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皇太子妃候補 後篇

頭を抑えながら起き出した皇太子に王妃は駆け寄る。

「皇太子!何があったのですか?」

「なにって」

皇太子は周囲を見渡す。

「どう言う事だ!」


半裸のソルマ王女の姿を見て叫ぶ。

「皇太子様は私がやめてと言ってもやめてくれませんでした」

ソルマ王女が両手で顔を覆って泣き出す。

「嘘だ!」

皇太子が叫ぶ。

「後で話を聞きます」

王妃の言葉に皇太子は項垂れた。

カタリナは王妃に頼まれて皇太子を部屋まで送り届けた。その途中に貴族の子息が何人か集まっていた。カタリナは護衛に伝えて関係者以外は皇太子の部屋と先程の部屋には近づけないようしてもらった。

皇太子はかなり酒に酔っているみたいで酒の匂いがしていた。

侍女に頼んで医師を呼び薬を飲んで休んでもらう。

「私は何もしていない! 信じて欲しい」

皇太子は懇願する。

「わかっています」

カタリナは先ほどの部屋に転がっていたグラスを思い出す。

皇太子は嵌められたのだ。

王女が何か言ってくる前に証拠を見つけないと国際問題になる。そうなれば王妃が懸念しているソルマ王女を皇太子妃にしなければいけない。

カタリナは侍女に皇太子のことを頼み先程の部屋に戻った。

「王妃様!」

王妃は部屋に転がっていたグラスを手にしていた。

「王女は部屋で休ませているわ」

「皇太子様はかなり強いお酒を飲まれていたようです」

「これがそうね」

王妃の手には王女が飲んでいたグラスがあった。

「王妃様、そのグラスの酒はアルコールがほとんど入っていません」

カタリナは宴会場で自分も飲んだと説明すると王妃は中身だけ別の物に変えられた可能性を指摘した。

「しっかり調べる必要があるわ」

王妃は王様に報告してくると言い部屋を出ていった。

カタリナはグラスに残ったわずかなワインの成分を調べるように警護の者に渡した。

そして、カタリナは部屋の隅々まで調べて幾つかの証拠になりそうな物を見つけた。そこでリディアナに頼んでおいたものを見つけた。

王命で警備兵がやってきたのでカタリナは後を任せて部屋を出る。

すると子爵令嬢が部屋の外にいる侍女達に先程の話しをしていた。

「子爵令嬢、先程は私達が部屋に入った時、いなかったのに、どこで見ていたのですか?」

「皇太子様の暴力が怖くて部屋の隅に隠れていたので見えなかったのでは?」

「ここにいた侍女は誰?」

カタリナが尋ねる。

「私達です」

「子爵令嬢がこの部屋に入ったことは知っていますか?」

カタリナが聞く。

「皇太子様とソルマ王女が入られた以外は誰も入っていません」

「皇太子様と一緒に入ったので見えなかったのではないですか?」

子爵令嬢は部屋にいたと言い張るがファルマの侍女達と皇太子付の護衛も皇太子とソルマ王女以外は誰も部屋に入っていないと言う。

侍女達の証言で子爵令嬢が嘘を言っているが証拠がない。

「子爵令嬢、こちらに来ていただけますか」

子爵令嬢は警備兵に連れて行かれた。

カタリナはマリベルから聞いていた内容と少し違うところがあるが大体同じ内容だと思った。カタリナは今後の展開を想像する。近いうちにファルマの王がやって来る。ソルマ王女の皇太子妃就任と風土病の援助を言ってくるはずだ。

