」

 つまり白馬に乗った赤い髪は西の第三王子だとバレバレで走っていたって事?


 二人で絶句していると「大丈夫だ。白馬さ追い付げるヤツはいね。んだで我々もいつも単独行動だ。白馬で隠密は難しぇが手出しする命知らずもいね」

「北の陛下も白馬で以前、何度かこちらにお越しになりましたわ」

 とオーナーが仰る。

 だからサオリがこっちの方向を見てたのね。


 もしかするとサオリはこれまで過去の陛下の移動ルートを辿っていたのでは…?

 ザック殿下もその可能性に気付いたのか一瞬、遠い目になったが、直ぐに「オーナー、昨日、ディナーでいただいた重くて深みのあるここの赤が非常に美味かった」と開き直った。


「この辺りさ高地だはんで、それに適した白も良い物があるぞ」

 とマックス殿下も続く。

 きっと悩む方がバカらしいのだ。

 “我々は任務ではなく旅行中なのだ”

 リリベルも開き直って二人の試飲にさっさと加わわる事にした。

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