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「本当に素晴らしいですわ」

「私も参考に勉強をしていますが難しいですね」

男爵令嬢と子爵令嬢が大袈裟に賞賛してくる。

「王様がそれはそれはお喜びされていてカタリナ様をお褒めになっていますのよ」

カタリナはお茶を飲みながら苦笑いを浮かべる。

「ところで、皇太子妃にカタリナ様が候補になっていると聞いたのですが、本当ですか?」

子爵令嬢が聞いてきた。カタリナはやっと本題に入ったと思った。周囲の貴族令嬢と何度も目配せをしていたのだ。気付かない方がおかしいくらいだ。今日のお茶会の目的はこの話のはずだ。カタリナは表情を変えることなく答えた。

「まだ、分かりませんよ。正式に連絡を頂いておりませんので」

「まだ、ですのね」

子爵令嬢はほくそ笑む。

周囲の令嬢達は残念そうな表情をしながら内心は喜んでいるのがわかる。

周囲の貴族令嬢たちは少しの安堵ともに目を輝かせる。

カタリナは心の中で笑う。

王妃の地位だけを望む者達の愚かで滑稽な態度に飽き飽きしながら眺めている。

王が求めているのはただ着飾って笑みを浮かべるだけの人形が欲しいのではない事を気づいていないのだろう。

現に今回の風土病の件でもここにいる貴族令嬢の両親から何の提案もなかったと聞く。それなのに皇太子妃候補に名乗り出ようとは呆れてくる。

カタリナは飲んでいたお茶がなくなりかけたのをみて席を立った。

「そろそろお暇しますね」

「まだ、お聞きしたい事があります」

伯爵令嬢のリディアナが、必死に止める。

周囲の令嬢達は興味深く見ている。

「また、次回にでもお話しましょうね」

カタリナは笑顔で返した。

実はリディアナからは別で相談を受けていた。

リディアナの家は国境の警備を担っている。その為、今回の風土病患者が国境を超えて流入した責任を問われていたのだ。我が国の風土病は収束したと言っても良い状態まで落ち着きを見せている為、それ自体は解決したと言ってもいい状況だがそれに責任を負わせようと考える人たちがいる。リディアナの家を引き摺り下ろし自分たちがその地位に登り詰めようと考える貴族達が。その為の対策をリディアナに相談されていた。

「是非!」

リディアナが即答する。

カタリナが部屋を出ると中から歓声が聞こえた。

カタリナがまだ、皇太子妃に内定していないことで自分たちにもチャンスがあると思っているようだ。

「呆れた」

カタリナは呟く。

王が皇太子妃に求めているのは皇太子と共にこの国を治める事が出来る人物だ。

それすら分からないとは愚かな。

カタリナは馬車に乗って岐路についた。

馬車の窓から外の景色を眺める。のどかな風景が続く。隣国ではまだ、風土病の影響が残っているらしい。

カタリナは次の手を考える。

「魔法使いが必要ね」

カタリナは屋敷に着いてすぐに執事に極秘で魔法使いを雇うよう告げた。

「カタリナ!どうしたらいいか?」

父親の侯爵が焦っていた。

「どうされましたか?」

「王宮からカタリナを皇太子妃に迎えたいと連絡がきた」

「断ってください」

侯爵が最後まで言い終わらないうちに断った。

カタリナは皇太子妃に興味がない。

「皇太子妃だぞ!本当に良いのか?」

「面倒なだけです。はっきり断って下さい」

「分かった」

侯爵は肩を落として帰っていく。

少し強く言いすぎただろうか?

侯爵の気落ちが気になってくる。

「あっははは!」

マリベルの部屋を訪れると大笑いをされた。

「みんな皇太子妃になりたいのね」

「そんなに楽しいことでもないと思うけどね」

カタリナが言うとマリベルはそうではないと言ってきた。

「地位が魅力的だからだと思うわ。周囲から傅かれて気分が良いからね」

マリベルは貴族令嬢の考えそうな事だと笑う。

「それでも義務と責任が大変じゃない?」

「それを考えるだけの能力はないわね。高い地位を手にする事しか考えていないから」

カタリナは私は関わりたくない話題だとため息をついた。

翌日、情報ギルドからの情報で新たなことがわかった。

アデルは隣国、ファルマに情報を流していたのだ。我が国で風土病が流行すれば自分の保管している薬草が使えると思ったようだ。更に子爵家もファルマが風土病の患者の流出するのを手助けしていた事も判明した。

