― 暴走煩悩の夜
夜空を裂く遠吠え。
金と黒の霧が街を飲み込み、
路地裏にいた野良猫さえ恐怖で逃げ去った。
シンの瞳は人の理を失い、
目の前の女達を「獲物」としか認識していない。
「グルル……ガルルルルル……ッ!!」
血の匂い。
煩悩の匂い。
羞恥の匂い。
それが今のシンを暴走させ、
獣の本能でカレンに飛びかかる。
「ッ……く、来なさい……っ!
煩悩の獣ごと、私が飼いならして――ッ!!」
だが遅い。
ゴギャッ――!!
獣のシンがカレンを地面に叩き伏せ、
赤黒い鱗鎧を爪で切り裂いた。
月明かりの下、羞恥を武器にしていた女帝の素肌が
音を立てて曝け出される。
「いやッ……!
ダメ……これ以上は……ぁ……ッ!」
カレンの身体が快楽と羞恥で震える。
だが――獣にはもう関係ない。
「ガルル……ガアアアッ!!」
その視線が横たわったままのサラにも向く。
「ひっ……! シ……ン……!
お願い……私だけは……!」
だが彼女の光の帯も、
獣の爪で容赦なく引き裂かれる。
二人の裸身と、噴き出す煩悩の瘴気。
夜空に混ざり合い、獣の咆哮が更に高まる。
「ウゥゥゥゥ……ガァァァァァァァ――ッ!!」
暴走の果てに――
街の電灯が次々と割れ、
路地裏はまるで暗黒の煩悩牢獄。
カレンは震えながら笑う。
「……あぁ……いい……♡
私の羞恥も……サラの純情も……全部……この獣に……!」
サラは涙を流しながら――
それでも震える声で叫んだ。
「……やだ……やだよ……っ……
シンを返して……!
お願い……私の……シンッ!!」
彼女の叫びが、獣の耳に届くか――
それとも――
煩悩の夜は、まだ終わらない。
「ガルル……ガァァァァァ……!!」
獣の煩悩の咆哮が、月夜を血のように染める。
路地裏はもはや結界めいて歪み、
金黒の瘴気がドロドロと路面を覆っていく。
拘束を解かれたサラが、
涙で濡れた裸身を必死に抱え込んで後退する。
「……シ……ン……お願い……戻って……!」
だがその声は、もう届かない。
シンの黒い爪が、再びカレンの腰を掴む。
「ッ――や……ぁ……!」
押し倒されたカレンの髪が路面を汚す瘴気に浸かる。
赤黒い鱗鎧は完全に粉砕され、
かつて女帝と呼ばれた羞恥の仮面は――
もうどこにも無い。
「……あぁ……♡
私……私の羞恥……
全部……お前の巣にして……♡」
カレンの瞳は理性を超えた恍惚で潤んでいる。
シンの獣の舌が、彼女の首筋を舐めるたびに――
カレンの腹から、足元の瘴気がさらに蠢く。
路地に、黒金の触手状の瘴気が花のように咲き乱れ――
それが女帝の身体を媒介にして、
新たな《煩悩の核》を作り始める。
「ひぁ……ッ……ん……あッ……!
いい……!
私の羞恥、全部……
お前の、巣に……してぇ……ッ……♡」
女帝だったカレンが、
今や暴走獣の生贄。
獣が煩悩を補給する、淫らで淫靡な女王巣。
――もはや誰も止められない。
サラは震えながらも、
まだ目を逸らせない。
「……やだ……
シン……やめて……
カレンが……化け物の……!」
シンの爪がカレンの太腿を押さえ込み、
獣の煩悩が唸りを上げる。
カレンの喉からは甘い悲鳴と快楽の吐息が混ざり、
暗黒の路地裏が煩悩の楽園に塗り替わっていく――。