新たな家族のおむかえと夫婦の夜
「アルジェール、この子はなんだと思う?」
「わんわん!」
レブランド様が真っ白な丸い子犬をその手に抱きながら、お仕事から帰ってきた。
アルジェールは目を輝かせながら興味深々な様子で、可愛らしい子犬を優しく撫でている。
「レブランド様、この子は……」
「ああ、王妃殿下が飼っている犬が少し前に子犬を生んでな。今日王宮へ行った時にアルジェールの話になり、お祝いにと賜ったのだ」
「まぁ……王家の犬を?お礼をお伝えしなくてはいけませんね」
「ああ。そうだな」
王妃殿下から賜った子犬はグレート・ピレニーズという犬種で、まだ生まれて二カ月ほどなのにアルジェールより少し小さいくらいの大きさだわ。
二人が戯れていると子供が2人いるように見えてしまう……可愛い。
「この子は成犬になったら物凄く大きくなるのでは?」
「そうだな。しっかりしつけをすれば、アルジェールを守ってくれるだろう」
息子は友達ができたような感覚なのか、とても嬉しそうに戯れている。
微笑ましいわね。
一番の友達になってくれたら息子にとっても心強いに違いない。
「とうさま、かぁさま、このこのなまえは?」
「アルジェールが決めていいのだよ」
「ほんとう?!じゃあね……ドルチェ!」
「ふわふわ柔らかくてぴったりね!」
「ドルチェ~~」
アルジェールが名前を呼ぶと、ドルチェは嬉しそうに「ワォン!」と鳴いた。
「仲良くなれそうね」
「そうだな」
私達は顔を見合わせて笑った。
そしてその夜――――アルジェールを寝かしつけていたところにドルチェやってきて、ベッドに上ってくる。
「ドルチェ~~こっちよ」
「ワフッ」
ドルチェはアルジェールが指示した場所にちゃんとやってきたのだ。
なんて賢いのかしら。
もう息子と意思疎通が出来ているなんて。
「んふふっ。いっしょにねようね!」
「ワウッ」
「一緒に寝るの?」
「うん!ふたりでねるの」
「そう……分かったわ。仲良く眠るのよ」
「はい!」
息子は旦那様から教わった礼儀をしっかりと身に着けたのか、キリリとした表情で返事をする。
私は笑いながら息子の頬にキスをして、「おやすみ」と挨拶をした。
ドルチェはアルジェールが目を瞑ると、自身も体を丸くして眠る体勢に入り、息子に寄り添ってくれる。
公爵邸に来てからあまり寝付きも良くなったけれど、今日は驚くほど早く寝息を立て始めた。
凄いわね……このまま一緒に眠るようになるのかしら。
私は息子が寝入ってから30分ほど様子を見守り、寝室へと戻っていった。
扉を開けると、窓際のテーブルセットの椅子にレブランド様が腰をかけ、読書をしている姿が見える。
「レブランド様、ただいま戻りました」
「お疲れ様、カタリナ」
愛する旦那様は穏やかな表情で、その腕の中に私を迎え入れてくれる。
公爵邸に戻ってきてから、こんな風に自然に彼の腕の中にいられる事に幸せを感じながら、アルジェールの様子を伝えた。
「ドルチェがアルジェールと?」
「そうなのです。ドルチェがそばにいると安心するのか、すぐに眠ってしまって……」
レブランド様は信じられない様子で、音を立てないように子供部屋へと向かい、息子の様子をこっそり見に行った。
そして戻ってくると「ぐっすり眠っているようだ」と驚きを隠せない。
「もしかしたら寝かし付けも解決しそうですわね」
「そうだな……アルジェールにとっていいパートナーになってくれそうだな」
「ふふっ」
旦那様は私を抱きかかえ、そのままベッドへと向かう。
「カタリナ、今日は……」
「レブランド様、きっと大丈夫です。アルもぐっすり眠ってますし」
私たちは顔を見合わせ、笑い合った。
久しぶりの甘い空気に酔いしれ、初夜の時以来の触れ合いに互いの愛を確かめ合い……何度も愛を囁かれたけれど、あの時のような悲しい気持ちはもうない。
確かな信頼と愛情によって結ばれた夜に、身も心も満たされていった。
その夜はアルジェールが寝室に来る事はなく、私たちは本当に久しぶりに夫婦の夜を過ごす事が出来たのだった。
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