解明
雪視点
話そうとして雪はあることを思い出した。
(やばい、血を吸い出して毒を抜こうとしたとか言ったら怒られるんじゃないか?優しいけど専門分野に関しては厳しいからなぁ)
そう考えてしばらく黙っていた雪に秋がふと思い出したように聞いてきた
「そういえばなんで雪は一人称を[私]にしてるんだ?いつもは[俺]だろ?」
「なんか何度俺って言おうとしても私って言っちゃうんだよ。頭の中だと俺って言えるんだけど、なんでだろう?」
「分からないけど女の子になった事と関係はありそうだよね。」
そんな話をしていると病室のドアが開いて、先ほど来た先生が入ってきた
「お待たせしました、検査の結果が出ましたのでお伝えします。まず、娘さんの体は健康体そのものですので後数日で退院できると思います。ただ、ご両親が言うには数日前まで男の子だったのに女の子に体が変化していると言われたので検査したところ間違いなくお子さんは女の子の体だと結果が出ました。」
先生の話を聞いていろいろな考えが頭を巡った。
(毒を吸ったから?それとも母さんの言う黒ローブに何かされた?)
「他に異常は無いのでしょうか?」
母さんが不安げに聞いていた。すると、先生は「あるにはあるのですが、、、」と困ったように告げた。
「これまたご両親が仰っていた事にはなるのですがお子さんには能力がないと言う事でしたよね?」
「ええ、体に魔力がないため能力がないと生まれた病院で告げられました。私も信じられなくて自分でも調べましたがありませんでした。」
急に能力が無い話をされて意味がわからない、それと何が関係すると言うのか。
そんな空気を俺たち家族は作っていた。
「検査をしていましたところお子さんには魔力があることが分かりました。魔力は生まれ持ってくるものとされているため後天的にあることは事例がありません。」
「は?じゃあ何、私今能力あるのか?」
「そうなります」
まさかの肯定に思わず敬語すら無くして興奮が隠せなかった。
「でもどうして、たしかに私は無能力者で」
(あ、でもまさかアレでこんな体になったんじゃ無いよな!?)
「あのッ!血を飲み込んだら能力を受け継げるとか無いですよね!?」
軽くパニックになりながら俺は先生に聞いた。「少し詳しくお聞かせください」
「母さんのかけた霧が晴れて目の前に母さんが倒れてて、毒を食らってもう数分しか持たないって言って意識を失ったんです。」
「それで毒蛇に噛まれた時は血と一緒に毒を吸い出せば良いって聞いたことがあって試したんです。」
「確かにその対処は正しい。しかし、飲み込んだりするリスクもあるので正しい方法を熟知している方でないと危険です。」
「先生の言うとおり吸い出した後に爆発があって飲み込んじゃったんです。さしたら何にもなかったから毒に耐性でもあるのかと思って何度か飲み込んでしまいました。」
(やばい、勢いで言ってしまったけど母さんの顔見れねぇ!!!)
しかし、紅は静かだった。
「その後、頭というか全身が痛くなってでも助けなきゃと思って何回か吸ったあと意識を失ったんです。」
「なるほど、今の話を聞いても魔力が体にある理由にはならないですね、しかし、能力に原因がある場合なら話は別です。お母様は血液操作の能力でしたね。ならばお子さんも似た能力の可能性はあります。過去に魔力ドレイン系の能力者は魔力が補足しずらいという論文があったはずです。」
(確かにその理屈ならあり得そうな気がする、でも女になったことは関係はないのか?)




