― 血と煩悩の花嫁終末戦
《黒花の玉座》目前――
街の中心部、《血染めの花園》。
祓装師《夜刀》と堕ちた女帝が、
満月を背に、血と花弁を撒き散らして刃を交わす。
狂戦 ― 夜刀 vs カレン
――斬る。
刃が裂き、肉が裂ける。
夜刀の刀がカレンの腹を貫く。
だが、黒金の花が傷を覆い、
カレンの肉体は煩悩核の力で再生する。
「……もっと……斬って……♡
夜刀に切り裂かれると……
サラ様の声がもっと聞こえるの……♡」
狂った笑み。
黒花の触手が夜刀の背を貫き、血が噴き上がる。
夜刀は呻きながら刃を振るう。
「……堕ちろ……ッ……
お前はもう……カレンじゃない……!」
煩悩暴走 ― 夜刀、自壊の兆し
原初の煩悩核を埋め込んだ代償。
夜刀の身体にも花嫁の刻印が浮かび上がる。
血管が黒く染まり、
眼の奥にサラの声がこだまする。
『夜刀……わたしのところにおいで……
全部わたしが溶かしてあげる……♡』
夜刀は己の喉を裂き、花粉を吐き捨てる。
「……まだ……堕ちん……ッ!!」
玉座のサラ ― 覚醒と快楽
玉座ではサラがシンを抱きながら、
夜刀とカレンの死闘を甘く見下ろしていた。
「……美しい……
もっと……壊して……
もっと血を流して……
わたしの煩悩を……
咲かせて……♡」
足元には何百もの花嫁花婿が蠢き、
サラの快楽の供物となっている。
その喘ぎと血飛沫が、
煩悩核をさらに肥大させていく。
最期の一閃
夜刀はカレンの首筋に刃を滑らせる。
「……行け……カレン……
地獄の先で、待ってろ……ッ!!」
咆哮。
刃が光を放ち――
カレンの花嫁核を一刀両断。
黒花が血煙となって弾け、
カレンの肉体が崩れ落ちる。
「……サラ……サマ……♡
だいす……き……」
最愛の女帝、ここに散る。
夜刀、煩悩暴走へ
だが、夜刀の身体も限界。
花嫁核の呪いが逆流し、
肉体を咲かせ、頭蓋を破ろうとする。
サラは舌先を舐め、
玉座の上で笑った。
「……来なさい……夜刀……
あなたも……わたしの巣に……♡」
夜刀、ついに花嫁化
黒花を抱えたまま玉座へ踏み込んだ夜刀。
既に皮膚は黒金に爛れ、
肉は煩悩核に喰われて獣のように歪む。
「……サラ……これが……
お前が……望んだ世界か……ッ」
膝をつき、血を吐き、
それでも刃をサラに向ける――が。
次の瞬間、夜刀の首筋に無数の触手が突き刺さる。
「……やっと……
あなたもわたしのもの……♡」
サラがそっと口付けすると、
夜刀の瞳から血の涙が溢れ、
理性が完全に沼へ沈む。
「……あぁ……サラ……
俺も……お前の……」
夜刀――《黒花の騎士》、ここに堕ちる。
シンの覚醒、そして墜落
玉座の脇、
未だ抵抗していたシン。
だが夜刀の最期を目にして、
何かが弾けた。
「……ふざけるなッ……!!
俺が……俺がサラを止めるッ!!」
煩悩核の暴走を意図的に受け入れ、
暴走した力を制御不能のまま叩きつける。
サラの花嫁軍数百を一瞬で消し飛ばすが、
代償としてシンの脳と核が融合し、
自我と欲望が混濁していく。
「……サラ……
殺す……お前を……抱いて……殺す……♡」
血の涙を流しながら、
サラの足元へ滲み寄る――。
サラは狂気の笑みを零す。
「……うれしい……
もっと……わたしを……壊して……♡」
玉座、血の婚姻
暴走したシンと、完全花嫁化した夜刀が、
玉座のサラを挟んで咆哮する。
黒花の根が地底を貫き、
街を飲み込んで煩悩の楽園を固定化する。
その中心で、
血と喘ぎ声と悲鳴が混ざり、
サラの笑い声が響く。
「……全部……わたしのもの……
夜刀も……シンも……
世界全部……煩悩で咲かせて……♡」
花弁は止まらない――
血は止まらない――
快楽は――果てない。
玉座で咲き誇る《サラ》
黒花の根が都市を突き破り、
サラの玉座は地上の大聖堂を呑み込んだ。
今やサラ自身が《煩悩極楽核》――
全ての欲望を喰らい、花嫁巣を無限に増殖させる存在。
夜刀とシンは完全に従属し、
サラを守護する《煩悩騎士団》と化した。
都市は花弁と血で埋め尽くされ、
空は黒金に覆われる。
人類滅亡まで――残り数時間。
だが――その楽園を許さぬ者あり
狂乱の花園の外、
海の向こうの廃都にて。
赤い外套の男が、一人呟く。
「……終わったか、サラ。
だが――お前程度の煩悩では、
《真の渇き》は満たせぬ。」
男の背には、
全てを浸食する黒よりも黒い《奈落花》。
その名は――
《渇欲王グレイヴ》
煩悩核の原初の主にして、
サラを造り出した元凶たる外なる存在。
サラの暴走に呼応し、
ついにその封印が解かれる。
侵攻する《渇欲王》
サラの花園の空を裂き、
奈落の根が降り注ぐ。
「……これ以上の煩悩を……
もっと……もっと……」
夜刀とシンが迎撃に出るが、
グレイヴの瘴気に触れた瞬間、
黒花ごと飲み込まれ、分解される。
サラは玉座で愉悦の中に怯えを滲ませる。
「……誰……!?
わたしの……極楽を……乱すのは……!」
グレイヴの声が世界中に響く。
『サラ――
お前の煩悩など、わずかだ。
真の欲望を示せ。
さもなくば――貴様ごと、この楽園を喰らう。』
煩悩 vs 渇欲
サラは玉座を立つ。
血まみれの花嫁核が脈動し、
夜刀とシンの残骸から新たな騎士団が生まれる。
「……全部……
全部わたしのもの……
お前なんかに……奪わせない……ッ!!」
玉座の女王 vs 原初の王――
ここに煩悩終末決戦、開幕!!!