包装紙
【短歌十首】
朝方の痛み憶えし曇天にウグイスが掬い取った淡い光雲
長閑な雨音聞いていたい、夜中の雨音が樋から漏れ落ち響く
陸に産み残され目覚めれば砂を掻き分け母亀を追いかけて
失ったことよりあの日々への感謝が無数の星となって瞬く夜
ゆっくりと暮れてゆく薄明に浮ぶ金の兜は青に映えてる
鈴虫が宵闇へゆっくりと誘う浅い眠りにささやくように
人混みを歩き疲れてあんみつの器がオアシスのごとく光って
母の日に花秒針の置時計を包む紙は折り目正しく
真っ直ぐに伝えしことばに笑ってそらすお話をもっと聞かせて
孤りの背中を見せるのは真に誰が為なのかと月は応えず