表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
煩悩108の異世界で、踏襲少女は紅茶とともに世界を救う  作者: ふりっぷ
第三章 リアステ帝国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/53

《第41灯:誇り》《将軍ルア・ラヴェルド》前半

誇りは、強さの証であり、同時に重荷にもなる。

この断章は、勝利を求め続けた将軍と、

前に進む者たちが交差する戦場です。

断章空間《四陣制御式戦術結界》


 焼け焦げた空。

 折れ落ちた戦旗。

 積み重なる兵士たちの骸。


「……ここは?」


「精神干渉が始まっている」

 ミュリアが眉を寄せる。

「断章ボスの幻視領域。

 彼は“最強のまま”の自分を再演している」


 マーレが剣を構えた瞬間、空気が裂けた。

 炎の軌跡を引きながら、一撃が落ちてくる。


「セリア、後ろ!」

 ミュリアの叫び。


 誇りを持ちながらも戦場に敗れた幻想兵たちが、

 涙を浮かべたまま突撃してくる。


「くっ、これ……ボスが突撃してくるんじゃねぇのか!

 連戦はきついぜ!」


 セリアの冥斧が幻影を砕く。

 散るたびに彼らは名を呼び、霧散していった。


 その一声一声が、胸を刺すように切なかった。


 ――誇り。


 それは、強いだけじゃない。

 時に、残酷なほど重い。


 帝国側で唯一、ダンジョンに選ばれたレアが膝をつき、低く呻く。

 幻影の中に、かつての戦友が見えたのだ。


「……お前は、誇りを……持っているか?」

断章将ルア・ラヴェルドはレアに語り掛けてくる。


「ルア・ラヴェルド、聞いたが事があるぞ。


最後まで帝国に降伏せず、

部下を道連れに全滅した愚将だとな」


「黙れ、帝国の犬め。

 陣形、展開!

 ──我が兵よ、誇りを以って迎え撃て」


 ルア将軍の号令と同時に、

 四方から再び幻影の騎兵部隊が召喚される。


 さらに、地面に刻まれた魔法陣から、

 四方の《陣装置》が発光を始める。


──将軍ルア・ラヴェルド──

軍略型断章ボス(戦術展開+精神干渉)


漆黒の重装甲、深紅のマント、

騎士剣と指揮杖を同時装備。左目は光を放つ義眼。


◆四陣制御式戦術結界(発動中)


【ギミック概要】

古戦場の四隅に存在する《陣装置》を使い

四種の戦術を展開。指揮(突撃、速射、盾構え、包囲)


【勝利条件】

2つの陣装置を解除すればボスの防御結界が解かれ、

直接攻撃が可能になる。


尚、解除には近接操作、遠距離魔法干渉が必要。

解除中は防御力低下。


「何故、軍人はみな好戦的なのか…」

佐和子はうんざりした様子で四陣の構造解析を始める。


「私は軍属ではございません。こちらを見ないで下さいませ」

マーレは騎兵に対峙しながら言い返した。


「ギミック展開確認! 四陣すべて機能中!」

ミュリアが警戒を促す。


「だったら……先に止めればいいだけの話だ!」


 セリアが東の陣へ突進。だが幻影兵が盾の壁を作る。


「クソっ、速い……“盾構え”が始まったか!」


「ミュリア、魔具を貸して!」


「どうぞ」


 佐和子が展開したのは、簡易式遠隔転写術式。


「南陣、解析終了、レア将軍、向かって。

 ──西の陣装置、解析開始!」


 南魔法陣の一つがひび割れ、指揮“速射”がつぶれる。


「よし、あとひとつで攻撃が通るよ!」


特に打ち合わせをせずとも、皆が役割を理解していた。


セリアとレアは幻影兵の排除と陣装置突入に向かい


ミュリアは構造解析に集中する佐和子に寄り添い、

 全体監視と幻影兵の復元タイミング抑制。


マーレは将軍ルア・ラヴェルドに直接牽制に向かい、

 同時に幻視干渉の無効化支援を行う。



 さらに、セリアの冥斧が東の陣装置に直撃し、

 指揮“突撃”モードが沈黙する。


 東と南の陣が沈黙し、残るは二つ。

 将軍の防御結界が、わずかに揺らいだ。


「これで、お前の“部隊戦”は終わりだ!」


「……こちらも準備は終わったところだ」


 マーレの一撃を防ぐため、ルア・ラヴェルドは剣を抜いた。

 剣が青白い炎を纏い、戦場を覆いつくしていく。

 「我が誇りよ、炎となって敵を打ち砕け!」


 「指揮”包囲”。幻想兵で包囲攻撃じゃないのか!?」


 マーレは鎧ごと焼き尽くす炎に溜まらず地面に転がる。


 佐和子は進み出た。

 幻視の炎が頬を赤く照らす。


「あなたの、“勝利のための誇り”は

 味方の犠牲を増やしただけだった」


 ルア・ラヴェルドは剣先を下げ、一歩前へ出た。

 炎は徐々に戦場を狭めていく。


「違う。

 これは、命を賭して戦った者たちの“証”だ。

 誇りとは、それを忘れないために掲げるもの!」

 

 彼の背後で、幻影の兵たちが再び整列する。


「でも……」

 佐和子は静かに首を振る。


「その誇りが、誰かを縛るなら。

 前に進めなくするなら。

 それはもう、“煩悩”なんだよ」


 剣が閃いた。

 大気を裂く光。


「ッ!」


 しかし、咄嗟に身を起こし、マーレは執着の刃で弾く。


「“今のあなた”に、あの方の光は届かない。

 その資格もない」


「マーレ、待って!」

 佐和子の声に合わせ、幻視空間が震えた。


 “お前には、誇りがあるのか?”


 その問いは、全員の胸に触れていた。


「バルク…」

 セリアは短く息を吐き、

 一時的にその問いを受け入れ――荒々しく力を得る。


 戦場を渦巻き、包囲していた炎が

 帝国将レアに狙いを定め殺到する。



後半へ続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