01
センチネルバースってこれであっているんだろうか?と思いながら書いてます。
別に私はみんなに愛されたかった訳でもない。一番いいタイミングで、自分の安全を一番に考えて、この小説から消えてやろうと思っていただけなのに。
目の前に見えるのは真っ黒な穴。空間を切り裂くように出現したその穴は少しずつ大きくなっているような気もする。ゲートと呼ばれるその穴は色の濃さで危険度が見分けられる。その中でも黒は一番危険なSランク。国が認めた上位の能力者チームだけが攻略することを認められている。
そんなゲートがまさか、上位の能力者チームの代表が集まる会議のど真ん中に出てくるなんて誰が思っただろうか。慌てふためく人々の中、私は一人椅子に座ったままそのゲートを眺めた。
こんな展開
「ストーリーにはなかったはずなんだけど。」
大きなため息をついたところで私にはどうしようもないから椅子から立ち上がった。
会議室の開け放たれた扉から双子が走ってくるのが見えた。
「リーダー!!」
「リーダー!ご無事ですか!」
サラサラの藍色の髪をなびかせて走ってくる姿は、緊急事態だと言うのに爽やかだ。
「問題ないわ。」
双子は私の前に立ちゲートを睨みつけている。
「うへぇ、こんなえげつないゲートみて問題ねぇとかさすが序列3位のお嬢様だなぁ。」
真っ赤な髪をガシガシかきながら現れたのは序列2位のチームリーダー、ライト・エルネスト。淡いオレンジの瞳は私をジッと睨みつけている。
私はその瞳を無視してゲートをみた。私の目の前に立つ双子をみると冷や汗だろうか。首筋を雫が流れていく。それほどまでにあのゲートからプレッシャーを感じているんだろう。難易度が高ければ高いほどゲートから放たれるプレッシャーも高くなる。
でも残念なことに私にはそのプレッシャーが感じられない。分からないのだ。
だからゲートの色をみてS級だとわかるがどれほど危険なゲートかは他の人よりも分からない。
「おい!無視かよ!お嬢様!!」
「うるさいわよ。お嬢様じゃないって言ってるでしょうが。吠える元気があるならあなたがあのゲートを攻略してきなさいよ。」
「はぁ!?俺の体調が万全なら今すぐにでも飛び込んでやるよ!!こちとらA級ゲート2つ攻略してきた後なんだわ!ガイディングが必要なんだよ!!」
そう叫ぶライト・エルネストの額にも汗が滲み出ていた。序列2位の彼でも汗を流すほどのプレッシャーとは。
私はちらりと部屋奥をみた。壁に背を預けて立っている金髪の男。私の視線に気づいたのか金色の瞳とバッチリ目が合ってしまった。
序列1位のチームリーダー、ウロリウス・ナイトリクス。圧倒的な強さで、1位の座に君臨し続ける男。
「あなたなら、あのゲートいける?」
私がそう問いかけるとウロリウス・ナイトリクスはゆっくりとこちらに歩いてきた。
「俺もライトと同じような状況だ。ガイディングが済めば問題ない。」
と言うことは、だれも攻略できるものがいないということになった。詰んでる。まだ物語が始まってすらいないのに。
前世で読んでいた小説とは大きく異なるこの事態に私はまたため息をついた。
「そういうお前はどうなんだよ。腐っても序列3位だろーが。」
そう言ってくるライト・エルネストの目はひどく冷たい。
「双子は、ネンとメリは別のゲートの攻略に行かせてたから無理よ。2人ともガイディングが必要だと思うわ。」
「お前のおつきの双子じゃなくてお前自身だよ。汗一つかいてねーお前ならあのゲート攻略できるんじゃねーのか?」
確信をもったその声に私はまたため息ついてしまった。私が攻略?無理に決まってる。私にはその力がないんだから。
「私は無理よ。ガイディングしたらいけるというならさっさとガイディングしにいきましょう。ネン、メリ、ついてきなさい。」
これ以上の質問を聞きたくなくて早足にその場を離れようとした時、空間が大きく歪んだ。
ぐにゃりと曲がる視界に気持ち悪さを感じ目を閉じた。
「リーダー大丈夫ですか?」
ネンの声が聞こえてゆっくり目を開けると目の前にはジャングルが広がっていた。
「どうやらゲートの中に強制的に連れてこられたようです。」
メリの声を聞きながらも周囲を見渡す。生い茂る葉っぱは刃物のように鋭い。遠くに見える毒々しい花には口がついてるように見える。
「まだガイディングもできてねーのに。」
その声を聞いてようやく、ライト・エルネストとウロリウス・ナイトリクスの2人も一緒に来ていることに気付いた。
「詰んでる。」
思わずもらしてしまった言葉にみんなが振り返った。でもそんなことも気にならなかった。
「まだ物語始まってすらいないのに詰むことってある?ないよね?普通ないよ!えっ?ココで死ぬの?でも物語には私も登場するからここで死ぬことはないはずだけど、でもどー考えても攻略無理じゃん!ヒロイン現れたところで大人しく退場しようと思ってたのに。まず物語を始めることすらできないとか!!ほんと詰んでる!!」
リーダーと双子の困惑する声が聞こえたが構ってられない。私はゆっくりウロリウス・ナイトリクスを見た。一番攻略できる可能性が高い男。私はゆっくり近づいた。ヒールの高いパンプスは砂利道では歩きにくくフラフラするが構わず歩き続けた。
「そんだけ顔がいいんだから、初めてなんてことはきっとないでしょ。これが終わったら大人しく退場するから許して。」
そう言って私は自分の皮の手袋を外した。両手で顔の顔にゆっくり触れる。その瞬間彼の目が見開かれた。
「もしかして、ガイド、なのか?」
触れ合う指先からゆっくりと力を流していく。普段あまり表情の変わらない彼の驚き顔を近くで見れたのは案外良かったかもしれない。彼の頬を包み込みゆっくりと顔を近づけた。
一瞬触れただけの口づけ。
私はジッと彼をみた。
「どう?これで攻略できそう?」




