思い出
バーベキューをして腹一杯になった頃幼馴染二人と中学の思い出なんかを語り合っていた。
「雪君、能力何かないか探すために色々やってたよねー筋トレとかして鬼のパワーが出ないかとか」
「紅さんに血出してもらってずっと念じてたりしてな」
「何もなかったけどな」
「大変だったのはやけになってフグを毒なしで食べて解毒出来たりしないか勝手に試して紅さんに死ぬ程怒られたりしてたよね」
「あったあった、何処からかフグ持ってきて俺はきっと毒が効かない体なんだわとか言って食べたんだよな、雪」
「まあ、流石に死にかけたし、それでやっと能力の諦めがついたから逆に吹っ切れたけどな」
そんな俺の黒歴史を話していた俺たちだが、
(俺だけ黒歴史暴露すんのもあれじゃね?)
ふと、思った。
「能力で言ったら司だって結構大変なことあったろ、ウロコの強度確かめるとか言って綾の全力魔法喰らったり、迷走して瞑想したら龍に変身出来んじゃないかと考えたらそのまま寝たりとか」
「綾だって精密操作しないと魔防隊で役に立たないとか言われて特訓しようとしたらストレス溜まって特大サイズの水球暴発させて溺れかけたりしてたよな」
「あったな、そんな事あれからもう3年経ったのか、結構早く感じるな」
そんな黒歴史を暴露しあっていたらいつもなら「もう昔のことでしょ!」とか突っかかってくる綾が静かだ。
「ねぇ、高校行ってもまたこうやって話せるよね?」
いつになく不安げな表情で俺たち二人に聞いてきた。
「俺は綾と同じ学校だから話せるけど雪は大きな休みじゃないと会えないかもな、うちの学校全寮制だから」
「だよね・・・雪君!何か能力目覚めてたりしない!?そしたら!
「綾!やめろ雪も行けるなら学校行きたいんだからそんなこと言っても意味ないだろ」
「ごめん、それでもやっぱりこんなふうに毎日会いたくて・・・」
「気持ちはわかるけどこればっかりはな」
能力を持たないってのにここまで気にしてくれる幼馴染がいて幸せだなと思いつつ、
「大丈夫、休みには会えるし母さんの手伝いをするつもりだからもしかしたら隣の病院にいるかもしれないしな」
「!そっか紅さん学校の隣の病院にいるんだっけ、そうしたらまた会えるね!」
おそらく、母さんの手伝いをする事になると伝えながらバーベキューの片付けを始めていった。