カタリナは王宮の割り当てられている部屋まで来てひと息つく。

「カタリナ、たのまれていた者を連れてきた」

カタリナは皇太子を部屋に送り届けた時、父親の侯爵に連絡を入れておいた。

「ありがとうございます」

「それとこれはマリベルに頼まれた手紙だ」

侯爵から渡された手紙を受け取って読んだ。

その後、すぐに先程の証拠品を連れて来た人物に見せた。

「これは魔法がかけられていますね」

侯爵が連れてきた魔法使いが言う。

「どんな?」

「記憶を無くすものです」

カタリナはマリベルの手紙と辻褄が合うと思う。

「この魔法をつけた者を特定出来る?」

「やってみます」

その後、カタリナはあの宴会場で給仕をしていた人物を探し出した。

「ソルマ王女に渡したのはこのグラスに入った飲み物で間違いない?」

「はい、カタリナ様と同じ物が欲しいと言われまして」

「他に何か言っていなかった?」

「特には何も」

カタリナはどうしてソルマ王女がカタリナの事を気にするのか不思議だったがマリベルからの手紙に書かれていた内容にあっている。

「何があったのか?」

侯爵が聞いてくる。

「皇太子がファルマの王女に嵌められました」

「嵌められた?」

侯爵は驚いていた。

皇太子はとても慎重で誰かの策略に追い詰められる事は今まで無かったからだ。

「マリベルから起こり得る内容を聞いていたので準備はしていましたが、それが上手くいくか心配で」

「私は何かする事はあるか?」

侯爵が心配そうに聞いてくる。

「では一つ、近いうちにファルマ王が来ると思います。その時、今回の皇太子の責任を言ってくるはずです。ソルマ王女を皇太子妃にすることと、風土病の援助を言ってくると思います。その時、国境付近で風土病の感染者が流入した事でリディアナからは証拠になる物を用意してもらっていますが、お父様も見た事を証言していだだけますか?」

「わかった、あのファルマからの風土病患者の流入は大変だったんだ。隔離しようとしても指示を無視して薬を奪っていく者たちがいてな」

侯爵は溜息混じりに言う。

カタリナはリディアナの証拠だけだと嘘の証拠だと言われないかと心配していた。その点、現地で風土病の治療の人道指揮を取っていた父なら信憑性がある。それに期待する。

暫くすると魔法使いから報告が入った。

「あのグラスに魔法を仕掛けたのは隣国、ファルマの魔法使いですね」

「その者を捕まえたいけど、出来る?」

「やってみます」

カタリナは警備兵も動員して魔法使いを探した。

「カタリナ様!見つけました」

警備兵に連れられて魔法使いが来た。

警備兵に尋問され、魔法使いはソルマ王女に頼まれたと白状した。

魔法使いはソルマ王女に自分はいずれ皇太子妃になるのだから言う事を聞いた方がいいと言われたそうだ。

リディアナがやってきた。

「想像通りで怖いくらいね」

リディアナと同じ気持ちでカタリナは考える。

「まだ、何かあると思うの」

カタリナが言うとリディアナも同じだったようだ。

カタリナはマリベルからの手紙をリディアナに見せた。

「色々ありそうね」

リディアナは調べないと、と言う。

カタリナとリディアナは更なる証拠を集める為、ソルマ王女と皇太子がいた部屋に行った。

部屋に入ってすぐにリディアナは壁側にあった棚へと步いって行く。

棚まで近づくと棚の上に置いてある物にハンカチがかけられているのを見つめていた。カタリナも近づくとハンカチがかけられている物は水晶だとわかった。

「リディアナ、これって」

「シッツ」

カタリナが話しかけようとするとリディアナが遮った。

そして、あるところに視線を投げる。

カタリナはその先を見て悟った。

もうひとつ水晶が隠されている。

リディアナは晩餐会のあった会場付近の部屋に水晶を設置していた。先程のハンカチがかけられた水晶は技と分かる場所に置いて、別の場所に水晶を隠しておいたと言う。

リディアナは警備兵を呼んでその水晶を回収させた。

別室でカタリナとリディアナは王妃と一緒に水晶に保存されている記録を見た。

「許さない!」

王妃はその一言だけ言って口を閉ざした。

ソルマ王女が強引に皇太子に酒を進めている様子が映っていた。

皇太子が酔い潰れたのを確認してソルマ王女は自分で服を破った。

カタリナとリディアナはソルマ王女と皇太子がいた部屋に入ってきた人物達を全て探し出して証言を集めた。

部屋に入ってきた人物は王妃とカタリナが部屋に入って行った直後、部屋にやって来た人達だった。その中には子爵令嬢もいた。

ファルマの侍女や皇太子の護衛が、言っていた通り、この部屋には最初、皇太子とソルマ王女しか入っていなかった。

カタリナは警備兵にその事を伝えた。

警備兵の尋問に子爵令嬢は最初は知らないと言い張っていたが証拠があると言われて、ソルマ王女から頼まれたと白状した。

二日後ファルマ王がやってきた。









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