重なる想い 2
どうしよう、嬉しい。
レブランド様は出会った時も感じたけれど、体は大きいのに可愛らしいところがある。
少し彼の可愛い反応が見たくて、ちょっぴり意地悪な事を言ってみる。
「あの時、それでも伝えてほしかったですわ……私、悲しくて」
「す、すまないカタリナ!私が不甲斐ないばかりに……」
慌てたかと思うと肩を落とし、シュンとする……レブランド様はこんなに感情表現豊かなお方なのね。
「ふ、うふふっ。大丈夫ですわ、怒っておりません」
「カタリナ……」
「レブランド様、私嬉しいんです。あなたが私と結婚したいと思ってくださっていた事が。あの出会った夜の事を特別だと思っていたのは、レブランド様だけではありません」
「それは……」
「レブランド様から縁談がきたなんて夢のようで……私も浮かれていたのです。だからこそ悲しかった」
次の瞬間、彼の力強い腕に引かれ、胸の中におさまっていた。
「結婚式まで、少しも一緒にいられなくて寂しかったです」
「すまない」
「だんだんお顔すらも見られなくなって……」
「すまない……君が眠った後は見に行っていたのだが」
「まぁ!ズルいですわ。私だって見たかったですのに……」
「フッ、それはすまなかった。カタリナ、君を愛している……」
“私も”と言いたかったのに、言葉は彼の口内に消えていった。
性急に重なった唇は、会えなかった時間を埋めるように深くなっていく。
不思議……時間があの頃に戻っていくよう。
名残惜しむように離れた唇から、彼の気持ちが伝わってくる。
「カタリナ、ヴェローナの事もすまなかった」
突然のその名前に私の心臓はドキリと跳ねる。
レブランド様からその名前が出る事自体に息苦しくなり、ぎゅっと瞼を閉じた。
しかし瞼に彼の唇が触れ、私を安心させるかのような優しいキスに思わず視線を上げる。
「私が今まで愛したのは君だけだ。ヴェローナはただの幼馴染で祖父同士が決めた婚約者だった」
「だった?」
「ああ。君と縁談を結ぶずっと前に婚約は解消しているし、伯爵家も了承していた。しかしヴェローナだけが納得せず……式の時も君に無礼な事を……!」
そうか、あの時のヴェローナ様はレブランド様を取られたくなかったのね。
だから意地悪な事を。
「初夜の後、伯爵家に行き、本人にも伯爵にも警告をした。伯爵はヴェローナを5年間の社交界禁止を下した……私としてはあの場で処刑してやりたいくらいの気持ちだったが」
「それはいけませんわ!」
「君ならそう言うと思って耐えた。しかしその日の夜、君の姿はなくなっていて……」
「レブランド様……!」
私は彼の頭を抱き締めた。
私の知らないところでレブランド様がこんなに動いてくださっていたなんて……!
「私は何も分かっていなかったのを痛感した。それからは無我夢中で君を探したが、まさかアルジェールが誕生していたなんてな」
「申し訳ございません、レブランド様」
「何度も言うが、君は悪くない。悪いのは君を独りにし続けた私だ」
「いいえ、私は自分の気持ちから逃げたのです。レブランド様が他の方と結ばれる予定だったと知って、とても悲しくて……愛する人の邪魔になる事に耐えられませんでした」
「もう一度言ってくれ」
「? 耐えられませんでした……?」
「その前だ」
何の話をしているのだろう?
その前とは……。
「愛する人の……」
「もう一回」
「愛する人」
「いい響きだ」
「なっ!」
レブランド様は自分の事を“愛する人”と言われた事が嬉しかったらしく、言い直すととても満足げだった。
凄く恥ずかしかったはずなのに、なんだかその姿が面白くて……あまりに可愛いので、何度でも言いたくなってしまう。
「レブランド様は私の愛する人です」
「そ、そうか」
「ご自分で言わせておいて照れるなんて」
「呆れたか?」
「いいえ、可愛いです」
「それはよかった」
また自然と唇が重なり、気持ちまで一つに重なったように感じる。
ずっと足りなかったものが満たされたような。
ラルフに「羨ましい?」って聞かれた時、自分の気持ちがよく分からなかったけれど、今なら分かる。
私もレブランド様に無条件に愛されたかったのね。
離れていた時間の分だけ自分の気持ちが見えなくなってしまっていたけれど、今はとてもクリアに見える。
そしてそれは同時に、ここでの生活の終わりを告げているという事だった。
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