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一年選抜本戦 千奈VSマナス1

俺は鬼灯さんが庭園を去った後千奈ちゃんたちの試合を思い出し綾たちに合流するためにカフェに戻った。


「ごめん!遅くなった!」


「遅いよ雪ちゃん!・・・何かあった?」


鬼灯さんとの事で落ち込んでいることを勘付かれたと思った雪は咄嗟に


「なんでもないよ!早くいかないと試合に遅れちゃうよ。」


誤魔化すことにした。綾はこの後試合があるしあまり負担をかけたくないと思ったからだ。


「・・・そう、ならいいんだ!それじゃあ私達は先に行ってるから!試合に間に合わないからね!」


綾はやけに急いだ風に怜達と会場に向かって行った。


「雪、少しいいか?」


「なに?」


「綾は言ってくれるまで待つつもりみたいだが俺は言っておくぞ。何があった?いや、なんとなくなら分かる。どうせ誰かにお節介をして断られたんだろ?」


「!」


司の的確すぎる指摘に雪は驚く。


「お前の困ってるやつに手を差し伸べる所は良いことだ。お陰で怜達は助かったからな。だが同時にお前の悪癖でもある事を覚えとけ。助けてもらいたそうなやつでも素直に助けられる訳じゃない時だってあるんだ。」


「う、ごめん。確かにそう言う所はあるしさっきも踏み込み過ぎて怒られた。」


「自覚があるならいい。無かったらそれこそ綾の説教コースだからな。昔のお前はもっと手がつけられなかったし。」


「そんな事ないって!確かにいろんな人の手伝いとかしてたけど・・・」


「助けた側だけじゃなく助ける側も幸せじゃないと意味ないんだよアホ。いつもどうしようもなくなってから俺たちを頼るんだからな。」


「ご、ごめん。」


「よし!少しは元気出たか?千奈ちゃん達の応援であんな顔してるなよ?綾だって気付いてるんだからな。」


「うん、ありがとう司。」


そうしてひとまず鬼灯さんのことは心の片隅に置いておくことにした。


(雪がお節介焼きになったのは朱音ちゃんを助けてくれた魔防隊員の影響もあるだろうがそれよりも能力を持てないと諦めた頃辺りからだ。まだ治ってなかったのか。)


「司ー?早くいかないと試合始まるぞー!」


「悪りぃ!今行く。」


(考えるだけ無駄か。今は俺たちがそばにいるからな。)



俺と司は急ぎ走って会場の綾達の元に向かった。


「はぁはぁ、綾遅くなった!試合は?」


「遅いよ!ちょうど今控え室に向かった所。ギリギリまで二人とも待ってたんだから。」


「ごめん。」


「しょうがないから後で話してね?」


綾は呆れ半分な顔で許してくれた。



『さて、昼休憩を挟んで第三試合!実況は【声広 二葉】がお送りします!長女の地位を渡せぇ!下克上じゃあ!ゲストはもちろんこの方!理事長先生です!』


『はい、引き続き解説させてもらいます。』


『この第三試合は双子対決ということで正直他人事な気がしないのですが理事長はどうこの試合を見ますか?』


『実はこの二人以前模擬戦で引き分けているそうです。互いに手札を知り尽くした相手。千奈選手は武器の模倣、マナ選手は魔力の強奪。それぞれが相手を上回る一手をどれだけ持っているかが勝敗の分かれ目になりそうですね。』


『なるほど、上回る何か・・・私も胸ならヤツに勝てるな。ヒッ!何やら殺気が飛んできた気がするのでここら辺でやめときましょう。ま、まもなく試合開始です!』


「マナ、今度こそあなたに勝つよ!今度こそ隣で戦えるんだって教えてあげる!」


「いいでしょう、私に追いつけるかどうか見せてください。待つ気は無いですよ!」


「本戦一回戦第三試合【銀嶺 千奈】対【銀嶺 マナ】試合開始!」


「【贋作の真作(フェイクオブトゥルー)】ナイフ×100」


「【強奪の魔刃】大鎌」


千奈は自分の両脇に25本ずつ浮遊させて待機、残りのナイフを全てマナスに射出した。


対するマナスは手に持っていた大鎌を正面に浮かせて高速回転させた。盾のようにナイフを弾くマナスだが数本通り抜けてしまう。

だがそこは流石というべきか身を捩ってナイフを避ける。


「前回のを忘れた訳じゃ無いよね!」


避けたはずのナイフがマナスを襲う。体を捩って避けたせいでマナスは両手を地面についていた。


「忘れる訳ッないでしょ!【強奪の魔刃】長槍!」


マナスは手から槍を生み出しその石突のほうに手を乗せて反動で上に飛んだ。


「まだナイフで追えるよ!空中なら避けられないでしょ!」


マナスにナイフが迫る。しかしマナスは避けるそぶりもなく何かを作っていた。

それはグリップから銃身まで全てが黒い銃だった。マナスはそれを千奈の右太ももに向かって撃つ。放たれる弾丸もまた黒く瞬時に千奈に着弾した。

その衝撃で千奈はナイフの制御が出来なくなりマナスに当たる前に地面に落下した。


「〜〜〜〜〜〜ッ痛ったい!マナあなた刃物しか作れないんじゃ無いの!?」


「いや?そんなことは言った覚えがないですね?あ、でも打ち込んだ弾は刃物ですよ?」


マナスはとぼけるように返事をした後千奈の太ももに目を向ける。


「弾が刃物?それってどういう・・・」


「咲け【魔刃の花】」


マナスが唱えると千奈の太ももから強奪の魔刃が数本生えてきた。


「ああぁぁぁぁぁぁぁあ!フーッ!フーッ!まさか、弾自体が魔刃を変形させたもの、だったなんてッ。」


「私の弱点である遠距離からの攻撃ならばこの方が効果的でしょう?魔力を奪い続ける限り消えないので引き抜く事をお勧めしますよ?」


「私に似ないで腹黒くなって・・・!ふぐっ!ん〜〜〜ッ!はぁはぁはぁ。」


千奈は自身の太ももから魔刃を引き抜く。普通なら出血で今にも倒れそうなのだが千奈はある魔道具を作り出す。


『おっと重傷を負った千奈選手!何やら魔道具を作り出した!理事長あれは?』


『どうやら快復のオーブのレプリカのようだね。まさか効果まで再現しているとは思わなかった。もう太ももの傷が消えている。』


「仕切り、直しね。まだまだこれからよ!」


魔力を多量に使い怪我こそ消えたが満身創痍に近い千奈にマナスは応える。


「勿論!これからです!」

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