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第十一話 ― 胎核祓滅篇《煩悩銀河胎vs祓装核》

胎内終末決戦

胎の中心。

そこは黒花の大海、血と快楽の圧壊宇宙。


胎の奥底に眠るのは――

渇欲王の真核《原渇欲核》。

全宇宙を煩悩で塗り替える存在の源。


その前に、ユウが立つ。


いや――立ってはいない。

全身は既に黒根に貫かれ、

心臓も脳も花弁に喰われている。


だが、魂だけは――祓わずにいられない。


「……俺の全部を……祓い切るまで……

 絶対に……終わらせないッッ!!」


サラの涙

玉座の花嫁――

サラの瞳に、僅かな涙が浮かぶ。


胎の意識として、彼女は完全に渇欲に堕ちたはずだった。


だが、ユウの祓装核が放つ残響が、

かつて愛した声を蘇らせる。


「ユウ……わたし……もう……」


渇欲王が冷笑する。


『無駄だ。花嫁よ。

 お前はもはや核そのもの――

 抗いは、快楽の刃で即座に呑まれる。』


しかし、サラは震える唇を噛みしめた。


「……わたしは……

 ユウと一緒に……生きたかった……だけ……なのに……!!」


胎核祓滅式《逆理超越装》

ユウの魂と胎内に残る全ての祈りが重なり合う。


血と核を貫く、最後の逆理。


《胎核祓滅式・逆理超越装》

自らの魂を完全燃焼させ、

胎核を内側から祓い焼き尽くす――

死を超えた、最終の祓装形態。


胎内の花弁が逆流し、

胎全体が痙攣する。


『……愚かなる小虫がッ――!!!』


渇欲王が胎根をユウへ突き立てるが、

ユウは血と共に笑った。


「サラ……

 俺はお前を――

 お前の涙を――

 絶対に、祓ってみせるッッ!!」


胎核崩壊

逆理超越装が胎核を貫通する。

渇欲王の断末魔が胎内に木霊する。


胎根が銀河へ伸ばしかけた触手が次々と崩壊し、

孕みかけた惑星が解放される。


サラは玉座で微笑んだ。


「……ありがとう……

 ユウ……ごめんね……

 ずっと……愛してる……」


ユウの魂が、サラの心に触れた刹那――

胎核が完全に祓滅された。

胎核消滅、その代償

ユウとサラの魂が祓われた瞬間――

煩悩銀河胎は崩壊し、

全宇宙を呑み込むはずだった黒根は塵と化した。


しかし、その代償は余りにも大きい。


多くの星系は胎の触手によって半壊し、

人類文明は宇宙難民として漂うしかない。


胎の瘴気は霧散したが、

一部は「胎渇病」として人々の血肉に刻まれた。


――祓ったはずの渇欲は、

  人類の中で新たに芽吹こうとしていた。


胎後世界

世界政府も異星コロニーも崩壊した。

秩序なき宇宙で人々は小さな居住艦を作り、

胎の残滓から逃れるように漂う。


一部の者は《胎核残響レムナント》と呼ばれる新たな異能を宿し、

宇宙海賊として生きる者も現れる。


人類は胎の夢を生き続けるのか。

それとも――再び祓いを求めるのか。


胎祓残響師《胎祓装師》の誕生

その混沌の中、

ユウの血を受け継ぐ者たちが現れた。


彼らは胎後世界で唯一、胎渇病を制御できる人類。

血を媒介に、胎残響を祓い浄化する祓装師の新世代。


胎祓装師たいばつそうし

彼らは血を武器とし、渇欲に染まった者を再び祓う者。


胎後の混沌を巡り、

胎祓装師たちの血戦が始まる――!!


胎の残響が蠢く

――胎は終わったのではない。


胎核の残滓は、

人類の血の中で新たな意志を持ち始めた。


『……ユウ……

 わたしは……まだここにいる……』


胎の奥底に微かに残る《渇欲の囁き》。


胎祓装師たちの血の奥から、

再び声が滲む。


煩悩は死なない。

血が絶えるまで、祓いは終わらない――!!

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