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子爵令嬢から王子妃になりました!でも王族を抜ける予定です!多分?  作者: 朱井笑美


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「マックス殿下がサオリに乗って先導して頂けませんか?」

 白鳥を見て少し休憩してからリリベルがマックス殿下に聞いてみると「サオリが君ば乗せでぇと嫌がってよぉ」と仰った。


「サオリは君ば気に入ってらようだ。すたばてサオリは賢ぇはんで問題ね」

「俺と君は魔石で連絡取り合えるからいいんじゃないか?セノビックとマラサダはあまり離れずに走れるし」

 お二人がそう言うならまあいいか。


 マックス殿下に言わせると、サオリはちゃんと行き先も行き方も分かっているそうだ。しかも観光名所やお勧めの宿まで吹き込んであるから大丈夫だとそう言われた。

 やっぱり白鳥の湖を見せてくれたのもサオリだったのね。

 なんて優秀!ってなるかい!


 確かに優秀だが全部、馬任せって大丈夫なの?

 つまり観光も宿も進む距離も全てサオリのさじ加減なのだ。

 幸い天気は良いけどさ。


 その夜の宿は街道沿いの大きなホテルだった。

 ホテルの従業員はスネイプニルを見ると直ぐに広い厩舎に案内してくれた。ちゃんと世話もしてくれるらしい。さすが北の国のホテルだ。

「このホテルはよぐ任務さ使うだはんで慣れでらんだ。それに経費で落ぢるはんで支払いも要らね」


 確かに我々は新婚旅行には見えないだろうし、マックス殿下は任務中に違いない。

 マックス殿下に挨拶にいらっしゃった支配人も「マキシミリオン殿下、任務ご苦労様だす」と仰っていた。

 税金を使って頂いているので私達も任務中です!という顔をしておいた。


 だけどフロントのホテルの女将に「今、王族さエメラルドグリーンの瞳はいねぇはずだっきゃ、リリちゃん人形のリリちゃんだべぇ?!」と言われた。

 バレた。凄い!王族マニアなの?


「騎士用の部屋だげどえぇべかな?」

 とマックス殿下が聞いてくるが、ちょっと待って!今はそれどころではない!

 リリベルはホテルのロビーにいた人、皆に握手攻めに遭っている。


 可愛い女の子が「人形にサインすてけれ」と持って来た。

「人形さんのどこにっ?」って聞いたら、髪の毛をまくって「こご」って“うなじ”にサインをさせられた。それを見ていた人達が続々、部屋から人形を持って来てリリベルにサインを求めてくる。

 なんか昔、神殿の売店でグッズを売りまくった過去が甦ってきた。


 ザック殿下は?って周囲を見渡すと彼はフードを被って、赤い髪と気配を消して、こっそりとチェックイン作業をしていた。

 学習してるっ!

 マックス殿下はサインを求めて集まってくる人を列にして整理し始めた。

 騎士の仕事してるしっ!


 リリベルは“うなじ”だけじゃなく足の裏や腕とか、時々オデコにもサインしまくった。

 チクショー!

「ここにマダムに大人気の赤ぇ髪の王子もいるんだぜ!」ってアピってやりたかったが、もっと収集つかなくなりそうだったので止めといた。

 この後の夕飯の時間も睡眠時間も確保しないといけないし。


 やっとサインを終えて部屋に向かうと部屋の前で支配人が「お部屋をアップグレードしておきました」とスイートルームに案内してくれた。

 そして、その夜のレストランでは「ファンのおごりです」と高級ディナーのコースとお酒が振舞われた。


「リリぢゃん、凄ぇな!」

 ってマックス殿下がホクホクで大きなステーキを切っている。

 王子が貧乏臭いぞ!って思いながら

「マックス殿下ってマキシマムじゃなくて、マキシミリオン様なんですね」と言うと「えっ?!そうなの?」って驚いていた。

 …自分の名前じゃないの?


 ザック殿下は「俺は名前より皆がリリちゃん人形を持っていた事に驚いたわ」って仰った。確かに…。

 美味しい思いはしているが、何だかまた前途多難な旅の予感がするのは気のせいか…。


 翌朝、朝食で出たバナナを多めにもらっておいた。

 もちろんサオリ達のオヤツの為だ。バナナでスネイプニル達のヤル気が変わるのは実証済みだ。

 バナナはサオリだけでなく、今のところ全てのスネイプニルに効果抜群なのだ。


 今日も快調にサオリは走って行く。

 途中でサオリがスピードを緩めたので、休憩か?と思ったら、辺り一面菜の花畑で黄色の絨毯がとても美しい光景だった。

「サオリ、綺麗だねぇ」と花畑に見惚れているとマラサダとセノビックが追い付いてきた。

「こごは菜の花の後はラベンダー、夏はヒマワリになるんだよ」とマックス殿下が説明して下さった。


 次も早いうちにサオリが止まった。

「何かの建物?」と看板を見ると“ウォッカ蒸留所”と書いてあった。

「酒!」ウォッカは「北のウォッカ、火山のテキーラ」と言われて並び称される程、有名な蒸留酒だ。

 だけど多分これはダメだ。飲酒騎乗は危ないので禁止されている。


 リリベルが看板を見上げていると、また2頭が追い付いて来た。

「あ〜これはダメなヤツだな」

 ザック殿下もマックス殿下も残念そうだ。まだ昼前だしな。

「サオリ、ありがとう。でもまだ飲めないから行こうか」

 と言って残念ながら出発する。


 だけどサオリは優秀だった。

 日暮れ頃、到着した建物は宿泊用のロッジを併設したウォッカ蒸留所だった。

 リリベルはサオリの能力を疑うのを止めた瞬間だった。

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