四歳の誕生日会 1
アルジェールが喉つまりを起こしてから、レブランド様は警備の数を増やし、料理長には子供が食べるメニュー表を私達に確認するように伝えたという。
子供部屋の前や室内にも、気付けば護衛が増えていた。
「ただのミスならばまだいいが……使用人として何者かが入り込んでいる可能性は排除できない」
「レブランド様もその可能性を感じるのですね」
「君も感じていたのか?」
「はい……微かな違和感だったので、何がおかしいとは言えないのですけど」
「用心するに越したことはない。一緒に気を付けていこう」
「はい!」
庭でお茶をいただきながら、夫婦で色々な事を語らう。
今日もアルジェールはドルチェと遊び、大いにはしゃいでいた。
「ドルチェも体が大きくなっているな。ドッグランでもつくろうか」
「まぁ!敷地内にですか?」
「ああ。二人にとってもいい運動になるだろう」
「そういえば……もうすぐアルジェールの誕生日なのです!」
私の言葉にレブランド様は固まってしまう。
「ど、どうなさいましたの?」
「息子の誕生日をチェックし忘れているとは……父親失格だ…………」
「そ、そんな事はございません!!私がお伝えし忘れていたのです!」
「いや、そもそも生まれた時に一緒にいられなかったのも私が……(ブツブツ)」
そこへオーリンがやってきて、様子のおかしいレブランド様の顔を怪訝そうに覗き込む。
「旦那様、いかがなさったのです?」
「オーリン!助けてちょうだい!レブランド様が……」
こうしてアルジェールの誕生日が邸の者達に知れ渡り、皆で盛大にお祝いをしてあげようという話になる。
息子の四歳の誕生日は10日後……それまでに私も用意したいものもあり、邸の中はいつも以上に慌ただしくなっていった。
そして誕生日当日――――
公爵邸は朝から皆が浮足立っていた。
私は邸を沢山の花々で飾りつけ、華やかにしていく。
料理長は一日中厨房で奮闘し、アルジェールの好きなものを作り続けていた。
「かぁさま、きょうはおうちがおはなでいっぱいだね~」
「そうね!綺麗ね~~夜には父様が帰ってきたらちょっとしたお祝いがあるの」
「そうなの?!わーい!うれしいな~~」
アルジェールは自分の誕生日だという事も忘れ、お祝いという言葉にただはしゃいでいた。
今日はレブランド様のご友人もお祝いに駆け付けてくれるというので、私も準備をしなければならない。
「さぁ、張り切るわよ!」
「おー!」
「うふふっ。アルももう少ししたらおめかししましょうね」
「はい!」
レブランド様から教わった挨拶を忠実に守る息子に、目尻が下がってしまう。
バタバタしている内にあっという間に日が暮れ、私もドレスアップをしているとレブランド様が帰邸した事をオーリンが知らせてくれる。
「奥様、旦那様がお帰りです!」
「ありがとう!アル、父様を出迎えましょう」
「はい!とうさま~~」
アルジェールは張り切って走っていってしまい、オーリンが慌てて追いかけている。
私も後を追いかけ、エントランスホールに辿り着くと、最愛の人がそこに立っていた。
いつ見ても惚れ惚れする旦那様に自然と顔が緩んでしまうわ……この気持ちがなくなる事は永遠にないわね。
「レブランド様!おかえりなさいませ」
「カタリナ」
私が足早に駆け寄ると、その腕が私を抱きかかえていく。
「きゃっ!」
「なんて美しいんだ、私の妻は」
頬にキスの嵐が降り注ぎ、恥ずかしくていたたまれない。
「レブランド様、邸の皆が見てますわ!」
「構わない」
「とうさま~~ぼくもだっこ!」
「はははっ、アルジェールも甘えん坊だな!」
「私は甘えたわけでは……!」
旦那様はとてもご機嫌で、いつも以上に大きな声で笑っていた。
その姿が微笑ましくて彼の胸に顔を埋めた瞬間、後ろからあまり聞いたことのない声が聞こえてくる。
「ゴホンッ。あのー……」
「?!」
旦那様の肩越しに恐る恐る後ろを見ると、そこには彼のご友人が数名立っていたのだった。
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