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煩悩108の異世界で、踏襲少女は紅茶とともに世界を救う  作者: ふりっぷ
第三章 リアステ帝国編

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《第59灯:欺瞞》断章ボス:カリオン・メロイ 後編

王冠が、ひび割れながらも浮上する。


「目障りな解析者は退場。

 次は貴様だ、灯の女神よ」


殻が再構築され

空洞の胸が、脈打つ。


佐和子は、ゆっくりと立ち上がった。

マーレの腕の中で、白い子猫が小さく鳴いた。


「……すぐに終わらせるから」


呟いた瞬間。

足元の床が、沈んだ。


黒槍から、光の糸が漏れる。

糸はカリオン・メロイの重力圏を取り囲むように旋回する。


王冠がわずかに揺れた。


「何だ、その波形は」


佐和子の瞳が、金に染まる。

虹彩の奥に、円環が浮かぶ。


神力が、溢れた。


だがその光は、いつもの灯ではない。


空間が、ひび割れる。

佐和子の輪郭が二重にずれた。


「暴走か」


王が愉しげに言う。


「それもまた、欺瞞」


次の瞬間。


虚王断罪ジャッジメント・ゼロ》。


王冠が、佐和子を指す。


慣性が、消える。


――はずだった。


止まらない。


佐和子は、そのまま歩く。


二重にぶれた輪郭が重さを伴っていない。


「……は?」


王冠が、軋む。


「私達の存在する世界は――」


佐和子の声が、二重に響く。


「ひとつではない」


足を踏み出す。

その一歩で、王冠のすぐ左の床が砕ける。


「焦点が定まらないようだな」


虚王掌握グラビティ・グラブ》。


巨大な腕が、質量を掴む。

体重が十倍になる。


だが。


光の帯が腕を包み込み、質量変動を飲み込む。


「いたずらに法則を乱すな」


声が、低くなる。


「それは、私の領域だ」


黒槍が振り下ろされる。

殻が、砕ける。


「神格……? 私の迷宮であり得ん」


王冠がわずかに後退した。


《王冠穿孔》。


重力の針が、胸元へ伸びる。


回避不能。


空間が抉れ、佐和子を型取っていたものが歪んだ。

中心に大きく穴が開き、翼がぐにゃりと崩れる。


だが、佐和子はとまらない。


「すでに人ではないのか!」


王が叫ぶ。


佐和子の背後に、巨大な光輪が展開する。


完全ではない。

半分だけ。


片翼のように欠けた円環。


それは、崩れた佐和子の半身。


マーレが息を呑む。


「もうひとつの世界からの干渉。

 これは……危険です」


瓦礫が浮き、壁が軋む。


あまりの神格にセリアが目覚める。


「さっちゃん……止まれ……。

 見られている」


聞こえていない。


佐和子の視界に映るのは、王冠だけ。


《虚王殻・共鳴爆震レゾナンス・バースト》。


空洞が咆哮する衝撃波。


だが佐和子は、歩く。

音圧が黒槍の前で砕ける。


「欺瞞の王」


声が、重なる。

人と、何か別のもの。


「先に法則を乱したのはお前だ」


黒槍を構える。


王冠が後退する。


「やめろ! この核は迷宮そのものだ――」


突いた。


光の帯に包まれ逃げ場を失った、欺瞞の王を直撃。


王冠に大きな亀裂が走る。


空間が悲鳴を上げる。


だがその瞬間。


佐和子の光輪が、さらに拡張した。


神力が尽き、制御が外れる。


断章核が宙に浮かび床が舞い上がる。


天井が崩落し始めた。


マーレが結界を張るが、軋む。


「止めないと……この部屋ごと崩壊します!」


砕けた王冠が、笑った。


「自壊する神格。

 それもまた、欺瞞だ」


佐和子の足元が崩れ

王冠に刺さった黒槍が重力で捻じ曲がる。


小さな声が、響いた。


「……さっちゃん」


子猫が、目を開けていた。


か細い、だが確かな声。


「……重力は……中心があるから……暴れる……」



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