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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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 山を下ってしばらく行くと建物が見えて来た。

 もしかして北側の検問所?建物は塀も高く砦のような佇まいだ。


 サオリと待っていると、少しして駆け付けたマックス殿下が「昨晩から夜通し走ったはんで順調に着いだなぁ」と仰った。

 ん?待て!3日で着いてる?

 貿易ルートで観光しながら来たのに?

 続いて到着したザック殿下が「え?ここ、もう北の検問所なの?」って仰った。

 やっぱりそうでしょ?!


 今は昼頃なので北からの荷物を運ぶ荷馬車が何台か列を作っている。

「雪っこ溶げ始めだはんで本格的に荷物の輸送始まり出すたなぁ」

と言いながら、マックス殿下はマラサダに乗ったまま建物に進んで行く。

 リリベル達も着いて行くと建物から騎士が出て来て検問所の厩舎に案内された。


「今日はこごさ泊まって明日、出発するべ」

 マックス殿下がそう仰るので、サオリ達を厩舎に入れて我々も建物の中に入ると検問所の責任者らしき方が出て来た。

「マキシミリオン殿下、ようこそ検問所へ。ご出発は明日の予定だすか?」

「所長、今日は世話になる。明日の朝、出発するはんで東側さ伝えておいでけれ」

「かしこまりました。えがったら食堂で昼食をどうぞ。その間さ部屋準備させるす」


 我々は所長の案内で食堂に通され昼食をいただく。

「マックス殿下、貿易ルートだと、ここまで5日と仰ってませんでしたっけ?何で3日で?」

「あ?あだが最初のウォッカの蒸留所で酒飲めねど残念がったべな?だはんでサオリが途中で道変えだみだいだな」


「ロッジ!」ザック殿下が仰った。

 そうか…あのロッジ付きの蒸留所は既に山の中だったんだ…。

 それでも3日はおかしいだろ?

「マックス殿下、青ルートが3日だったのでは?」

「…これは…きっ黄色ルートだぎゃ」

 おいっ?!今、作っただろ?!


 何で新しいルートが出てくるんだ?!


「マックス殿下、サオリに道を説明したのでは?」

「ん?ああ観光がしてゃ。酒も飲みでゃど伝えておいだ」

 ちっとも伝えてなかった。

「リリ、もういいよ。ちゃんと着いたし。それに意外と楽な道のりだった」


 だから余計腹立つんだよ!知ってたなら最初から黄色ルートだろ!


「もう疲れたので部屋で休みます」

 脱力したリリベルは用意が済んだ部屋に案内してもらう。

 ザック殿下はマックス殿下の案内で検問所内を見学されるそうだ。


 宿泊室の扉を開けると貴賓客専用の部屋だそうで高級宿並みの部屋だった。

 そうだ今は私も王族だったわ。

 時々…いや普段からほとんど忘れきっている自分の身分に戸惑いながら、リリベルは案内して下さった検問所のメイドさんにお礼を言って下がってもらう。


 身の回りの事は全部自分で出来るし、とりあえず今は直ぐに温かいお風呂に浸かりたかった。必要な荷物だけ出してバスタブにお湯を張る。

 その間、テラスに出ると外は広大な山脈が広がっていて壮観だった。そして遠くに見える東側の検問所。

 やはり東も砦のような造りだった。


 明日からは東なんだなぁと思って「北の検問所に着きました。明日から東の国に入ります」と伝令鳥を送っておいた。

 お風呂から上がってベッドに転がろうとして気付く。

 またYES、NO枕だ…。


 ここの使用人は一体、どんな気遣いを指示されているのか…リリベルはとりあえず枕をクローゼットに放り込んでお昼寝する事にした。


 リリベルがふと人の気配を感じて目を開けると、隣でザック殿下が寝息を立てていた。外はまだ明るいから眠っていたのは2、3時間かな?

 喉が渇いたのでベッドから出てテーブルの上の水差しからグラスに水を注いで飲んでいると、ザック殿下が「俺にも〜」ってベッドから声を掛けてきた。


 リリベルはグラスの水を殿下に持って行くと「そこは口移しで欲しいとこだな〜」と言ってきたので、水を口に含んでみる。

 初めてだから塩梅が分からない。

 たくさん飲みたいかな〜と思ったら含み過ぎた。


 リリベルはリスみたいな顔になって、ザック殿下が大笑いする。

「その顔、可愛いからそれで我慢するわ」

 と殿下はリリベルからグラスを奪って残った水を飲んだのは良いけど、私はどうすんだ?

 この口いっぱいに含んだ水は…?

水の行方は?

①自分で飲んだ(その後、トイレが近くなった)

②堪え切れずリリベルの口から溢れて(ダバーっと)慌ててザック殿下が拭いてくれた。

③向かいのザック殿下に吹いた(ワザとでも悪意があった訳でもない)

宜しければお好きな選択肢でご想像下さい。

もっと良いご提案があればお知らせ下さい。

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