表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/13

風土病

翌日は朝から大騒ぎだった。

隣国との国境付近で風土病が蔓延してバタバタと住民が倒れていく。

どうやら隣国、ファルマは風土病を抑え込むことが出来なくて我が国に風土病に感染した国民を送り込んできているようだ。

カタリナの父親、侯爵が王宮に報告をして商団で保管されている薬草を使い治療をすることになったが、同時にアデルも薬草を出してきて治療を始めた。しかし、アデルが用意した薬草の効き目はなく、更に悪化して混乱を極めた。風土病が治らないとわかった後もアデルは自分が用意した薬草を使い続けた為風土病が更に蔓延した。更にファルマは風土病に感染した患者を国境からどんどん送り込んで来る。その動きも阻止しなければいけなかった。友人のリディアナから連絡を受けたカタリナは情報を集めた。

リディアナの家では国境の警備を担っているためファルマからの風土病感染者の流入は責任問題にもなっていた。

リディアナの調べで、国境の警備兵の証言からファルマは警備の手薄な場所から感染者を流出させているのが判明した。

カタリナはリディアナにその様子を魔法師が使う水晶に遺しておくよう伝えた。今すぐには出来なくても必ずファルマを追い詰める証拠になるはずだ。

国内の風土病は王宮の騎士団が出動して統制をはかり、カタリナが用意した薬草を使い何とか押さえ込む事に成功した。

カタリナは情報ギルドからの報告を読んでいた。

「カタリナ様、アデル様は今回の騒動の責任をとり、謹慎しているそうです」

イリーヌがお茶を出しながら伝えてきた。

「そう、これで少しはおとなしくなってくれるかしら」

「屋敷でかなり暴れているようですから、納得していないでしょうね」

イリーヌから聞いてやはりそうかと思う。

カタリナは更に次の手を準備する為、商団に手紙を書いた。

「次は何をされるつもりですか?」

イリーヌが聞いてきたとき父親の侯爵が部屋に入ってきた。

「カタリナ、今回の件とてもよくやった。王様もとても喜んでいる。それでな、国境付近の混乱を鎮める方法などはないかな?王様が気にしているのだ」

「それでしたら、商団が保有している土地に保養所を建てて下さい」

「そうか!その建築の人手は今回の風土病で被害のなかった者達を使えばいいな!」

父親はすぐ理解してくれた。

早速、王宮に報告に行くと言って出て行った。

「慌ただしいですね」

イリーヌが父親に出す予定だったお茶を持っていた。

父親が出ていったすぐ後に部屋に入ってきた人物を見てカタリナとイリーヌからは、ため息が漏れる。

「カタリナ!お前のせいで大恥をかいたぞ!」

アデルは部屋に入るなり怒鳴った。

「私が貴方に何かしましたか?」

「あの薬草だ!お前が風土病に効くと言っていたから俺は大量に仕入れて使ったんだ!そのせいで王様と侯爵様から反感を買って謹慎しているんだ!」

「私があの薬草が風土病に効くといつ言いましたか?」

アデルは口をつぐんでいる。

カタリナが管理している商団から情報を盗み出し、勝手に勘違いして使った結果だ。

私のせいではない。

それに謹慎していると言いながらやって来たのは謹慎していないのと同じではないか。

アデルはこの事で成功を納め侯爵家の跡継ぎに名乗りあげるつもりでいたのでその予定が狂った事は怒りたくなるのは分かるがカタリナが管理している商団から情報を盗みだし自分の成果にしようとした事は許せない。もし今回、許してしまったら今後も同じ事をするはずだ。

カタリナは反抗的にイリーヌが淹れてくれたお茶を無言で飲んでいた。

アデルにはもう二度と侯爵家の商団に被害が及ばないようにしないといけない。カタリナは何かないかと考える。

アデルはこの状況を変える手立てがないかと私に探りを入れてきたようだ。しかし、私から何も引き出せないと悟ったアデルは大きな音を立てて部屋から出ていった。

翌日には更に大変なことになっていた。

お茶会の招待状が大量に届いたのだ。

「カタリナ様、どうしますか?」

溢れるくらいの招待状を抱えてイリーヌがやってきた。

「とりあえず、お茶会と夜会の招待状を分けてもらえる?」

カタリナの功績を褒めてくれた王様の話を聞きつけた令嬢や貴族たちが話を聞こうと送ってくるのだ。全てを相手にすることはない。

カタリナはお茶会の招待状の中から一通を手にした。

商団の衣料品店を任せている子爵家の妻からだ。気が進まないが簡単に返事を書いた。

昼食を挟みながら、お茶会と夜会の招待状に返事を書いた。

イリーヌに主席するお茶会と夜会のリストを渡し、後の準備を頼む。

「これだけ出席することにしたからドレスの手配をお願い」

翌日には更に大量の招待状が届いた。

「お嬢様、どうしましょう」

イリーヌが心配そうに覗き込む。

「とりあえず、重要なものを選んでくれる?」

カタリナはイリーヌが選んだ招待状に返事を書いた。

その後、お茶会や夜会に着ていくドレスを選んで、一日が終わった。

「カタリナ、大変そうね」

マリベルの部屋を尋ねると笑いながら言うマリベルは上手くいっているようだと安心した表情を見せた。

情報ギルドからの報告には近いうちに隣国、ファルマの王女がやって来るらしいと書いてあった。

「何かしら?」

マリベルは情報ギルドからの報告を読んでファルマの王女が来る本当の理由がわからないと言っている。

カタリナも同様だが、ただ一つ気になるのは国境付近の風土病の事だ。

カタリナはファルマではまだ収束していないなのに呑気に来る事なのかと思った。

「何か対策を考えておかないといけないわね」

カタリナが言うとマリベルは良い案があると言って教えてくれた。

「これなら言い逃れ出来ないわね」

マリベルはそう言って笑い出す。

「風土病患者を自国で治せないからって他国に送り出すなんて許せないわ」

マリベルの言葉を受けてカタリナは言う。

「しっかり責任を取ってもらわないとね」

その後。部屋に帰ったカタリナは今回の風土病で商団で補填した金額を算出した。

ファルマにはしっかりと支払ってもらわないと。カタリナはマリベルから教えられた準備を始めた。

父親の侯爵から王宮の情報を入手して何処まで出来るか考えた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