子爵家は伯爵の責任問題を大きくして、自分たちがその地位に成り代わろうと考えていたようだ。

実際、伯爵家の責任問題をいち早く言い出したのは子爵だ。

カタリナは両方を片付ける方法がないかと思った。

出来ればリディアナの伯爵家を助ける方法があれば良いと。

カタリナはマリベルの部屋に行く。

「マリベル、今、いい?」

「カタリナ、どうしたの?」

マリベルはベッドで書類を見ていた。

「実は情報ギルドに調べさせたんだけど、どうしよう」

カタリナは情報ギルドからの報告書をマリベルに渡した。

「もし、これが本当なら、ファルマと子爵家は繋がっているわね。カタリナ、ファルマの王女はどんな名目で来るのか調べられる?」

「調べてみるわ」

「名目がわかったら、対策を考えましょう」

マリベルは悪戯っ子の様な目で笑った。

カタリナはすぐに父親の執務室を尋ねた。

「お父様、実はお願いがあります」

「なんだね。やはり皇太子妃になりたいと言うのなら大賛成だぞ」

父親の侯爵の顔は綻んでいる。

「違います。実は子爵家がファルマと繋がっている可能性が出てきまして、ファルマの王女が近いうちに我が国に来ると聞いています。その理由は分かりまか?」「なんと!では風土病の流入は子爵家が関わっていたというのか!」

「おそらく」

カタリナが返事をすると侯爵は声を落として話す。

「そう言えばあの付近で子爵家の騎士団の旗を掲げる者がいたな。あれがそうか!」

「お父様、ファルマの思惑を調べたいのです。何でもいいので教えてください」

カタリナがお願いをすると侯爵は更に声を落として話す。

「まだ正式には決まっていないが、ファルマの王女は皇太子妃候補として我が国に来る事になるようだ」

「後は何も、ないですか?」

カタリナはファルマの王女が来るだけだと思えなくて聞いた。

「これは一部の貴族しか知らないが、ファルマ王は風土病の支援を言ってきているようだ」

カタリナはファルマ国と子爵家の思惑を模索した。

カタリナはすぐにマリベルの部屋に行く。

「マリベル、ファルマの王女の理由がわかったわ」

マリベルはベッドで起きて何かを書いていた。

「カタリナ、どんな理由だった?」

マリベルは書いていた紙をそっと隠して聞いてきた。

「あっ、ファルマの王女は皇太子妃候補として来るみたい。それとファルマ王は風土病の支援を希望しているようよ」

「それなら、王女が何かするとしたら子爵家が手伝うはずね」

「手伝うって何を?」カタリナはわけがわからなかった。

「例えば、証言者として王女を援護するとか?」

「はっ!」

カタリナは驚く。

「マリベル、リディアナにも知らせてもいいかしら?」

「協力者が必要ね」

マリベルは笑顔を見せた。

カタリナは部屋に戻ってすぐにリディアナに手紙を書いた。

リディアナからの返事はすぐに屋敷にやって来た。

カタリナはリディアナが来る前に情報ギルドに子爵家を探るよう指示をだした。

「カタリナ様、手紙より直接お話をお聞きしたいと思い、来てしまいました」

「リディアナ様、一緒に来てもらえますか?」

カタリナはリディアナに告げると二人でマリベルの部屋を訪ねた。

「マリベル、来たわ」

カタリナが言うとマリベルは笑顔で出迎えてくれる。

「リディアナ様、マリベルです。カタリナから話は聞いています。何かお手伝いができるかと」

「マリベル様、よろしくお願いします」

「早速ですが、国境の水晶に不審人物が映っていませんか?」

マリベルが尋ねるとリディアナは持ってきた鞄から水晶をだした。

「見ても大丈夫ですか?」

マリベルが尋ねるとリディアナは早速、水晶の映像を映し出した。

そこには、ファルマの騎士達に誘導され国境を超えてくる風土病患者達が映し出される。

国境を超えた時、ファルマの騎士達から引き渡されたのは子爵家の騎士団だった。

愚かにも子爵家の騎士団は子爵家の旗を掲げて患者達を誘導していた。

「子爵家が関与しているのは明白ですね」

マリベルが言うとリディアナは涙声で言う。

「マリベル様、これを証明したいです。我が家に落ち度はなかったと!」

「証明する機会を作りましょう」

マリベルが力強く言う。

その後、カタリナとマリベル、リディアナで、ファルマの王女が来た時に証拠をだして糾弾する方法を考えた。






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