悪巧み ~ヴェローナSide~
ジグマリン王国・ザックハート伯爵邸――――
「ヴェローナお嬢様、緊急です。どうやらあの女が戻ってくるようです」
バルコニーから入ってきた侍女がとても嫌な知らせを持ってきた。
レブランドの邸に忍ばせていた私の侍女だ。
「あの女とはカタリナよね?」
「はい」
四年半もの間、まったく音沙汰もなく、このままレブランドの前から消えれば私にチャンスが巡ってくると思っていたのに……!
あの女のせいで私はお父様から5年間の謹慎処分を言い渡され、邸から一歩も出る事は叶わなかった。
部屋の扉の前にはいつもお父様が配置した衛兵が立っていて、自由に部屋から出る事も出来ない不自由な日々。
でもそれもレブランドの事を考えれば耐える事が出来たのに!!
手に持っている扇子を握り締め、何とか悔しさを堪えていた。
「あの女はどこにいたの?」
「そこまでは分かっておりません。しかし申し上げにくいのですが……」
「……なによ。まだ何かあるのかしら」
嫌な予感がしつつも聞いた事をすぐに後悔する。
侍女が口にしたのは、追い打ちをかけるような知らせだったのだ。
「どうやら息子を生んでいたらしく……」
「なんですって?!!」
思わず大きな声が出てしまう。
あの女に息子ですって?
「その子供は、まさか…………」
「閣下の子供で間違いないようです」
手にしていた扇を床に叩きつけ、足で何度も踏みつける。
「なんで……っ!!!私という者がありながら!!あの女がレブランドの子供を!!!!」
「お、お嬢様!落ち着いてください!!」
「うるさい!!なんでよぉぉぉおお!!!」
ベッドに散々当たり散らし、枕から羽毛が飛び散る。
どうして――――私が彼と結ばれる予定だったのに――――幼い頃のレブランドが頭をかすめていく。
私と結婚の約束をしたじゃない。
あなただって喜んでくれたのに。
あの女が……カタリナが全部あなたの心を盗んでいったのだわ。
「盗人が彼の子供を生むなんて許されない」
「仰る通りにございます……!」
「殺せ」
「子供も、でしょうか」
当たり前の事も理解出来ない侍女に近付き、ヒールで足を踏み潰した。
「っ、あああぁぁぁ!!!」
「当然の事を聞く子は嫌いよ。お前を拾ったのは誰?」
「お、お嬢様です!!」
侍女の足を解放し、新たな使命を与えた。
こういう人間は目標や目的を与えれば、実に生き生きと動くもの。
バカな女……この侍女の親を殺したのは私。
我が邸に勤めていた彼女の母親はレブランドにお茶をこぼして粗相したから、沢山の男に襲わせて罰を与えると、自ら命を絶った。
一人残されたこの女を拾ったように見せかけ、思い通りに動く駒にしたのだ。
「その子供は生かしておいてはダメよ。まずカタリナの前に子供を狙うの。そして死んだら私のもとへ連れて来なさい」
「は……ぃ……」
「バラバラにして送り返してやるの。あっはははは!!!」
悲しみに狂っていくあの女を見るのが楽しみね。
きっと彼の目も覚めるはず……侍女にレブランドの邸に戻るように告げ、その日がくるのを心待ちにしたのだった。
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